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第二章 40

--- **数日後、惑星マリアの首都中央広場にて** ---


激しい戦いの数日が過ぎ去り、惑星マリアは本格的な復興の時期にあった。瓦礫の痕跡はまだ至る所に見られるものの、今やそれは人々の笑顔と笑い声に取って代わられていた。連合の三つの勢力の兵士たちが、マリアンの市民と協力して街を修復している。それは、協力と希望の光景だった。


症状がかなり良くなったライトは、王宮の周りを視察していた。そして、彼の視線は、ある屋外カフェで楽しそうに談笑している、見慣れた一団に留まった。エララの一団。そして、驚くべきことに、ステラ王女も、彼女たちと共に座っていたのだ!


「おお!キャプテン!」ガーが彼を大声で呼んだ。「こっちだ!何をうろついてるんだ!」


ライトは、薄い笑みを浮かべて彼らに近づいた。「何を話しているんだ、ずいぶん楽しそうじゃないか」


「今夜の『最初の光の祭り』について話していたんです!」エララが興奮気味に答えた。「サトウさんが、これは長い冬の終わりを祝う、マリアの年中行事なんですって。そして、今年は、解放を祝って、特別盛大に開かれるんです!」


「キャプテンも、ぜひご一緒に」ステラが微笑んで誘った。「民が、彼らの『英雄』が共に祝う姿を見ることが、何よりの平和の証となるのです」「『星々の歌姫ライラ』という有名な歌手も、公演を開くらしいぜ!」ガーが付け加えた。


ライトは、少し、ためらった。祭り、賑わい。それは、彼の世界とは、あまりに、かけ離れていた。しかし、希望に満ちた皆の顔を見て、彼は断ることができなかった。


「わかった。行こう」


ライトの返答に、彼の新しい友人たちから、歓声が上がった。


「さて、キャプテン!」ガーがテーブルを叩いた!「俺たちの、惑星クラスでの武勇伝は、もう、全部、話した!今度は、あんたの番だ!全部、話せ!あんたは、どうやって、あの王宮で、ゴースト部隊と第7部隊を、やっつけたんだ!?」


全員が、彼を、一斉に見た。ステラ王女さえも、好奇心に満ちた眼差しを、向けていた。


ライトは、椅子の背にもたれ、珍しく、悪戯っぽい笑みを、口元に浮かべた。「うむ、それは、骨の折れる戦いだった」彼は、話を、始めた。「あの時、俺は、通路で、二人の第7部隊兵と、一人のゴーストに、包囲されていた」


「『エコー』という名の、そのゴーストは、速かった。それは、認める」ライトは、続けた。「だが、奴は、大きな、過ちを、犯した。奴は、第7部隊の、生存者の、『生の経験』を、過小評価していたのだ」


「俺は、奴の剣を受け流し、武器を、奪い、そして、男らしく、素手で、戦った!俺は、奴に、言ってやったのさ。『貴様の、綺麗な動きなんぞ、本物の、年季には、通用しねえんだよ!』と!王宮全体を、揺るがすほどの、激闘の後、ついに、奴は、俺には、勝てないと、悟り、自ら、退却していった」


彼は、消火器、レンチ、死に物狂いの逃走、そして、「ダーリン」と叫んだことを、全て、省略し、彼の物語の、「新編集版」を、平然と、語り終えた。


「最高だ!さすが、俺たちのキャプテン!」ガーが、感心して、叫んだ。


しかし、その時、ライトは、見た。マキが、広場の、反対側を、通り過ぎていくのを。彼女は、こちらを見ることなく、しかし、わずかに、歩みを、緩め、そして、彼の方を、一瞥し、彼女の口元が、上がった。それは、ライトが、人生で、これまで見た中で、最も、嘲笑に満ちた、笑みだった。


ライトは、一瞬、凍りついた。冷や汗が、背中を、伝った。(クソッ、あいつ、全部、聞いてやがったな!)


