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04

なんの関係があるのかと震える体。


「だから、あのモンスターを倒したってユイが代わりにデータ情報を取ってほしいんだけど」


「えっ?」


ユイは母に手を引かれて波のところの手前まで連れてこられる。


「リヴァイアサンが向こうにいるでしょ?」


「あ、うん」


上の空の返事になる。カホコがナイフを手にしていることを今知って、カホコが凍っている部分に刃物の部分を当てたかと思えば、長細い四角形に氷が向こう側に跡を残し、手を当てたところが押されて動く。


ゴリゴリ、ゴトン、と音がしたら氷のトンネルができていた。ハテナマークが浮かぶ。通り終えるとそこにはまるでフィギアのように固まったリヴァイアサン。


「早く。精算して」


討伐したモンスターを勝手にデータとして取り込むためにと、ギルドカードを出すように言われる。カホコがカードをもらえば、リヴァイアサンを討伐したとカードに記される。

今のカードは電子か、と感嘆の声をあげる母の声が遠くに思える。


「じゃあ、母さんが持って帰るから」


「え、無理だよ」


こういう大型モンスターは、たくさんの人が関与して持ち込まれる。


「む」


無理だと二度目に言おうとしたら、ユイの目の前でリヴァイアサンが消えた。


「?????」


カホコに足されて、ユイはさっきの場所に戻る。そして、母がユイを外に出す。その際、ユイの端末でずっとダンジョン内を撮影していたと後程知る娘はリヴァイアサンの討伐シーンも取れていたことを知り大興奮になる。

外に出したが、ダンジョン内から出られなくて母は首を傾げる。


「出られない」


「進化したダンジョンからは出られないの。はいるのは好きなだけ入れるけど」


「救助はこれるけど今すぐこないんだ」


ユイはのほほんとしている、いつもの母だとホッとした。


「ボスを倒さないとダメなの。今回のボスはギガンテスっていって」


「ユイは物知りだね」


「昔から、データを覚えるの好きだから」


ゲームのキャラを覚えて楽しかったから、そういうのが楽しくてオタクになっていた。


「ギガグンテスを倒せばいいの?」


「うん。ギガンテスね」


「ギー、とにかくそのモンスターのところに行こうか」


「え、行ってどうするの?」


母は澱みのない足取りで、ギガンテスのいる場所へ堂々と進む。


「ユイはくる?」


「い、いかないよ!」


流石にボスは無理だ。ギガンテスなんてAランカーのリーダーが率いるチームでないと。さらに、準備もしっかりして。


「わかった。ユイはここにいて」


「え、え、え、母さん!?」


ちょ、ちょ、と止めようとしたがギガンテスが動いて心臓が止まるかと思った。巨体が母を殺そうとしている。


「やめて!やめて母さん!死んじゃうよお!」


ここまでどうやってきたかなんて、頭になかった。叩き潰されるだろう姿なんて見たくない。


「ユイちゃん」


母はユイを優しい目で見ていた。


「今日のお夕飯考えておいて?今日は献立考えるの、めんどくさいから」


母の口癖、面倒くさい。まるで家にいる時のような顔で、声音で母が口元を緩くあげた。ギガンテスが手を振り上げる瞬間も一緒に見えて、ユイは手を母へ伸ばす。


「ガアアアアア!!」


敵の咆哮が体に痛い。ギガンテスの手を振り上げる動作で、母の髪が舞い上がる。スローモーションのように、それがよく見えた。




──ザンッ




耳に聞こえた音は鈍い音ではなく、風を切るような重い音。


「グキャ」


ギガンテスはなにか小さく吠えると首から血を流して、その顔が後ろに落ちる。


「いやああああ!かあさああんんっ」


「ユイ、落ちたのはあっちね」


ユイは、はやとちりしてしまった。しかし、落ちたと思い込むのは当たり前だろう。母の手には赤い剣が握られていた。Aランクのモンスターをソロで討伐なんて、ありえない。思わず母へ駆け寄ると抱きついた。


「死んだ?生きてる?」


「相手は死んで、母さんは生きてるでしょ」


「なんで?なんで?」


「勝ったから?」


母の言葉にユイはわけがからなさすぎて、むせび泣いた。


「なんで生きてるのー!?」


カホコは生きているからだけど、と言おうとしたけどあまりにも娘が泣くから、頭を撫で続けた。







「駄女神とお付きのユイです!」


カホコは今、自宅でユイと共にスマホのカメラを前に配信とやらをしていた。駄女神というのはカホコのあだ名らしい。誰がつけたのだと聞くと、画面を指差し「リスナーのみんなだよ」と輝く笑顔を見張る。


リヴァイアサンとギガンテスの映像をユイは撮影していたらしく、動画をサイトに上げたいと言われたが嫌という。バーチャルスキンを被せるから、声も変えるからと言われるがせっかく素材を隠しているのにバレるではないかと首を横に振る。

しかし、討伐をしたとカウントされているリヴァイアサンとギガンテスの報酬をもらってホクホクな懐を持つ娘が、とてもいいと話題の枕や寝具。さらにお菓子も買ってきてもっと頑張るからと、なにを頑張るのか抽象的な約束をしてきた。


「ユイ、配信は聞いてない」


いつの間にか動画を見た人達から駄女神と呼ばれるようになっていたらしい。バズったとか、再生数とか色々教えてくれるけど興味がなくて、反応に困る。


「いいじゃんお母さん」


今、動画の中の二人はバーチャルな姿で映っているのだとか。


「また事後承諾」


母と娘呼びも、そういう設定と思われているのだという。


「その代わり、今度のテストがんばるから」


それは自分でやるべきことなのだが、そう言われるとやる気を削ぐのもどうかなぁ、と思ってやはり我が子だから甘やかしてしまう。


「九十点以上取れなかったら十日間カレーね」


「それはひどいよ!育ち盛りの娘の主成分がカレーになっちゃうじゃん!」

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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