ep 46 秋田竜司の能力
「君達の力はだいたい把握した。僕が君達に自己紹介をしてもらったのには訳があるんだ。姫路君も気になっているようだし、僕の力を教えようか」
竜司は椅子から立ち上がり、いかにもエリートらしい仕草で右手を腰に当てた。私達はみんな竜司の顔を見た。
「僕の力は姫路君の力に似てはいるけど、少し違うんだ。そうだね…例えば全世界のあらゆる情報を電波を通して知ることができる。…今、インターネットのことじゃんって思ったでしょ?インターネットと違う点は、リアル世界の情報収集が可能な点なんだ。電波が僕の目となり、魔法効果範囲を広げてる。僕の前では密談も雲隠れも無意味。電波の届かない場所の情報は得られないけどね。一聞すれば万能な能力のようだけどもちろん制約があって、僕が対象の事象、人物などについての基礎知識を持っていないと発動できないんだ。人物の情報を得るには、『この人はこういう人だ』という自分の中の”納得”が必要になる」
「だから俺らに自己紹介させたんすね。俺らの行動監視のためってことっすか」
流水の言葉に竜司は「いや」と否定した。
「寧ろ逆。サポートのためだよ。楓が僕を頼ってくるような事件なら、君達の安全を守るためにも僕が動く必要があると思ったんだ。ほら、入り口で僕の声を聞いたでしょ?」
流水が思い出したように「あー」と声を漏らした。
「あの声、頭に響いてたっすね」
「そう。あれは魔法省内の人間全員に届くよう設定したチャンネルだけど、魔法省の外であれを使うには、先に言った僕の力で現在何処で何をしているかを把握する必要があるんだ。自己紹介はそのための条件だった」
竜司がサポートしてくれるなら心強い。茜は目を輝かせているし、流水も真も頷いている。竜司の能力を聞いて、みんなもそう感じたようだった。
「ところで、その力は僕の力とは違いますよね。他にあるんですか?」
真が言うと、竜司は「もちろん」と続けた。
「僕の力はあと2つある。これは直に見ないといけないんだけど、魔力の本質を見ることができる。姫路君の力は『魔法の本質』を見る力だったね。僕のはその人に備わっている魔力がどのような性質なのかを知ることができるんだ。術師の性格や思想がどのようなものか、内に秘めているもの…とかね」
私はその説明を聞いて納得した。竜司は私に対してその力を使ったんだ。そして私の内に何かを見た。そういうことだろう。私の中に何を見たのか訊きたかったが、話の腰を折りそうなのでやめておいた。
「さて、ここからが本題だよ。草薙さん、詳しく説明してくれるかい?」
「わかりました」
私は茜達に説明した内容をそのまま話した。竜司は聞き終えると、暫しの沈黙の後「そういうことか」と納得したようだった。
「人工麻薬を売買している犯罪組織があることは知ってた。でもこのレベルの犯罪は僕らの仕事じゃないし、警察か優秀な魔法使いが解決すればいいと思ってた。しかし、精霊を運んでいたとなると話は別だよ。伊勢の地にて召喚された、赤ん坊の精霊か…」
「私達はその精霊を誰よりも早く保護しようと考えています。楓先生は竜司さんなら探せると仰いました。探せますか?」
私が問うと、竜司は難しい顔をしたが「うん」と頷いた。
「いけると思う。精霊は特別だからね、人ならざる者を探せば、それが精霊だ」
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