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GalacXER 銀河の執行者  作者: Boom
第二章 [反乱軍と同盟の反撃]
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第二章 41

ライトの心臓が、ドキリと跳ねた。(マキからの、贈り物?)


--- **マキの視点(回想)** ---


ライトが祭りで楽しんでいた頃、首都の最も高いビルの頂上で、マキは、漆黒の戦闘服をまとい、眼下の光景の全てを、見下ろしていた。


(哨戒、安全確認、民間人の士気の評価)彼女は、自分自身に、公式な理由を、探そうとしていた。だが、心の奥深くで、彼女は、自分が、ある特定の誰かを、「見つめて」いることを、知っていた。


彼女の視線は、エララとステラに、引きずり回されている、ライトに、注がれていた。彼女は、理解できなかった。彼女の心に、芽生えた、この感情を。それは、苛立ちか?不満か?


彼女は、その光景から、目をそらすことを、決意した。そして、彼女の視線は、近くにあった、一つの店に、留まった。それは、奇妙な店だった。なぜなら、そこは、幸せそうな笑みを浮かべて、出入りする、男女で、溢れていたからだ。


「分析」的な、好奇心から、彼女は、ビルの頂上から、亡霊のように、舞い降りた。楽しげな町の者たちは、その、恐るべき、漆黒の装甲服の姿を見て、反射的に、彼女のために、道を開けた。誰もが、彼女を、疑いと、恐怖の目で、見ていた。


彼女は、その店の前に、立ち止まった。それは、「お守りと、記念品」の店だった。彼女は、一組のカップルが、何かを、買っているのを、見た。店主が、彼らに、何かを、説明し、そして、二人は、幸せそうに、微笑み合った。


マキは、店の中へと、入っていった。「何か、お探しかな、兵士殿?」老いた店主が、丁重に、声をかけた。マキは、答えず、ただ、先ほどのカップルが、買ったものと、同じものを、指差した。それは、二つの、白く濁った水晶が、入った、小さな箱だった。


「おお!『心の共鳴結晶』ですな」店主は、説明した。「これは、対の品でしてな。伝説によれば、互いに、『絆』を持つ、二人が、これを、一つずつ、持っていると、結晶が、淡い青色の光を、放つのですじゃ」


マキは、眉をひそめた。「それは、生体波動探知装置か?」「ええと、まあ、そうとも言えますかな」店主は、少し、困惑した。「これは、贈り物なのですよ。大切な、人のための、な」


マキは、依然として、その真の意味を、理解できなかった。だが、彼女は、それを、買うことを、決意した。彼女自身にも、「なぜ、買うのか」、わからなかったが。


その後、彼女は、ライトの私室へと、忍び込み、そして、その贈り物を、置いた。


(私は、あんな、馬鹿げた祭りに、行ったのではない。私は、ただ、哨戒を、していただけだ)彼女は、その理由を、心の中で、繰り返した。


--- **現在へ戻る** ---


ライトは、ゆっくりと、贈り物の箱を、開けた。中には、マキが見た通り、二つの、白く濁った水晶が、あった。彼は、その一つを、手に取った。それは、冷たく、そして、何も、特別なものには、見えなかった。


しかし、その時、フッ…。


彼の手の中の、水晶が、ゆっくりと、淡い青色の光を、放ち始めた。それは、彼の、心臓の鼓動と、同調するように、ゆっくりと、脈打っていた。


彼は、光る水晶と、箱の中で、依然として、暗いままの、もう一つの水晶を、交互に、見た。(マキからの、贈り物?)


この行動は、あまりに、非合理的で、予測不能で、そして、驚くほど、「人間的」だった。それは、彼女が、彼に、キスをした時以上に、彼の心を、混乱させた。


ライトは、ベッドに、腰掛け、手の中の、光る水晶を、見つめていた。あの、亡霊の、心からの、謎めいた、象徴を。


---


翌朝、ライトは、旗艦「ヴィンディケーター」の、彼の私室で、目を覚ました。彼は、もはや、マキの、複雑なことについて、考えるのは、やめることに、決めた。彼は、キャプテンの制服を、身に着け、そして、惑星マリアの、地表へと、向かった。


--- **王宮にて** ---


朝の、王宮の雰囲気は、活気と、格式に、満ちていた。ライトは、そこへ、到着したが、彼は、会議室へは、入っていかなかった。彼は、ただ、真の、「勝利」を、その目で、見たかったのだ。


--- **復興中の首都にて** ---


ライトは、かつて、戦場だった、市街地へと、深く、入っていった。彼が見たのは、協力の光景だった。そして、その中心に、彼は、「エララの一団」を、見つけた。


エララは、生存者たちに、食料と水を、配給し、サトウは、電力システムを、修理し、そして、ガーとボルクは、その腕力で、巨大なコンクリートの板を、道から、取り除いていた。


ライトは、何も言わずに、彼らの元へと、歩み寄り、そして、即座に、彼らの、仕事を手伝い始めた。そして、ある、交差点で、瓦礫運搬車と、補給車が、行き交い、交通が、麻痺しているのを、見た時、ライトは、壊れた戦車の、残骸の上に、飛び乗り、そして、軍隊式の、手信号で、交通整理を、始めた!


