第一話爆炎の支配者
時は20XX年。人類は突如出現したワームホールから発せられた光によって、別世界の地球に転移してしまっていた。転移した当初は魔物と人間の資源の奪い合いによる争いが絶えなかったが、今では魔王と人間を代表するもの・勇者・によって協定がなされ争いは終結していった。だが、あることがきっかけで爆炎の支配者という異名を持つ炎魔族と勇者の交戦により多大なる犠牲を出してしまった。これにより魔王は自らと、側近たちを封印することで魔族と人間の戦争を止めた。これはこの事件が起きて5年後の物語。
とある焼け焦げた大地の近くにある城下町にて。
「お前さんまだ、訓練兵じゃろう?」
「はい!王国騎士団長様直々のご命令でこの地区に派遣されました!」
「それで僕達は具体的に何をするんですか?もしかして魔物の処理とは?」
「ふむ、まあ確かに処理ということはあっておるが魔物だけじゃない」
「?魔物だけじゃないとは?」
「説明するより見てもらったほうが早いじゃろうな」
少し歩いて辺り一帯が焼け焦げた大地に着いた。
「なん、ですか、これ?人間の、いや魔物の死体も黒焦げになってる。もしかして処理というのは」
「ここら一帯は1年前ある魔物と先代勇者様が激突した場所じゃ」
「確かここら一帯って、唯一魔物と人間が友好関係を結んで共存していた場所じゃ?」
「おーよく知っておるの正解じゃ」
「でも、今はこんな焼け焦げた大地になっている。もしかして魔物の軍隊が反乱を起こしたとか」
「いや、軍隊などではない。たった一人の魔物にこれだけの被害が出たのじゃよ」
「は?」「いやいや、流石にデマ情報でしょう?たったの一人がこれだけの被害を出すなんて」
「ちなみに言うと儂らの仕事は死体の処理じゃ」「死者は魔物と人間を合わせて10万を越えるそうじゃ」
「まあ、100キロも消し飛んでいたらそれぐらいは死んでいるじゃろうな」
「しかもこの事件を起こした・爆炎の支配者・は姿をくらましてしまったようじゃしの」
「爆炎の支配者?なんですかその名前?」
「ここに転がっている者たちの仲間が息を引き取る前に口にしていた名じゃ」
「最も、魔物の間では結構有名じゃったらしいがの」
「ちなみにその爆炎の支配者は今どこに?」
「わからん」「もう勇者様によってトドメを刺されたという話もあればまだ生きているという話もある。」
「せめて特徴さえわかれば良いんですがね」
「特徴を知ってどうするのじゃ?」
「決まってるじゃないですか!なぜこんな事件を起こしたのか問い詰めるんです」
「ほー、お前さんなら討伐する等と言いだすと思ったのじゃがな」
「さすがの僕もそんな無謀なことをするほどアホじゃないですよ」
「ホッホッホッそれで良い。まあ特徴は少ししかわかっていないが、教えておこう」
「お願いします!」
「その眼は紅色の輝きをし、髪は炎をも飲み込まんとする赤髪だそうじゃ」
「それだけ?」
「そうじゃ」
「でも情報を知れて良かった」
「うむ、もう一つ情報を教えておくと、爆炎の支配者は炎の大精霊、イフリートによって力の大半を己持っていた剣に封じ込められたらしい。」
「なぜそれを僕に?」
「いずれ知ることになっておったじゃろうしの、ただそれが早くなっただけじゃよ」
「それはどういうことですか?」
「実はの、爆炎の支配者の圧倒的な力を我が物にしようと数多の人間や魔物がその剣を引き抜こうと封印の地に出向いているらしいのじゃ」
「しかも人間の多くは訓練兵ばかりという話じゃ」
「だからいずれ知るなんて言っていたんですね」
「それはそうと仕事じゃ、ほれさっさと終わらせて飯でも行くぞ。」
「死体を前にそんなこと言えるのやばいですね」
「もう慣れてきておる証拠じゃな」
「それはそうとお主の名は?儂の名はゼフェル」
「僕は、ネールよろしくお願いします!」
「うむ。よろしく」
これはある少年と少女、そしてその仲間たちの物語。