047
カードが、あたしと遥乃の周りを飛んでいた。
それは、とてもキラキラと輝いているようにも見えた。
まるで飛び回るカードが、光る蛍のようなそんな風に見えていた。
光山が出してきた周囲のカードを、あたしは見回す。
「これは?」
あたしが問いただす。
すると、光山の前には既に黄金の天秤が置かれていた。
近くには多田が、怯えた様子で見ていた。
光山の隣では、冴木もそばに来て戦況を見守っていた。
「雪乃と遥乃、二人の周りには1~99の100枚の数字が書かれたカードがあります。
その中から、1枚を選んでカードを隠します。
そのカードを、先に当てた方が勝ちです。
ただし、ターンの制限は砂時計……この砂が落ちるまでにコールする時間が与えられる。
砂が落ちるまでに数字が言えなければ、相手にターンが移る」
「そのカードゲームの名は……『ナインティナインカード』ね」
「天瀬 雪乃。あなたは、このゲームを知っていたのですか?」
「え、あ、うん……」
あたしは、このゲームを知っていた。
遥乃が、多田と戦っていたのをこの体育館で倉庫に隠れて見ていた。
そして、あたしは遥乃が負けたのをこの目の前で見ていた。
だけど遥乃は、無言であたしをじっと見ていた。
彼女の回りにも、100枚のカードが舞っていた。
「それともう一つ、ルールがある」
「何?」
「相手のコールした数字で、十の位と、一の位のいずれかが合っていれば教えなければならない。
これがもう一つのルール」
「分かったわ」あたしだけが返事し、無言で遥乃は聞いていた。
「ではこのゲームを神々のカードゲームと認定したので望みを確認しましょう。
天瀬 雪乃、あなたは遥乃を元に戻して欲しい」
「そうよ、あたしの遥乃を返して!
遥乃は、神になることを臨んではいない!」
あたしは、はっきりと叫んでいた。
「天瀬 遥乃、あなたはどうするの?」
「……」沈黙を貫く遥乃。
「遥乃。あなたの記憶から、天瀬 雪乃の全てを消し去りたい。そうでしょ」
冴木が代わりに、腕を組んで言ってきた。
「遥乃は、そんなことを望んでいない」
「いいえ、望んで……」
「分かったわ。雪乃には、ここで消えてもらいましょう」
遥乃は、冷たい口調ではっきりと言い放った。
その言葉を聞いた光山は、次の宣告をした。
「では、早速カードを1枚選びなさい。
そのカードを、相手に当てられたら負けですから」
あたしは、右手を握りしめて宙に浮かぶカードをじっと見ていた。
そして、1枚のカードを見つけて手にした。
あたしのそばでは、多田が無言で頷いていた。
(そうだ、この数字はあたしだけの数字じゃない)
あたしはカードを手に取って、覚悟を決めていた。
「いいわよ。あなたが勝ったら、あたしは消えてやる。
だけど、あたしが勝ったら遥乃を普通に戻してもらうから」
あたしは、はっきりと言い放って冴木を睨んでいた。
それと同時に、冷めた顔で遥乃は1枚のカードを手にしていた。




