第二章 36
--- **惑星マリア、王宮地下にて** ---
重いサービスドアが開き、ライトとマキは地下鉄の暗闇から、豪華な通路へと足を踏み入れた。しかし、それは完璧な「罠」だった!鋼鉄の扉が彼らの前後を塞ぎ、通路に閉じ込めた!
非常灯の赤い光が灯る中、通路の両端から敵が現れた。一方からは、四人の第7部隊兵。もう一方からは、ホログラムのように体が揺らめく、二人の「ゴースト」部隊兵!
「ようこそ王宮へ、ライトキャプテン」ゴーストの一人、「エコー」が冷たい合成音声で言った。「貴様の旅は、ここで終わりだ」
さらに、側面からも数十人の上級警備兵が現れ、彼らを完全に包囲した!連邦の最強の敵が、全て、ここに集結していたのだ!
「この戦いには勝てん!」ライトが叫んだ。「これは、殺戮のための罠だ!」
「この戦いに勝つことなど、最初から目的ではない!」マキが冷徹に返した。「目的は、シールド発生装置に『到達する』ことだ!」
その一瞬で、二人は理解した。戦うのではない、「突破」するのだ!
--- **不可能な戦い** ---
戦闘が勃発した!ライトとマキは、背中合わせになった!ライトは、四人の第7部隊兵と直接対峙した!彼は殺すためではなく、「時間を稼ぐ」ために戦った!一方、マキは二人のゴーストと対峙した!それは、常人には捉えられないほどの速度で繰り広げられる、亡霊同士の戦いだった!彼女の目的は、奴らを「足止め」することだった!
「マキ!今だ!」ライトが叫び、自らの足元の床を爆破し、下のメンテナンス階層への穴を開けた!「行け!」
マキは敵から離脱し、煙幕を投げつけ、ライトに続いて穴へと飛び込んだ!
彼らは、狭く暗いメンテナンス通路を、追手の足音を聞きながら疾走した。「クソッ、奴らは俺たちの動きを全て読んでやがる」「30秒後には追いつかれる。進み続けなければ」
「前方に分岐路だ!」ライトが叫んだ。「二手に分かれるぞ!奴らの戦力を分散させる!」「合流地点で会おう!」
--- **マキの戦場:亡霊の舞踏** ---
マキは、予備エンジン制御室へとたどり着いた。そして、彼女の敵もまた、到着した。一人のゴーストと、二人の第7部隊兵。
「どうやら、私を、少し、見くびっていたようだな」
戦闘が、勃発した!それは、信じられないほどの、高速の動きだった!マキは、ただ敵と戦うのではない。死の、ただ中で、舞っていたのだ。
--- **ライトの戦場:狼 対 悪魔** ---
ライトは、下層の貨物倉庫へとたどり着き、そして、包囲された。
「逃げ場はないぞ、キャプテン」ゴースト「エコー」の合成音声が、頭上から響いた。
3対1。そして、その一人は、「ゴースト」。
(連邦は、計画を変えたな)ライトは、即座に、心の中で、そう思った。(奴らは、これで、我々二人を、始末できると、踏んでいる)
「興奮で、震えが、止まらんよ」ライトは、自嘲気味に、笑った。
戦闘が始まった!二人の第7部隊兵が、彼が慣れ親しんだ、連携攻撃を、仕掛けてきた!傷ついたライトは、ただ、防御し、避けることしかできなかった!そして、最悪なのは、頭上の、「エコー」だった!奴は、闇の中を、動き回り、予測不能な、タイミングで、消音ピストルを、撃ってきた!
彼は、しくじった。第7部隊兵の一人に、蹴られ、体勢を崩した、その瞬間、エコーの、もう一発の弾丸が、彼の足を、貫いた!
「ぐっ!」ライトは、膝から、崩れ落ちた。彼は、もはや、「第7部隊」としての技術では、勝てないと、悟った。その瞬間、ライトは、決断した。彼は、自らの、古い「自己」を、捨て去らなければならない、と。
彼は、防御を、やめ、そして、狂ったように、最も近くにいた、第7部隊兵へと、突進した!その、予測不能な動きに、敵は、一瞬、躊躇した。ライトは、その隙を突き、敵ではなく、彼らの頭上にある、コンテナの、「ロック」を、撃った!
ゴゴゴゴゴ!巨大なコンテナを、吊っていた鎖が、切れた!それが、落下してきた!
ライトは、その好機を、逃さなかった!彼は、もはや、技術ではなく、生の、残忍さで、戦った!彼は、周りの全てを、利用し、一人目の敵を、叩き伏せた!
「感心だな。時代遅れの、代物にしては」エコーの声が、響いた。「だが、お遊びは、終わりだ」
奴は、コンテナから、飛び降りた。今や、真の、2対1の戦いが、始まろうとしていた。
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ライトの戦場は、真の地獄だった。彼は、二体の「悪魔」に、直面していた。傷ついたライトは、絶望的に、防御するしか、できなかった。
「惨めだな」合成音声が、響いた。「これがあの、第7部隊の、最高傑作か。貴様は、ただの、壊れた、時代遅れの代物だ」
ライトは、冷たい金属の床の上で、荒い息をついていた。彼は、絶望していた。彼の頭の中は、空っぽだった。死が、すぐそこに、あった。
しかし、その時。暗黒の絶望の、ただ中で、小さな光が、輝き始めた。彼は、声を聞いた。それは、戦闘の音ではない。敵の声でもない。歌だった。ステラ王女の、美しい、歌声。
病院での、記憶が、蘇った。彼女の、暖かい手、彼の、生存を、願う、約束、そして、彼女の、希望の歌。エララの、仲間たちの、明るい笑顔が、重なった。(俺は、まだ、ここで、死ぬわけにはいかない!)
彼の、闘志が、再び、燃え上がった!それは、もはや、ただ、生き残るための、もがきではない。彼らが、彼に、与えてくれた、「未来」を、「守る」ための、戦いだった!




