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第一章 20 "デッドゾーン突破(1)"

基地「合流点」での偽りの平穏は終わりを告げた。ステルス艦「ナイトフォール」が、静かに造船所を離れ、暗黒の中心へと向かう。その目標は「デッドゾーン001」。この戦争の運命を握る場所だ。


「ナイトフォール」の薄暗く、狭い艦橋は、触れることができるほどの緊張感に満ちていた。ライトキャプテンが主操縦席に着き、「幻影ファントム・ストライク」チーム全員が最高度の警戒態勢に入っていた。


「まず、皆が知りたいであろう問いに答えよう」ライトが、目の前のレーダー画面から目を離さずに会議を始めた。「この任務に就くのは、我々5人のみだ」


彼が指すのは、彼自身、マキ、ライラ、ギデオン、そしてサイラスだった。「レックス中尉と『ウォー・ハウンド』は、我々が道を切り開いた後に続く第一次増援部隊となる。だが、今回の潜入には、最大限の静粛性と速度が求められる。人員が少なければ少ないほど、探知されにくい」


主コンソールの前に座るライラが付け加えた。「ジャック司令官の情報は正確です。デッドゾーン001のセンサーネットワークは、最新の量子エンタングルメントシステム。質量の大きい物体の移動を、何光分も離れた距離から探知できます。我々の艦一隻だけが、そのエネルギーのカーテンを『すり抜ける』チャンスがあるのです」


「だが、それが我々の唯一の問題ではない」ライトは続けた。彼の声は重かった。「マキの諜報員からの最新情報によれば、デッドゾーンは自動防御システムだけで守られているわけではない」


彼は部屋の中央に3Dのホログラム地図を映し出し、敵の哨戒ルートを示した。「この赤いルートは、首都防衛艦隊から直接派遣された高等哨戒飛行隊『レヴナント』だ。極めて高い速度と精度を誇る」


「そして、この自由に動いている黒いルートは…」ライトは一瞬言葉を止めた。


「…第7部隊だ」マキが彼の言葉を続けた。


室内の誰もが息を呑んだ。いつも笑顔のギデオンさえも、その表情は硬かった。「そうだ」ライトは頷いた。「俺の古巣だ。奴らは決まったパターンで飛行しない。『狩り』をする。あらゆる異常、漏れ出すあらゆる信号を探知する。奴らこそが、ステーション・ケルベロスの真の守護者だ」


「そりゃ最高じゃねえか!」ギデオンは拳を手のひらに叩きつけた。「首都防衛隊に第7部隊だぁ?まるで俺たちの歓迎パーティーだな!」


「聞け!」ライトは、決然とした指揮官の声で言った。「我々の任務は変わらない。これこそが、我々が訓練されてきたことだ。我々は影、我々は亡霊。奴らが存在さえ知らない隙間を、我々は通り抜ける」


彼はチームのメンバー一人一人の顔を見た。「ライラ、お前は我々の盾だ。サイラス、お前は目。ギデオン、お前は奴らを震撼させる咆哮だ」彼はマキと目を合わせた。「そして、我々二人は、奴らの心臓を貫く刃だ」


「我々はこの任務を成功させる」ライトは締めくくった。「完全ステルスモードへの移行準備」


全員が持ち場に戻った。恐怖は、最高レベルの集中力と決意に取って代わられた。


「デッドゾーン001の外縁部に侵入します…今」ライラが報告した。


彼女の声が終わると、「ナイトフォール」はレーダーからゆっくりと姿を消した。船の外殻は、あらゆる光を飲み込む漆黒へと変わり、それは虚空を移動するただの影となった。何十億もの運命をその双肩に懸けて、宇宙で最も危険な領域へと。


「ナイトフォール」が「デッドゾーン001」の外縁部を静かに進んでいた。艦内では、誰もが自らの任務に集中していた。重い沈黙が、まるで全ての命を押し潰そうとしているかのようだった。しかしその時、ライトのスクリーンに最高機密レベルの通信が入った。ジャック司令官からの直通だった。


ジャックのホログラム映像が艦橋の中央に現れた。その表情は、いつもより険しかった。「ライトキャプテン、最優先報告だ」彼は挨拶もなしに言った。「我々の解読班が、たった今キメラファイルからもう一つの層の情報をこじ開けた。それは、ステーション・ケルベロスの『能動的』防御システムの設計図だ。我々が最初に見ていたものは、ただの外殻に過ぎなかった」


「ナイトフォール」のホログラムテーブルで、デッドゾーンの地図が即座に更新された。新たな敵のシンボルが、驚くほど大量に表示された!


