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03

ユイ達のところにもモンスターが発生しており二又の蛇が目の前にいて、生徒達は驚く。逃げたくても挟まれて逃げられない生徒達が多い。進化後は今までいたモンスターと新たに発生したモンスターも増えてしまうらしいと、自分も昔の知識で思い出す。


「ユイ」


ユイが巨大な生物の近くにいて、すぐにでも怪我をしそうだ。


「ユイの位置情報へ移動」


カホコは言葉で魔法陣を発動させて、その場から煙のように消える。だれにも気付かれずに。



「うわああああ!ギガンテスだぁ!?」


男子生徒が言わずとも誰の目にも明らかだ。だが、ボスなのでここから動かないタイプで今は助かった。


「ひぃ」


逃げよう逃げようとなるが、進化したらしいダンジョンは出られなくなる。入ることはいくらでもできるのだが。


「ボスを倒すまでダンジョンから抜けられない!」


ユイはみんなに知らせる。ユイはダンジョンオタクだ。それを知られたくなくてソロなのである。


「か、母さん」


震えてしまう。近くにいるのだろう母親を呼んでしまうのは、精神的に折れかけていたからだ。ギガンテスがボスであるが、モンスターはわらわらといる。アイテムは持ってきているが、ここへ助けが来るまで耐え凌げるかわからない。涙で瞳が潤む。


「進化なんて最新は十五年前、今回は今日……」


ユイはダンジョンの情報も当然知っている。


「うう」


クラスメイト達とは少し離れたところにいるユイは、近くでモンスターが発生してしまった生徒へ加勢した。


「はぁ!」


金属が通じない硬さ。


「く!」


弾き飛ばされたので後ろに下がる。その際、目の前にまたモンスターが発生した。


「また!」


今度は何なのだと身構えて、見えてくるモンスターに絶望した。


「リヴァイアサン!?」


海のダンジョンにいることで有名なモンスターがここで湧く意味がわからない。このダンジョンが進化した時に水のエリアができたのかも、と考えていたがボスレベルのモンスターに逃げ続けるしかない。幸い、この場所は広くて逃げやすい。


「リヴァイアサン!?」


他の生徒達が怯えて逃げ惑う。ザアアアアアア、と音が聞こえて水が生成される。


「荒波!」


モンスターオタクでもあるユイは顔を白くさせて、立ち尽くすしかない。規模がでかすぎる。大きなビルを飲み込む高さの波を防げるわけがない。ここにいるのは、初心者をちょっと抜けた程度の子供だけ。


「きゃああ」


「うわああん」


もうだめだとみんなの心がぺしゃんこになる。波が高く上がり、こちらへ近づく。

モンスターではなく、波など自然災害だけでも十分脅威だ。母や父、家族の顔が過ぎる。


「母さん、母さん」


口からポロッとこぼれ落ちる言葉は、ユイから生きることを諦めさせる。目を閉じるよりも先に目を下に落とした。命を奪う水を見続けられない。




──バキバキバキバキィイイイ


ユイはその時間が何時間にも感じられたが、音がなくなったと感じてゆるゆると上を見た。


「さ、寒い?」


寒さを感じたのもある。波はそこで時を止めたかのように静止していた。絶望を長引かせるためだろうかと思ったが、ひやりとしていて凍っているのだと誰かが告げる。ユイ本人も確認したら凍っていた。


「な、んでっ」


「ユイ」


後ろから声が聞こえてパッと振り撒くと、いるはずのない人がいた。


「母さん!」


驚きで白い息が出た。気温が低い。


「なんでここに?リヴァイアサンがいるから死んじゃう!」


こんなところ、殆どモンスターパニック、モンスターハウスと呼ばれるモンスターだらけの事態だ。Fランクの母がいても死ににきているだけだ。


「それよりも、お母さんギルドカード処分したでしょ?」


「え、あ、うん?そうだね」


母が何食わぬ顔でこの前のことを言ってくる。

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