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ep8 狼煙

 六本木駅に着いた。大江戸線六本木駅には地下深いエスカレーターがあり、ホームにはひっきりなしに電車が通っていた。私達はまずホームまで降りて、駅員さんに線路を渡りたい旨を伝えたが、運行中は線路には入らないでくださいと言われてしまった。当然と言えば当然か。それで、私達は深夜まで粘ることにした。現在の時間は夕方の5時半。大江戸線の終電まで6時間以上待たないといけなかった。私達は仕方なく近くのファミレスで時間を潰すことにした。

 

 夕飯がまだだったので、私達はファミレスで夕飯を摂ることにした。私はミラノ風ドリア、楓先生はアーリオオーリオペペロンチーノを頼んだ。

 

 「久々のちゃんとした食事…」

 

 私は感動を味わいながら頬張った。久美子に前金をもらってなかったら、ドリンクバーだけで過ごしていただろう。久美子達は食欲がないのか、コーヒーのみ注文した。

 

 私は部活も終わったであろう友人の小岩井茜に携帯でメッセージを送った。「今何してる?」するとすぐに返事が返ってきた。

 

 「浮遊魔法の練習してるよ」

 

 とスタンプ付きで。私は早くに就職を決めてしまったため高校では浮いた存在だったが、親友の茜のおかげで毎日楽しく過ごせているのだ。

 すると、茜が訊いてきた。

 

 「今仕事中?」

 

 「うん。詳しくは言えないけどね」

 

 「大変だね。勘だったけど、本当は彼氏と遊んでるとかの方が返事としてはよかったかな」

 

 「冗談言わないでよ。借金抱えた彼女なんてどんな男も嫌でしょ」

 

 「えーそう?夏樹、学校じゃ結構人気あるんだよ?知らないかもしれないけどね」

 

 「私は今のところ仕事が恋人だから」

 

 そう返すと、茜がやれやれ的なスタンプを送ってきて、メッセージを送ってきた。

 

 「今日遅いの?」

 

 「うん。1時くらいまで粘らなきゃいけないみたい」

 

 「明日学校来れる?」

 

 「なんとかね。茜も魔法の練習は程々にして、早く休みなよ」

 

 「誰かさんと違って暇ですからねー。惰眠を貪るとしますよ」

 

 茜はおやすみのスタンプを同時に送ってきた。暇って、学校の宿題とかどうしてるんだろう。私は自分のことのように茜を心配したが、それどころではないと改めて気を引き締めた。

 

 時間が経ち、ようやく午前0時半を回って、私達は再び大江戸線の六本木駅に向かった。遅番の駅員さんに魔法使いのバッジを見せて、私達が戻るまで開けておいてくださいと楓先生は頼んだ。駅員さんは了承すると、「どうするんだい?」と訊いてきたので、私が「事件の調査です」と返した。

 

 深夜の地下トンネルの中はひっそりと暗く、私達の侵入を拒んでいるようでもあったが、楓先生はへっちゃらという調子で手元に光源を出し、あたりを明るく染めた。そして5分くらい歩くと、トンネルに横穴が掘られており、入ると広い空間の中に大きな一軒家が立っていた。ログハウスだ。トンネルの中によく建てたなと思ったが、魔法ならできるかと自問自答した。

 

 「広いですね」

 

 私が言うと、楓先生はフンと鼻を鳴らした。

 

 「チンピラが潜むにはちょうどいい場所かな」

 

 話していると、ログハウスのドアから続々と人が出てきた。身長は大小いるが、刀を持っているようだった。中には拳銃を持っている者もいる。チンピラの1人が口を開いた。

 

 「何の用だ」

 

 問われ、楓先生が叫んだ。

 

 「ここに赤ん坊はいないか!」

 

 「はぁ?いるわけねぇだろ、んなもん!」

 

 チンピラが返すと、楓先生はがっかりした様子でもう一度訊いた。

 

 「いないのか?」

 

 「いい加減にしねぇと犯すぞ!嬢ちゃん!」

 

 その声を合図に、家の中にいたチンピラ達も一斉に飛び出してきた。私はその光景を目にした後、楓先生の方を向いた。楓先生は私を一瞥すると、顎をくいっと動かした。やれって意味だ。

 

 私はそれに反射的に反応した。

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