「こいつは何だよ…」ギデオンが小さく悪態をついた。


「それこそが奴らの真の牙だ」ジャックは説明した。「連邦は、ここに最新のロボット技術を投入している。戦略拠点に配備された地上戦闘騎『ゴライアス』、隅々まで哨戒する無人殺戮ドローンの大群…」


「司令官!」ライラが焦った声で割り込んだ。彼女は、ステーションの周囲に現れたばかりの衛星のシンボルを指差した。「この衛星は、量子観測衛星です!熱や質量を探知するのではありません。時空の歪みを探知するんです!我々のステルスシステムは、効果がないかもしれません!」


「そして最悪なのは…」ジャックは、重々しい声で続けた。「奴らは最終自己防衛システムとして、戦術核ミサイルを配備している。もし任務が失敗するか、ステーションが占拠されれば、奴らは軌道半径内の全てを爆破する。何の痕跡も残らないだろう」


沈黙が艦橋を支配した。かつて「決死」だった任務は、今や完全に「不可能」な任務へと変わった。


しかしその時、ジャックは笑みを浮かべた。それは、災厄の中に好機を見出す革命家の笑みだった。「だがそれは、我々が得る報酬が、以前よりも遥かに大きくなったということも意味する」彼は力強い声で言った。「ステーション・ケルベロスは、ただの司令部ではない。連邦の秘密の兵器庫であり、全技術の心臓部だ!これを破壊、あるいは占拠できれば、それはただの勝利ではない。敵の手足を切り落とし、再起不能にすることだ!連邦の時代が終わったことを、全宇宙に知らしめることになるのだ!」


彼はホログラム越しに、「幻影ファントム・ストライク」の全員を見つめた。「今回のインワン・フリーダムの勝利は、全ての星々に轟くことになるだろう!」


「さて諸君、任務に取り掛かれ!」


ジャックの映像は消え、不可能に立ち向かう五人のチームだけが残された。ライトは深く息を吸い込み、チームに向き直った。その眼差しに恐怖はなく、ただ冷たい決意だけがあった。


「皆、聞いたな」彼は平坦な声で言った。「ライラ、あの衛星ネットワークの隙間を見つけろ。サイラス、最初のゴライアスの位置を特定しろ。ギデオン、お前のおもちゃの準備をしておけ。マキ、刃を研いでおけ」


彼は「ナイトフォール」の操縦桿を固く握りしめた。「仕事の時間だ」


ステルス艦「ナイトフォール」が、亡霊のように「デッドゾーン001」の暗闇を進んでいた。艦橋では、全員が静寂の中、自らの任務に集中していた。ただ、ライラが状況を断続的に報告する声だけが響いていた。


「第一センサー網を通過中。ステルスシステムは依然、完全機能。敵はこちらを視認できず」「『レヴナント』級哨戒艦が離脱していくのを確認。前方のルートはクリアです」


ライトは操縦桿を固く握り、目に見えない罠で満ちた前方の虚空を見つめていた。彼は、ライラが発見したセンサーネットワークの「隙間」を通り抜けるために、持てる全ての操縦技術を駆使していた。それは、見えない針の穴を高速で通り抜けるようなものだった。隣に座るマキは何も言わなかったが、彼女もまた最高度の警戒状態にあることを、ライトは感じていた。


全てが順調に進んでいるように見えた。その時までは。


<!!!最高レベル警報!!!>


聞いたことのない警報音が、艦橋を照らす赤い閃光と共に鳴り響いた!


「何!?」ライラが驚愕の声を上げた。「センサーネットワークじゃない!これは…タキオン波!奴ら、ステルス物体を探知するために、直接スキャン波を照射してきてる!奴らは私たちの居場所を知ったんだわ!私たちは、暴露された!」


彼女が言い終わると同時に、メインスクリーンに、近くの岩の月の表面から放たれる巨大なエネルギー源が映し出された。その表面が裂け、戦艦よりも巨大な、巨大な砲口が現れた。


「イオン・キャノン…」ライトは小さく呟いた。「本当の罠は、ここにあったか」


「全シールドにエネルギー最大!衝撃に備えろ!」彼は叫んだ。


遅すぎた。キャノンの中心部が、まばゆい青い光の球となってエネルギーを集束させ、光速を超える速度で、巨大なイオンビームを彼らに向けて放った!


ライトは死に物狂いで機体を回避させた。主ビームは船体をわずか数メートルでかすめ、船体の表面の水分は一瞬で蒸発し、彼らの背後にあった小惑星は、まるで最初から存在しなかったかのように消滅した。


だが、キャノンはすぐさま第二射を放ってきた。今度は、より広範囲をカバーする拡散弾だった!


ドォォォン!!!


「ナイトフォール」は、粉々になるかのように激しく振動した。コントロールパネルが爆発し、火花が室内に飛び散った。主電源が落ち、非常灯の赤い光だけが混沌を照らし出した。


「右翼被弾!安定化装置、機能停止!」ライラが叫んだ。「制御を失っています!艦が落ちる!」


窓の外の景色が回転し、「ナイトフォール」は、キャノンが設置されている岩の月の表面へと、高速で墜落し始めた!ライトは全力で操縦桿を引いたが、効果はなかった。


「艦を放棄する!」彼は一瞬で決断した。「全員、今すぐ脱出しろ!予備の合流地点で会おう!行け!」


ライトとマキは同時に脱出ボタンを押した。コックピットの天蓋が吹き飛ばされ、彼らの座席は炎上する機体から射出された。艦の後部にいたライラ、ギデオン、そしてサイラスの座席も、すぐさま続いた。


しかし、彼らが宇宙空間を漂っていた、その時。炎上する「ナイトフォール」の翼の破片が、再び爆発した!その爆風で、ライラ、ギデオン、そしてサイラスの脱出ポッド群は別の方向へと吹き飛ばされ、ライトのレーダーから消えた。


彼とマキは、「ナイトフォール」、革命軍の最も先進的なステルス艦が、月の表面に激突し、辺り一面を照らす最後の爆発を起こすのを見つめていた。

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