049
(YUKINO‘S EYES)
ナインティナインカードは、選択肢が99+1つまり100分の1を当てるゲーム。
だけど、一の位か十の位のいずれかが当たれば、当たりを申告しないといけない。
先手の遥乃は、いきなりあたしの数字の答えに大きく近づいた。
あたしの一の位を、一発で当ててきた。
「やった、雪乃の考えは分かったようなモノね」
光山と冴木は、黙ってあたしと遥乃の戦いを見ていた。
いつもべらべら喋る冴木も、審判だと驚くほど静かだ。
現状を確認した。
対戦相手の遥乃は、既に一の位が1である事を当てていた。
次は十の位が、5以外の数字を言ってくるのは間違いない。
つまり9分の1の選択肢で、あたしの答えを当てに探ってくることは間違いない。
(マズイ、マズイ、マズイ)
相手の選択肢が、一気に狭まった。
あたしは、危機感が一気にあった。
だけど、顔には絶対に出さない。顔に出したら、鋭い遥乃に読まれてしまう。
「後攻、雪乃」光山のコールで、あたしは遥乃をじっと見ていた。
「今度は。あたしの番ね」
余裕は無い、自信も無い。
それでも最初の遥乃のターンを見て、あたしは考えたことがあった。
「ねえ、遥乃」
「なにかしら?」
「遥乃と冴木は、ここに来る間に……どんな話をしたの?」
「特に話していない」
遥乃は、仏頂面で言い返してきた。
会話が全然進まないし、遥乃の感情が動かない。
最初のアイドリングトークは、からくも失敗した。
「遥乃、この数字は遥乃が選んだの?」
「そうよ」割と大事な情報を、あっさりと答えた遥乃。
その顔には、自信が窺えた。
「あっさりと言うのね」
「私が選んだとしても、雪乃には絶対に分からないし」
「そう、そうかもね」
「逆を言えば、私が分かって欲しい数字を選んだの。
雪乃には、私が一番大事にしていたこの数字を選んだし……知って欲しかったから」
「随分と、いろいろ喋るのね」
数字を半分当てた、余裕からだろうか。
饒舌に雪乃は、私に話してきた。
しかし、それだけでは数字のヒントが出てこない。
「いくら話したところで雪乃は、分かるはずもない。
雪乃は、私の事を何も知らなかったと絶望を与えて完全勝利を収める。
そして、あなたは私の視界から永遠に消えることになるわ」
確かに現在の有利な状態ならば、あたしに余裕を見せてきても不思議ではない。
(いくつか候補はある、遥乃の出席番号とか。
一緒に行った、カラオケで初めてたたき出した点数とか。
それとも……あたし達の共通の数字であるあの数字とか)
砂が、徐々に落ちていき……あたしの頭の中で一つの答えが出てきた。
(そういえばお見舞いの時に、遥乃はいつもあたしが来た回数を覚えてくれていた。
だから、あたしが知っているあの数字を言えばいい)
そしてあたしは口を開いた。
「コール『82』」
あたしは、遥乃がこの前言ったあの数字を口にした。
しかし、遥乃は不敵に笑っていた。
「残念ね」
遥乃の数字に、どちらの位もかかっていなかった事が告げられた。
あたしは、それでも現実を受け止めて冷静に務めていた。
「次のターン、天瀬 遥乃」冴木は淡々とコールをしていた。




