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ep33 真犯人②

「えぇっ!?」

 

 私は声をひっくり返して叫んだ。犯人はいないと楓先生は言った。では霞ちゃんは誘拐されていないことになる。私はよくわからず混乱した。

 

 「まずは柳沢夫妻が置かれていた状況を話そう。柳沢夫妻は結婚してからずっと子作りに励んでいたものの、久美子さんが妊娠することはなかった。久美子さんは仕事も忙しく、子作りばかりにかまけている暇はない。焦って、苛立っていただろう。子供のことを頭から切り離せないまま、悶々と仕事をしていると、とある犯罪組織の調査の依頼が魔法省から舞い込んできた。久美子さんは疲れた体を引きずり調査し、犯罪組織が六本木に潜伏していること、薬を扱っていることについて知った。そしていざ六本木のアジトに調査に入った際、久美子さんは封印を施された赤ん坊を見つけた。六本木のチンピラ達は、人身売買もしていたのさ。久美子さんにとって、その赤ん坊は輝いて見えたことだろう。この子を柳沢家に迎えよう、そう思った。そこで久美子さんは赤ん坊をアジトのどこかに隠し、後日フードのついた大きめのコートを羽織り、六本木に向かい、赤ん坊をコートの中に入れてこっそり連れて帰ろうとした…が、残党に見つかってしまった。久美子さんは仕方なく残党の1人を魔法で消滅させ、恐れ慄く他の残党に、殺されたくなければ子供は都立桜ヶ丘学園に売ったことにしろ、と脅した。残党達はそれを飲むしかなかった。


 久美子さんは赤ん坊を連れ帰り、和博さんに自分の子供だと言って紹介した。和博さんは疑問には思ったとは思うが、大いに喜んだことだろう。それから2人は子供の名前を霞とし、ベッドなどの子供用品を揃えた。数日経ち、柳沢夫妻は子供の異変に気づいた。子供は食事も排泄も一切しなかったんだ。それどころか泣き声すら発しない。足がつく可能性を考えて、病院にも連れて行けない。困った久美子さんは、諸々の問題を一旦保留として仕事に戻った。そしてその直後に子供が消えた。和博さんから連絡を受けた久美子さんは、六本木の残党の仕業と考えたが、またフードを被って報復しようにも、もし本当に残党の仕業だった場合、フードの人物が久美子さんだと知らせるようなものであるし、消滅魔法で一掃するとなると、警察への説明がややこしくなる。久美子さんは他の方法で残党を徹底的にやっつける必要があった。そこで『魔法使いをよこせ』という書き置きを用意したのさ。和博さんが帰った際に部屋が荒らされていたらしいが、久美子さんが和博さんに『これは卑劣な犯罪組織の仕業だから、そのように演出しよう』と提案したのだろう。その後建前のために警察に通報し、駆けつけた警察の科学捜査では、犯人の手がかりを見つけることができなかった。それは久美子さんにとって想定の範囲内のことで、本命はこの周防楓と草薙夏樹の調査結果だった。私達の調査で、犯人は大河ともう1人であることがわかった。久美子さんは大河を拷問して口を割らせた後で始末しようと考えたが、大河はもう1人の犯人に口封じのために殺されてしまった」

読んでくださりありがとうございます。

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