ep26 不可解な事実
「周防です。進捗をお伝えに来ました」
楓先生がそう言うと、久美子は「中へ」と言ってロックを解除した。私達は自動ドアを抜けてエレベーターで35階まで登り、柳沢宅のドアを開いた。玄関で久美子と和博がソワソワした雰囲気で待っていた。
「周防さん、まだ2日しか経ってないのにもう何か掴んだのでしょうか」
久美子が訊くと、楓先生は「お邪魔します」とだけ言って靴を脱ぎ、2人の脇を通り過ぎてリビングへと歩いていった。そしてベランダの窓を開けて外に出て、遥か下方にある道路7日街並みなのかをじっと見つめた。久美子と和博は不思議そうにその様子を見ていたが、たまらず声を上げた。
「下に何かあるんですか?」
楓先生は振り向いて、「ええ」と答えた。
「和博さんに質問です。買い物に出掛けていた時、どのあたりまで行っていたましたか?」
和博は「えぇと」と思い出すように頭を捻って答えた。
「近所です。ここから5分もしないところにある八百屋で買い物をしていました」
「その際、魔法の気配か何か感じませんでしたか?」
和博は更に頭を捻った。
「なかった…と思います」
「そうですか。ありがとうございます」
楓先生がそう言うと、次は台所へ向かった。何かを探すように扉という扉を開け、中を物色していた。私は流石にまずいと思い、「楓先生、他所の家を漁らないでください」と注意したが、気にも留めないようだった。しかし、久美子も「そのあたりにしていただけませんか?」と諭すと、楓先生は仕方なく全て片付けてからリビングに戻ってきた。
「周防さん、何がわかったのですか?この家に関係があるんですか?」
久美子が訊くと、楓先生は長い髪をサッと指でときながら答えた。
「関係は大いにあります。調査の進捗でしたね、お話ししましょう。霞ちゃんがこの家から消えたその瞬間、この家には結界が張られていたというのが私の考えでした。それを実証するために、知人の結界師に協力してもらい、ぬいぐるみを用いて実験をしました。簡単に申し上げると、家の中にぬいぐるみを置き、私は遠くへ離れ、知人が結界を張り、ぬいぐるみを持ち出すという、霞ちゃんと和博さんの当時の状況を再現をしたものです。結果、この家で起こった通り、ぬいぐるみは私の時魔法ではかき消えたように見えました。しかし、私が遠くへ離れた時、結界の範囲外だったにも拘らず結界の気配を強く感じたのです。和博さんはどうだったのか気になり伺いましたが、先ほど仰られたように何も感じなかったということだったので、家に細工がしてあるのかどうかを今調べました。特に何もないようですね」
「霞の安否はどうですか?」
久美子が必死に訊いた。楓先生は頭を人差し指でぽりぽり掻きながら答えた。
「非常に危険な状況ですね。今にも命を絶たれかねません」
「え!?」
その言葉を聞いて、私は思わず叫んでしまった。
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