表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
三話:ブルチックゲーム
41/56

041

『激怒9』は怒り。

『恍惚9』は喜び。

つまり感情の優位性で、あたしのカードには1.1が加算された。


「3ポイント対2ポイント、勝者天瀬 雪乃」

光山が、あたしに勝ち名乗りを上げた。

だけど、あたしは素直に喜べなかった。

いや、むしろ驚きの方が強かった。


カードゲームの天才的な戦を誇り百戦錬磨の多田 勢場に、あたしは勝ったのだ。

多田は、そんな驚いているあたしに拍手をしていた。


「完敗だよ、天瀬 雪乃」

「あなたは、3戦目に勝負を賭けなかったのはなぜ?」

「僕は、感情に乏しいから。

最初の2枚のカードは、ゲームの特性を知っていた僕が……強いカードを作った」

「そんな気はした」

「でも、流石にズルはしたくない。

僕は百戦錬磨だけど、ズルをして勝ったことはない。

相手を騙すことはあるけど、それもルール内でのことだ」


意外と潔い多田は、自分の弱さを知っていた。

あたしの姉……遥乃に勝ったときもそうだ。

ズルはしなかった、正々堂々……頭を使って読み合いを勝ち抜いてきた。


「でも、姉妹丼は出来ないのは残念だけど」

「な、な、何を言っているの?」

「約束は約束、君の……」

すがすがしい多田は、負けを認めていた。


「約束だ、まずは敗れた多田 勢場。

お前が手に入れた全てを、彼女……天瀬 雪乃に返す」

「待って、それだけど……」

「どうした?」

「あなたが望んだ全てを、奪った全ての人間に返してくれればそれでいい。

元あった人に、元々の才能や記憶を返して欲しいの」

「いいよ、君はそれが希望だろ。僕からも頼む」

多田は、素直に光山に頼んでいた。


「分かりました。ではあなたの奪った全てを、返却します」

光山が、天秤の右の皿を指で下げる。

すると、多田の体から黒いオーラのようなモノが出てきた。

そのまま、そのオーラが空高く飛び上がって各地に散っていく。


ある光は、近くのグラウンドに部活で汗を流す女子生徒に。

ある光は、バスの中に乗り込んだ男子生徒に。

ある光は、自宅でくつろぐ私服の女子生徒に。


多田が望みで得た全てが、負けた生徒に返っていった。

多田はすがすがしい顔で、あたしを見ていた。


「ありがとう」

「あたしは……ただ遥乃が元に戻ればいい。それ以外は、何も望まない」

そのために、このゲームを続けていた。


そして多田に勝って、あたしは取り戻した。

変わり果てたあたしの姉を、再び取り戻した。


スマホで確認した、あたしの階級ポイントは『11勝』。

裏サイト(MNEMOSYNE)を見ながら、あたしは光山を見ていた。


「ゲームはこれで終了する」

「待って、一つあなたに質問よ」

「その前に……面白いことになったわね」

それはあたしの声じゃない。

うさ耳カチューシャをした、女子生徒が階段を登ってここに姿を見せてきた。


「お前は……」

「冴木 女天栖(メーティス)

冴木は、いつも通りにこやかな顔であたし達の前に姿を見せてきた。


「何しに来た?」

「ちょっとねぇ。多田君、君は神になれなかったのよね。幻滅よ」

冴木は、ヘラヘラと言ってきた。

だけど、多田は冴木をじっと見てきた。


「神になれなかった僕を、笑いに来たのかい?」

「まあ、多田君とカップルは解消するのは本当よ。

だけど、もっと大事な話をしないとね」

「大事な話?」

「天瀬 遥乃を、神にしちゃいました~」

それは冴木が言い放った、謎の一言だった。

だけど、後ろから声が聞こえた。


「ダメよ、そんなことをしては……いけない」光山が呟いた。

「あら、いいじゃない」

だけど、あたしは動き始めた。

そのまま、屋上の階段に近づく。


「そんなことはしない、いや、させないから」

あたしは強ばった顔で、屋上から階段を降りていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