ep 32 真犯人①
私は混乱している頭をなんとか切り替えて、自己紹介することにした。
「草薙です。周防魔法事務所で助手をしている、高校2年生です。よろしくお願いします」
「植村大河だ。結界師を生業にしてる。よろしくな、夏樹ちゃん」
大河は切れ長の瞳をウインクしてみせた。
「大河。なぜ私達がここに来たのか、わかるかい?」
「ああ。なんとなくな」
大河は脚をぐるりと起き上がらせて、楓先生の隣に腰掛けた。
「昨日楓がうちで実験した時、事情は聞いたしな。あれから色々考えてな、どうにも引っかかってたんだ。楓の時魔法の存在を知らない限り、結界を張る理由がない。魔法使いをよこせ、という書き置きにも疑問がある。それは本当に犯人が残したものなのか?」
「いや、違うよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
私が慌てて入った。
「大河さんが犯人じゃないんですか!?」
楓先生と大河はお互いの顔を見て、クスリと笑った。
「違うよ、夏樹ちゃん。大河は犯人じゃない」
「楓先生、久美子さんの前で推理披露したじゃないですか。魔力検知を掻い潜れる結界師は大河さんしかいないって。犯人は2人組で、大河さんと実行犯が霞ちゃんを誘拐したって。大河さんが結界を張って、実行犯が窓から潜入、そして霞ちゃんを抱えてベランダから飛び去ったって。魔法使いをよこせという文面も、犯人が楓先生を呼ぶために書いたものだって」
「全て嘘なんだよ」
「どういうことか、説明してください!」
訴えると、楓先生は「仕方ないな」と頭を掻いた。
「夏樹ちゃんには霞ちゃんが見つかってから披露するつもりだったが、大河もいるしな、ここで真実を語るとしようか。そう、この事件に犯人はいない」
短くてすみません。読んでくださりありがとうございます。
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