056
玄関に駆け寄った、あたしと遥乃。
月曜日の朝は、晴れていた。
靴を履いて、あたしと遥乃は外に出た。
肌寒い、秋から冬の空。乾燥した空気が、肌寒い。
鞄を持って、あたしは歩いていた。
隣には、雪乃。髪の長いあたしの双子の姉。
マスクはしているけど、二人は笑顔で学校に向かう。
「ねえ、今日の学校は?」
「体育があるから、楽しいかも」
「体育が好きなのは、相変わらずね」
「だって、部活ないし」
あたしの部活は、しばらく活動をまともにしていない。
そのため、体育の授業は貴重なストレス発散場所だ。
「ねえ、雪乃」
「なーに?」
「ずっと疑問だったけど、最後の戦い……
なんで多田君と光山さんと一緒にいたの?」
「多田君が、あたしを助けてくれたの」
「どうして?」
「どうして?ってどうしてだろう」
確かに、不思議だった。
数時間前まで、敵として戦っていたクラスメイト。
多田 勢場は、神々のカードゲームの最強のプレイヤーだ。
絶対王者にして、カードゲームの天才。それが多田 勢場。
だから、あたしにとって彼は敵でしか無かった
「わかんない」
「ねー、多田君は雪乃のクラスメイトよね?」
「うん、2年C組よ」
「もしかして……」
「もしかして?」
「多田君は、雪乃が好きじゃないの?」
「えっ、それはない」あたしは、即効で否定した。
あたしは多田と、親しく話したことはない。
無論、多田もあたしの事をよく知らないだろう。
「そう、じゃあ、そういうことにしておいてあげる」
最後の『あげる』に意味を含ませた言い方の遥乃、含みがあった。
からかわれたあたしは、軽く怒って見せた。
「違うから」ムキになったあたし。
「あははっ、雪乃が怒った」
からかう遥乃に、あたしは追いかけた。
(ああ、これが幸せなんだろうね)
あたしは、今をかみしめていた。
この幸福な、今の時間を感じながらあたしは遥乃と学校に向かっていくのだった。
そして、駅に向かう道の途中。
あたし達姉妹は、一台の車とすれ違った。
その車には、多田 勢場が乗っていたのを。




