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ダンジョンの裏側

作者: 三海堂

異世界や現実世界に突如として現れるダンジョン。一体だれが作っているのでしょう。

 1話 スライム


 世界にはダンジョンと呼ばれる異空間が突如として発生する。基本的ダンジョンはモンスターと呼ばれる生物が存在し,最奥には価値の高い宝が安置されており,その宝を持って帰るとダンジョンは消滅する。

 今日も今日とて冒険者たちが宝を求めてダンジョンへ挑む。


 通知

 ダンジョン…1部屋

 モンスター…スライム


 通知書を見て落胆する。今回の構成でどうやって戦えというのか。その考えとは裏腹になれた操作で,何か作業を行う男の姿。男の容姿は平凡そのものであり唯一特徴を上げるとしたら,頭からこぶのような角が生えていることだろう。男の手が止まると空間が変質し,入り口から入ると大部屋が一つある洞窟が出現した。ただし,そこにはただの洞窟では存在しえないモノが2つあった。成人男性の手のひらにぎりぎり収まりそうな大きさのゼリー状のモノが数匹と,銅で装飾された宝箱だ。


 前者はスライムで最弱と呼ばれるモンスターだ。子供が殴っただけで,バラバラになり,体積が一定以下となると動けなくなり死ぬ。いちおう自分の身体を吐き出すようにして酸性の液体を飛ばすことで攻撃してくるのだが,体積が減りそのまま死んでしまう。


 後者はダンジョンを生成するとランダムで安置される宝箱だ。銅の装飾は価値が低いものが入ってる場合が多い。


 ダンジョン製作者の男は,スライムたちに一斉に攻撃することだけ指示すると,空間に溶けるように消えた。


 数日後,冒険者がダンジョンへ足を踏み入れた。冒険者は男が一人でたまたまダンジョンを発見したようだ。冒険者の男は中へ松明を投げ入れる。その光に照らし出されたのは,スライムが数匹と奥側にある宝箱の存在。ダンジョン構成によってはソロでは攻略できない場合があるが,今回は問題ないようだ。男は確認が終わると一番近くのスライムへ近づくと適当に蹴り飛ばす。蹴られたスライムはバラバラになりもう動かなくなった。この動作をあと数回繰り返すだけで宝が手に入ることに笑みを浮かべる男。その意識の外から,残りのスライムは一斉に液体を発射した。スライムは攻撃するとスライム自身死んでしまう生態のため,外敵によって自身の死が近い時にしか攻撃しないものである。そのため,攻撃を想定していなかった男は様々な方向から飛来する大量の酸を避けきれず,男は酸を全身にかぶってしまうが,その結果は軽いやけどと装備の劣化にとどまっている。生死を掛けた一撃でこの威力のため,軽い衝撃で死ぬことと合わせて,スライムは最弱と呼ばれるのだ。男は腰に下げていた水筒をひっくり返し,頭の上から水を浴びて酸を洗い流す。最弱のスライム相手に慢心から受けた被害による治療費,装備の新調代を考えると頭を抱える羽目となった。男は酸を発射し,息絶えているスライムたちを横目に足を進め,宝箱を開ける。中にはショートソードが入っており,品質はよさそうだ。トータルで黒字となった男は気分を良くしダンジョンを去っていった。


 冒険者の男が去ると,空間が歪み,ダンジョン製作者の男が現れる。スライムだけで冒険者に被害を与えた結果に満足した様子だ。そんな男の前に封筒が落ちてきた。封筒の表紙には通知書と記載されている。男は通知書を手に取ると,攻略されたダンジョンとともに,空間にまた溶けるように消えていった。





初投稿です。誤字脱字,変な文脈等ありましたら,コメントください。訂正します。

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