ep10 ひとつのピリオド
2025年5月12日の更新について、活動報告に載せてあります。
ぜひご一読してください。
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チンピラは呻きながら辛うじて意識を取り戻した。
「な…んだ…」
「柳沢魔法使いに復讐したいと考えたことはあるかい?」
言われ、チンピラが黙った。そして唾を楓先生の顔に向かって吐いたが、楓先生は首を横に傾げ、難なく避けた。
「答える気がないなら、こちらにも手があるが」
楓先生が言った。チンピラはある程度体が動くようになったのか、拳を握り、「さっきの嬢ちゃんならともかく、誰がテメェなんかに…!」と言ってその拳を楓先生に打ち付けようとした時、楓先生は「いばらよ」と呟いた。すると、30センチメートルはありそうな鋼鉄の棘がチンピラの拳の甲から真っ直ぐに地面に突き刺さり、手を地面に縫い付けた。先ほどチンピラ達が使ってきた魔法の矢は刺さっても動けなくなる程度で済むが、この魔法は違った。実際の大きな棘が手と地面に刺さっている。チンピラは悲鳴をあげた。
「あの子は私の弟子だよ。あの子の体術は全て私が教えた。1年であそこまで使いこなせるのはたいしたものだが、まだまだ。あなたは見る目がないね」
「俺は何も知らねぇ!」
強がるチンピラに、楓先生は髪の毛を掴んでいた手を離して、かわりに頭を持って持ち上げた。楓先生の握力は200キロにも及ぶが、加減しているようである。またチンピラの悲鳴が上がった。
「話さないなら直接脳に聞くが、いいかね?運が悪くて死亡、良くて廃人になるが」
「ひっ…」
チンピラは引き攣った声を上げた後言った。
「わかった!話すからやめてくれ!」
言われて楓先生は、手を離すことなく訊いた。
「復讐したいと思ったことは?」
「俺達が活動できないようにされたんだからな、もちろんある。だからプロに依頼した。赤ん坊を連れ去るように」
「子供の存在をどこで知った?」
「プロの話からだ。復讐できるならなんでもいいと伝えたら、あの家には子供がいるって…」
「プロっていうのは誰のことだい?」
「黒いフードを目深に被ったやつだ。男なのか女なのかもわからねぇ」
「子供の居場所は?」
「桜ヶ丘学園だ。魔法使いの学生を欲しがってた学園に売った」
「ご苦労」
楓先生は手を離した。同時に手を縫い付けていた針もなくなり、チンピラの手にできていた穴も塞がれていた。吐いた直後に解いたのだろう。チンピラは多少息を荒げながら言った。
「お願いだ!この情報が俺たちから漏れたことは隠しておいてくれ!殺される!」
楓先生は倒れてすがるチンピラを見下しながら言った。
「情報主は守る。最後に、黒フードの人間が何者なのか。なぜあなた達に話を持ちかけたのか、教えてくれるかい?」
「わからねぇ。突然来たんだ。柳沢魔法使いに恨みがあるのだろうってな。俺達は仕事のルートを失って、ただただ乗るしかなかった」
「結構。概ねわかった。後は夏樹ちゃんに探らせよう。ご協力感謝する。最初からそのような態度なら、夏樹ちゃんに殴られずに済んだのにな」
「俺達にもプライドってもんがある。最初は牙立てないとな」
「黒フードには立てなかったのにかい?」
楓先生がそういうと、チンピラは黙って俯いた。
「まぁいい。かまやしないさ。情報ありがとう」
そう言って、楓先生は私の名を呼んだ。
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