--- **惑星マリア、首都中央広場にて** ---


祭りの雰囲気は、信じられないほど、活気に満ちていた!氷晶のランタンが、広場の至る所に飾られ、陽気な民族音楽が、響き渡り、そして、屋台から、暖かい食べ物の、香りが、漂っていた。


「うおお!」ガーが、興奮して、叫んだ。彼は、暖かい飲み物の屋台へと、直行した。「こいつは、最高だ!ザムの、『流星の涙』にも、負けず劣らずだぜ!」


その時、ステラ王女が、菓子屋台から、静かに、戻ってきた。その手には、二つの、水色の、「水晶飴」が、握られていた。


彼女は、その一本を、ライトに、微笑んで、差し出した。「お試しになって、キャプテン」「王女殿下!私が、お買いしますのに…」


「今日は、王女では、ありませんわ」彼女は、言った。「ただの、ステラです。そして、貴方は、ライト」彼女は、自らの、水晶飴を、掲げた。それは、寸分違わぬ、水色だった。「まるで、私たちの、お揃いのようですわね」


その言葉、その光景に、隣にいたエララの頬が、ぷくりと、膨れた!


「負けてられないわ!」エララは、心の中で、思い、そして、ライトの腕を、強く、引いた!「ライト!こっちに、『氷ダコのグリル』があるわよ!ザムの名物なの!絶対に、試さなきゃ!」


「お待ちになって、エララ」ステラの声が、反対側から、した。彼女は、ライトの、もう一方の腕を、掴んでいた。「ライトは、私と、『氷の的当てゲーム』へ、行くと、約束してくださいましたわ」


今や、ライトは、二人の少女に、両腕を、引かれる、状態に、陥っていた!


「おいおい!落ち着けよ、お嬢さんたち!」ガーが、楽しそうに、野次を飛ばした。


「さあ、俺たちは、別の楽しみを、探しに行こうぜ」サトウは、悪戯っぽく笑い、ガーとボルクを連れてその場を離れた。「楽しめよ、キャプテン。花火が始まる頃に、氷の時計塔で、合流だ」


「もう、やめろ!もう、やめろ!」ついに、ライトが、降参した。「わかった!わかった!どうせなら、全部、行けばいいだろう?一緒にだ」


そして、キャプテン・ライトの、波乱に満ちた夜が、始まった。


二人乗りの、スワンボートで、彼は、二人の少女の間に、押し込められた。スケートリンクでは、氷の惑星で生まれた、天使のように滑るステラと、全く滑れないエララを、両側から、支えなければならなかった。コンサート会場では、彼の両肩に、二人の少女の頭が、「偶然」、もたれかかった。


ついに、約束の時間が、来た。彼ら三人が、氷の時計塔の前で、待っていると、それが、始まった。


マリアの花火は、炎ではなく、「水晶花火」。打ち上げられたエネルギーの塊が、空で、何百万もの、光る氷の結晶となって、砕け、ゆっくりと、舞い落ちてくる。それは、夢の中に、いるかのような、幻想的な光景だった。


ライトは、隣に立つ、二人の少女の、横顔を、見た。結晶の光に、照らされ、心からの、幸福な笑みを、浮かべていた。初めて、彼は、彼女たちを、「王女」や、「戦士」としてではなく、祭りを、純粋に、楽しむ、ただの、「女性」として、見ていた。


(これか…)彼は、心の中で、思った。(…平和というものは。ステラが、言っていた、我々が、戦うべき、ものとは)


その瞬間、ライトは、何年もの間、忘れていた、素朴で、真摯な幸福を、感じていた。


--- **謎の贈り物** ---


祭りが終わり、ライトは、自室へと、戻った。しかし、彼は、ベッドの脇のテーブルに、見慣れない、小さな贈り物の箱が、置かれていることに、気づいた。


その箱には、小さな、金属のプレートが、ぶら下がっていた。そこには、ただ一言、名前が、刻まれていた。


「Maki」

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