第二章 37
「まだだ!」ライトは咆哮した!彼はありったけの力を込め、再び立ち上がった!その眼差しは変わっていた!絶望は完全に消え去り、かつてないほどの、闘志の赤い炎に燃え上がっていた!
「ほう?」エコーは驚きの声を上げた。「戦い続ける理由を、見つけたとでもいうのか。面白い」
「今回が、初めてになるだろう」ライトは、厳しい声で言った。「元第7部隊が、ゴーストどもに、何ら劣るものではないということを、世界が、知るのはな!」
彼は、再び、戦闘態勢に入った。しかし、今度、彼の戦闘スタイルは、完全に、変質していた!彼は、もはや、冷徹でシステム的な「第7部隊」として戦うのでも、狂乱した「追い詰められた狼」として戦うのでもない。彼は、彼が持つ、その全てのものを、賭けて、戦っていたのだ!技術も、本能も、そして、見つけたばかりの、決意も!
彼は、まず、第7部隊兵へと、突進した!エコーを、牽制のために、動かざるを得なくさせる!しかし、最後の瞬間に、ライトは、突如として、方向転換した!エコーの攻撃が、危うく、味方自身に、当たるところだった!
彼は、一人ずつ、倒そうとしているのではない。彼は、敵を、利用して、同士討ちを、させようとしているのだ!それは、ゴースト部隊でさえも、読み切れない、予測不能な、動きだった!
(そうだ、マキに、恥をかかせるわけにはいかない)彼は、心の中で、思った。(彼女が、彼女の敵を、打ち負かせたのなら、主人公である、俺もまた、勝たなければならない!)
第7部隊兵は、ライトの、予測不能な動きに、混乱し始めた。それこそが、ライトが、必要としていた、隙だった!彼は、奴が、撃ち損じて、壁の制御パネルを、爆発させるよう、誘い込み、そして、その隙を突き、接近し、奴を、仕留めた!
今や、残るは、彼と、ゴースト部隊「エコー」のみ。真の、一騎打ち!
「驚きだな。データの評価を、超えている」エコーは、平坦に言った。「どうやら、はかない希望とやらが、時代遅れの代物を、再び、使えるようにしたらしい。見てやろうではないか。貴様の希望が、どれほど、もつものかをな」
真の、一騎打ちが、始まった!そして、それは、即座に、ライトにとっての、地獄と化した。エコーは、風のように、動き、その動きは、美しく、流れるようで、そして、致命的だった!傷つき、疲弊したライトは、ただ、必死に、防御するしかできなかった。彼は、追い詰められ、見えない死角から、攻撃され、そして、エネルギーナイフによって、その装甲服に、いくつもの、焦げ跡を、刻まれた。
エコーは、彼を、すぐに、殺さなかった。奴は、彼と、「遊んで」いたのだ。少しずつ、傷を与え、少しずつ、士気を、削り取り、レベルの違いを、明確に、見せつけていた。
「それが、貴様の、全てか?」エコーは、嘲笑した。「革命軍の、希望とやらも、実に、失望させてくれる」
ライトは、腹部に、蹴りを食らい、床に、倒れ込んだ。彼は、咳き込み、口の中に、血の味を、感じた。(終わりだ。奴には、勝てん)その考えが、頭を、よぎった。
しかし、その時。ステラ王女の、希望に満ちた、顔と、エララの、心配そうな、笑みが、彼の、思考に、重なった。(そうだ、正面から、奴と、戦うことは、できん…)彼は、思った。そして、彼の顔に、無謀で、予測不能な、笑みが、浮かんだ。(…「名誉」ある、戦いで、勝てないのなら、そんなもの、捨ててしまえばいい!)
ライトは、再び、立ち上がった!しかし、今回は、彼は、戦闘態勢には、入らなかった。彼は、壁へと走り、そして、そこに取り付けられていた、「消火器」を、掴み取った!
「何?」エコーは、一瞬、困惑した。
「ほらよ!お前の、心の炎を、消してやる!」
ライトは、狂ったように、叫び、白い、濃密な消火フォームを、エコーの顔面に、浴びせかけた!
「ぐっ!」
優雅だった、ゴースト部隊は、彼が、これまで、経験した中で、最も、馬鹿げた攻撃に、一瞬、体勢を、崩した!ライトは、その好機を、逃さなかった!彼は、近くにあった、工具箱へと、走り、そして、巨大な、「レンチ」を、掴み取った!
「食らいやがれ!必殺、モンキーレンチ!」
彼は、叫び、それを、全力で、投げつけた!エコーは、顔の泡を、拭いながら、それを、やすやすと、避けた。「くだらん…」
だが、それこそが、計画だった!彼が投げたレンチは、壁の、制御パネルに、直撃した!ガキン!ドォン!頭上の、チェーンクレーンが、誤作動を、起こした!それは、空の、コンテナを、一つ、彼ら、二人の間に、落下させた!
「どうだ!」ライトは、コンテナの、向こう側から、叫んだ!「その、何百万クレジットもする、装甲服は、こういうことへの、対処法は、教えてくれなかったようだな!これは、本当の、戦いなんだよ!シミュレーションルームでの、綺麗な、演習じゃ、ないんだ!」
それは、最も、「名誉なき」、戦いだった。だが、それは、功を奏した!エコーの、冷静さは、消え始め、怒りに、取って代わられていた。
--- **マキの戦場へと、場面転換** ---
ステーションの、反対側では、冗談など、一切、存在しなかった。それは、真の、死の剣舞だった!マキは、最後の、第7部隊兵を、仕留めていた。しかし、彼女もまた、その脇腹に、深い傷を、負っていた。
今や、残るは、彼女と、もう一人の、ゴースト部隊兵のみ。二人の、最高レベルの暗殺者による、1対1の、決闘!二人は、目にも、留まらぬ速さで、動き、ただ、エネルギーブレードが、激しく、衝突する音だけが、エンジン室に、響き渡っていた!それは、純粋な、技術と、集中力による、戦いだった。ほんの一瞬でも、しくじった者が、死ぬ!
--- **ライトの元へと、場面転換** ---
「よくも、私を、嘲笑してくれたな!」エコーの、激昂した声が、響き渡った!奴は、コンテナを、飛び越えてきた!かつての、優雅な、戦闘スタイルは、消え去っていた。今や、それは、獰猛さと、怒りに、満ちていた!
「おお!喋れるようになったのか!てっきり、口がきけないのかと、思ったぜ!」
ライトは、必死に、逃げ回りながら、挑発を、続けた!彼は、不可能に思えたことを、成し遂げたのだ。彼は、ゴースト部隊の、完璧さの、「仮面」を、剥ぎ取り、そして、奴を、彼が、最も得意とする、戦場、型にはまらない、「泥仕合」へと、引きずり降ろしたのだ!
本当の戦いは、まだ、始まったばかりだった!




