ep 50 軌道の先は
遅くなりました。
今週からまた月曜更新頑張ります。
「何処から来るかわかりますか?」
「わからん。タイミングだけだ」
「十分です」
この攻撃はおそらく狙撃。しかし後ろは駅舎だ。前には広場があり、その奥も高いビルは殆どない。さらに奥は商店街があり、その先は外宮だ。狙撃に適した高度は確保できそうにない。それでも私達の前方半球からの攻撃なのは確かだ。それなら対策しようがある。
私は指をパチンと鳴らし魔法を展開した。”視界”が発動条件にならない結界魔法だ。特殊な結界魔法で、防御力はないがあらゆるものの動きをリアルタイムでトレースできる。一応町中にも認識できるようにしておいた。
「なんだ?ここは茶店じゃないぞ」
「今時指パッチンで接客スタッフ呼ぶ人なんていませんよ」
町中を強めに睨むと、町中は「いや、そこか?」と弱々しい声で呟いた。
「いいから攻撃に集中してください。2発でしたね」
「ああ。声が聞こえたからな…来た!」
町中の声と同時に飛んでくるものが見えた。1秒にも満たない時間の中で私は攻撃の軌道を観察した。2発とも緩やかなカーブを描いて私の頭目掛けて飛んでくる。
私は首を左に傾け攻撃を避けた。後方で先程聞いたボゴンという大きな音がした。着弾の音だ。
攻撃の軌道は光の線となって眼前の空間に残っている。およそ200メートル右前方から伸びているのが見える。
「おい、これは君の魔法か?光の線が見えるが」
「攻撃の軌道をトレースしました。行きますよ」
スカートでは走りにくいので飛行魔法で身体を10センチ程浮かせ、光の線の先を追った。後ろから町中が「待てよ!」と叫ぶのが聞こえたが気にせず飛んだ。走って追ってきている気配がするので意識を前方に向けた。
光の線は商店街から小道に入った民家の屋根へと続いていた。周りより背が高い民家だ。民家の玄関の前に辿り着いて上を見上げると、まだそこにいるようだった。
「これから上を見てきますが…絶対に見上げないでください」
町中は息を切らしている様子はなく、頭に疑問符を浮かべている。
「は?なんでだ?」
「私の格好を見たらわかるでしょう。…見たら殺しますから」
察したのか、町中は「あー…」と声を漏らしたが、それ以上は何も言わなかった。察するのが遅い。
私は身体を浮かせて屋根の上を覗いた。短髪の若い男が双眼鏡を持って立っている。なるほど、双眼鏡で魔法の効果範囲を広げたのか。キョロキョロしているのを見ると、まだ私達の動きを追いきれていないようだ。
私は完全に屋根の上まで身体を浮かせて着地した。ようやく気づいたのか、敵は驚いたように私を見た。
「貴方の素性は想像できますが、訊いておきましょう。なぜ攻撃したのですか?」
男は平静を取り戻し、軽く舌打ちした。
「やはり知っている様子だな」
言葉通りに取れば答えになっていない__が、多くを語っていた。
「返答ありがとう。今はそれで結構です」
私は拳を固め、狙いを男の顎に定めた。
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