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ep 36 とりあえずランチでも

タイトルを「魔道奇譚〜魔法使い、思考する〜」から「魔法使い、思考する」に変更しました。

よろしくお願いします。

 この世に絶対の正義なんてない。それは私もわかってる。市民を律する法にも、人が行使する以上損得勘定や私利私欲が絡むことも。昔は私も、どんな犯罪者であっても法のもとで公正に裁かれるべきだと思ってた。でも、1年間魔法使いという仕事に関わってきて、考えを改めた。楓先生の仰る通り、この世にはどうしようもないクズがいる。人を傷つけ貶めても、自身の武勇伝にしかならないと思っているような人間が。この1年間で嫌というほど見てきた。そして出会ったクズ達は楓先生がもれなく灰にしてきた。躊躇なく力を振るう楓先生が多少恐ろしくもあったけど、楓先生はいつだって、守りたいものを守ってきただけだし、そう考えたら楓先生のことが格好良く思えた。もちろん、楓先生のような魔法使いばかりではない。でも、楓先生のような魔法使いは必要悪なのだと思う。

 

 そんなことを考えてたら、お腹がぐーと鳴った。恥ずかしい。今朝から何も食べてないから、お腹が空いた。お腹を押さえて、早く何か食べに行きましょう感を出しながら楓先生を見ると、楓先生は仕方ないといった表情で大河に顔を向けた。

 

 「スパイシーチーズバーガーを作ってくれないかい?」

 

 大河はニッと笑った。

 

 「いいぜ。ちょっと待ってな」

 

 「え?どこで?」

 

 当然のように話を進める楓先生と大河だが、私にはさっぱりわからなかった。どう見ても大河の部屋にはキッチンがないのだ。しかし次の瞬間、驚くべき光景を見た。大河がリビングの壁の一部に触れると、抽斗のようにキッチンが現れた。先入観は目を曇らせる。私はまた新たに勉強した。



 

 それから私達は大河のお手製スパイシーチーズバーガーを食べた。私は孤児だったし、今まで大したものは食べてこなかったせいもあり、大河のハンバーガーは衝撃的とも言えるくらい美味しく感じた。あっという間に食べ終え、楓先生も満足そうにペットボトルのコーラをストローで飲んでる。大河は私達が食べ終えた皿を洗っていた。

 

 「美味しかったー。ごちそうさまでした!大河さん、料理上手なんですね」

 

 「お粗末さま。上手っていうか、趣味の域を出ないけどな。ところで、夏樹ちゃんはやっぱり魔法科なのかい?」

 

 大河が洗いながら訊いてきた。

 

 「はい。桜ヶ丘学園魔法科2年です」

 

 「じゃあ後輩だな。俺も桜ヶ丘学園魔法科卒なんだ。楓と一緒」

 

 「大河。夏樹ちゃんは首席だよ?先輩面してると痛い目見るから」

 

 楓先生が珍しく私を立ててくれた。嬉しい。

 

 「げ、そうなの?さすが楓の助手だわ…」

 

 「楓先生のご指導ご鞭撻のおかげですよ」

 

 私は苦笑いしながら答えた。

 

 楓先生は「何もしてないんだけどね」などととぼけ、大河は「楓はスパルタだからな」などと笑っている。この雰囲気…

 

 「お2人は、付き合ってるんですか?」

 

 訊くと、2人は一瞬固まり、同時に

 

 「は?」

 

 と素っ頓狂な声をあげた。

 

 「だって!この部屋に来てから今までの楓先生の態度は、明らかに彼女のそれでしたもん!疑わない方がどうかしてます!楓先生が『また大河のスパイシーチーズバーガーが食べたいな』なんて言った時は、共に一夜を過ごした余裕さえ感じました!」

 

 「夏樹ちゃん…私は誰に対してもこんな感じだよ」

 

 呆れた様子で楓先生。大河も「そうだ」と頷いている。

 

 「楓は天然のタラシなんだ。この態度で、この魔力で、この頭で、この顔だろ?寄ってくる男も少なくなかった…が、皆楓の『すまない。恋愛に興味ないんだ』という冷徹かつ非情な言葉によって倒された。俺も高校時代は多少楓に魅かれていたことは認めるが…」

 

 「そうだったのかい?」

 

 楓先生がニヤリと笑って茶々を入れる。大河は目を瞑り、真顔で頷いた。

 

 「ああ。認めるが、そんな男どもを見てきたから、付き合うなんて微塵も思えなかった。そういう夏樹ちゃんも、楓のこと好きだろ?」

 

 急に訊かれて、私の頭は沸騰したやかんのように爆発した。

 

 「はい…い、いや!恋ではなく!憧れといいますか…」

 

 「そうかぁ?さっきから百面相だけど」

 

 「そんなことよリっ!霞ちゃんの手がかり探さないといけませんよね。これからどうするか考えましょうよ」

読んでくださりありがとうございます。

もしよろしければ、ブックマーク、評価、コメントなどくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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