その時、「どうやら、貴方は、ご自分に、ぴったりの、新しい任務を、見つけられたようですね、キャプテン」


聞き慣れた声が、した。ライトが、振り向くと、そこには、ステラ王女が、立っていた。


「王女殿下」「会議に、ご出席されていないと、伺いましたので」彼女は、微笑んで、言った。「きっと、ここに、いらっしゃるだろうと、思いましたわ」


彼女は、ライト、エララ、そして、集まってきた、他の者たちに、冷たい水の、ボトルを、手渡した。


「私の、技術は、会議室よりも、こちらの方が、役立つと、思いましたので」ライトは、彼女の、先の問いに、答えた。


「私も、そう思いますわ」ステラは、答えた。その眼差しは、心からの、称賛に、満ちていた。「これこそが、真の、『勝利』の、光景ですわ。会議室ではなく、ここに、人々の、ただ中に」


---


日が、暮れた後、ライトは、一人、バー「暖かい氷河」へと、足を踏み入れた。彼は、カウンターへと、直行したが、その、見慣れない、飲み物の名前に、眉をひそめた。


「何を、お飲みになりますかな、兵士殿?」


その時、ドッ!


重い手が、彼の肩に、置かれた。「そんな代物は、注文するなよ、キャプテン!不凍液みたいな、味だぜ!」


ライトが、振り向くと、そこには、「ウォー・ハウンド」部隊の、リーダー、レックス中尉が、にやりと笑って、立っていた。


「親父!」レックスは、バーテンダーに、叫んだ!「『溶鉱炉の火』を、でかいジョッキで、二つだ!」


二人は、店の隅の、テーブルに着いた。レックスは、暖かいビールの、ジョッキを、掲げた。「成功した任務と、突撃を率いた、キャプテンに、乾杯だ」「我々の命を、救ってくれた、『ウォー・ハウンド』に」


「それで、あんたは、キャプテン?」レックスは、問い返した。「何のために、戦っている?金か?名誉か?それとも、あの、美しい王女のためか?」


その問いに、ライトは、息を、呑んだ。「俺は、ただ、正しいと、思うことを、しようとしているだけだ、と、思う」


「フン、それこそが、最も、危険なことだ」レックスは、言った。「あんたは、考えすぎるんだ、キャプテン。時々、兵士に、必要なのは、ただ、うまい酒と、いい戦いだけだ。そのことを、忘れちゃいけねえ」


彼は、立ち上がった。「俺は、部下の、見張りに、戻らねばならん。また、戦場で、会おう、キャプテン」


---


レックスが、去った後も、ライトは、一人、飲み続けた。ステラの、懇願、マキの、警告、同盟の、期待、そして、過去の、痛み。


数時間後、バーのドアが、再び、開いた。黒い、ロングコートを着た、一人の女性が、入ってきた。マキだった。彼女は、テーブルに、突っ伏して、眠っている、彼女のキャプテンの元へと、まっすぐ、歩み寄った。


彼女は、何も言わず、彼の肩に、そっと、触れた。「キャプテン」「…うーん、もう一杯…」


マキは、静かに、息を、吐いた。彼女は、誰の助けも、求めず、ライトの、重い体を、いとも、簡単に、担ぎ上げた!


彼女が、彼を、店から、引きずり出そうとした時、彼女は、眠る彼の顔を、見下ろし、そして、平坦な声で、小さく、呟いた。


「…この、下戸め」


---


「待ってくれ!そこの、若いの、まだ、金を、払っちゃいねえぞ!」


バーテンダーが、店から、飛び出してきたが、レックスの、熊のような、手が、彼を、制止した。「落ち着けよ、親父」レックスは、笑った。「キャプテンの、勘定は、『ウォー・ハウンド』の、ツケに、しておいてくれ。どうやら、今夜は、ちと、飲みすぎたらしい。相棒が、迎えに来なきゃならんとはな」

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