053
(YUKINO‘S EYES)
遥乃の答えに、あたしは一瞬ドキッとした。
考えれば、遥乃は十の位だけを当てれば勝ちが決まってしまう。
そういう状況だというのを、思い出した。
しかも、あたしのことを容赦なく揺さぶってきた雪乃。
双子の雪乃は、私の考えがよく分かっていた。
あたしが普通では無い特別に、憧れを抱く。
そのことを、遥乃はよく知っていた。
だから、遥乃はあたしに何度も聞いてきて確認をしていた。
遥乃は、特別に優れていていくつもの奇跡的体験をした。
確かにあたしの数字は、普通ではない。特別な数字。
(それでも遥乃は、いつも通りで安心した)
ゲーム前の遥乃に、既に戻っていた。小学校の時の遥乃に見えてきた。
あのときのような、ドキドキが高校生になって蘇ってきた。
これは、紛れもないあたしの姉であり……遥乃だ。
(後は遥乃のカードが、何を考えて選んだのか)
遥乃は奇跡の人間だけど、決して変人では無い。
斜め上をいく選択は、以外としない事をあたしは知っていた。
彼女が、なにかしらで数字を選んだというのならばその数字は根拠に基づくモノが必ずあった。
(遥乃の数字、よく考えたらもっと簡単な数字では無かろうか。
遥乃は、あたしが数字を言う度に落胆していたし)
当てて欲しいのか、欲しくないのか。複雑な遥乃の心が見えた。
だとしたら、遥乃にとって身近な数字なのかもしれない。
「ねえ、遥乃」
「なに?」
「あたしも、その数字を見た事がある?」
「ある」はっきりと遥乃は、答えてきた。
「それって、最近?」
「ノーコメント」ここを、黙秘してきた遥乃。
だけど、あたしは黙秘である事を考えていた。
(きっと最近見た事が、ある数字だ。
遥乃は、昨日まで病院にいて……病院?もしかしてあの数字?
だとしたら……確かに82でも55でも数字が被ることはない)
一つの数字が、あたしは思いついた。
遥乃の微妙な反応も、どこか気になっていた。
当てて欲しいが、当てられたくない複雑な感情。
考えている間も、砂時計の砂が少なくなっていく
あたしは呼吸を整えて、覚悟を決めた。
「コール『63』」体育館にこの数字が響いた
私が言った瞬間、はっきりと遥乃は顔が崩れた。
その瞬間、遥乃の口がゆっくり開いた。
「違……わない。正解よ」
遥乃は、どこかすがすがしい顔で負けを認めていた。




