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ep 42 暴走娘と馬鹿男

 「夏樹ー、おはよー。はー…ねむ」

 

 また夜遅くまで飛行魔法の練習でもして疲れているのか、今日の茜はいつものような元気がないようだった。心なしか髪の毛もボサボサな気がする。こんな状態の茜を今日の仕事に誘ってもいいだろうかと一瞬迷ったが、仕事中もし何かあった場合、茜の魔法があると心強いだろうなと思い返し、茜が自分の席に鞄を置くのを確認してから声をかけた。

 

 「なにー?勉強中?…ほげっ!」

 

 ふらふら近づいてきた茜が躓いて転び、流水の机の角に思い切り頭をぶつけ、その勢いのまま床に激突した。かなり痛そうだ。この子…大丈夫だろうか。

 

 私は屈んで茜の腕を肩にかけ、力を入れて起き上がらせた。

 

 「疲れてるとこ悪いんだけど、ちょっとお願いしたいことがあるんだよね」

 

 「お願いー…?」

 

 茜は頭をさすりながらきょとんとした顔をしたが、何かを思いついたようにパッと表情が明るくなった。

 

 「わかった!エロ本の隠し場所教えてほしいんでしょ!ベッドの下はだめだよー。それだけ言っとく」

 

 「はぁ!?流水じゃあるまいし!」

 

 「なんで俺がエロ本ベッドの下に隠してるの知ってんだよ!」

 

 墓穴を掘る流水を無視して、この暴走娘にちゃんと伝えることにした。

 

 「楓先生の仕事手伝って欲しいの。流水と真と茜にね。昼休み詳しい話したいから屋上に集合ってことで。…あと私エロ本持ってないから」

 

 茜はまたきょとんとした顔をした。

 

 「…あ、もしかしてネット派?」

 

 「アホ娘、エロから離れなさい」

 

 私が茜の頭を軽く小突くと、それに合わせるようにぺろっと舌を出した。

 

 「周防先生の仕事かー。もしかして、この前夏樹が校内うろついてたのと関係あり?」

 

 この子の鋭さにはいつも感服させられる。

 

 「そんなとこ。楓先生の様子を見るに、ちょっと大事になりそうなんだよね」

 

 茜は顎に人差し指を当て、少し考えるように唸ったが、すぐ

 

 「うん、いいよ。どうせ暇だし」

 

 と言ってくれた。

 

 「暇って、茜は試験勉強大丈夫なのかよ」

 

 流水が訊くと、茜はそれほど大きくない胸を張ってみせた。

 

 「もう出題範囲全部授業でやったじゃん。寝てたけど夏樹にノート見せてもらったし、当然、復習済みだよー」

 

 「うわっ、ここにも裏切り者がいたよ…」

 

 流水は無人島に島流しされたかのように項垂れた。

 私はそんな流水の肩に手を置き、とっておきの魔法をかけてあげることにした。

 

 「今回の仕事、椿先生にも伝えてあるらしいの。もしこの仕事をこなせたら、試験結果に加点してくれるかも」

 流水はバッと跳ね起きて、目を輝かせてこちらを見た。

 

 「マジ?」

 

 「まじまじ」

 

 実際はそんなことないと思うが、ゲームを前にした小学生のような目をされては笑顔で頷くことしかできない。私は悪い女かもしれない。

 

 「よっしゃー!周防さんの仕事こなして、赤点回避するぞー!ほら、真、ハイタッチ」

 

 「流水…乗せられてるよ…」

 

 真は呆れ顔でそう言いながらも、流水と勝利のハイタッチをした。


読んでくださり、ありがとうございます。

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