表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
三話:ブルチックゲーム
37/56

037

あたしの手元には、5枚のカードがあった。

このゲームは、感情の強さがカードの強さ……数字として表現されていた。


普段の多田を、あたしは学校でよく見ていた。

クラスメイトだし、席は一番前に多田が座っているし、嫌でも目に入ってしまう。

遥乃との戦いの後に、彼の事が気になって仕方が無い。

だけど2年D組の中では大人しく、余り目立たない男子生徒だ。


だけど、カミアラソイでは絶対王者。

カードゲームの天才で、あたしの知っている人を何人も倒していた。

同じクラスでありつつ、あたしと全く接点のない男子生徒。


そんな彼と、神々のカードゲーム(カミアラソイ)という同じゲームをしていた。

そして、敵としてあたしの目の前に堂々と彼が立っていた。

カードを広げて、最初の1枚を選んでいた。


(さて、何を選ぼうか?)

5枚のカードを、あたしは眺めた。

多田にも、5枚のカードが持っていた。

だけど、牛王はある情報を言っていた。


(ブルチックゲームは、多田にとってそれほど有利なゲームじゃない。

このゲームなら、君にも勝機があるかもしれない。

だけど……彼の戦術は天才的だ)

直接戦った牛王が、多田 勢場という男を分析していた。

昼間の生徒会で聞いた言葉を、あたしは真剣に受け入れた。


(確かに多田のリアクションは、大袈裟ではない。

クラスの中でも、とても大人しい部類だ)

つまり、感情値は強くはない。

だけど、多田が天才と言われるのは読みの鋭さだろう。

あたしは、そう推測していた。


(最初に、何を選ぶのだろうか)

多田が持っている手札は、勿論分からない。

カードの強さだって、フェアでは無い。本人の感情が大きく影響するからだ。


(カードの強さなら、多田には負けない。彼よりも感情はあなたが遥かに豊だから……)

賀木も、あたしの事を信じてくれた。

カードの絶対的強さを信じて、あたしは1枚のカードを選んだ。

伏せた瞬間、やはりカードが一気に大きくなった。

最初のカードは、あたしは既に決めていた。


(このカードを、まずは選ぶ)

伏せた1枚のカード。

それは『悲観8』のカードだ。最強でも無ければ、最弱でも無い。


平均値のカードで、相手の出方を見る選択をしてきた。

このカードの最大値は10で、8はかなり高い数値だ。

後は感情による強弱もあるけど、まずは数値の平均的なカードで様子を見ることにした。


(多田君は、どんな戦術で来るのだろう)

それを読み解くためにも、最初のカードは大事だ。

目の前の多田は、少し考えて悩んだ仕草を見せた。


「考えるのが、君は早いね」多田が喋ってきた。

「最初のターンだしね」

「いろいろと僕の対策を、君は考えてきたようだね」

「ええ。あなたの戦術は、恐ろしく危険だから」

「僕も君のカードは、強いのじゃないかって思った。

正直照美栖は、僕を負けさせたいのではと思えてきたんだよね。

だから僕がかつて苦戦した『ブルチックゲーム』を、選んだと思っているほどだ。

多分、この初戦を負けたら僕は終わりだと思う」

「あら、いきなり敗北宣言?」

「そうだね、負けたら降伏するかもね」

多田の言葉は、完全なブラフで揺さぶりだろうか。

それとも、彼の本音だろうか。

分からないが、多田も1枚カードを伏せて出してきた。


「カードは出そろったな。

両者、最後の変更はいいか?」

ここで、最後のカード変更が出来る。

最も相手の手札が分からない中で、カードの変更に何の意味があるのだろうか。

光山の言葉に、あたしと多田は首を横に振った。


「ではカードを、オープンする」

そして自動的に開いた大きなカード。

開いた瞬間、あたしは多田のカードを見て目を大きくした。


「『激怒10』……まさか」

私も持っていない10の数値の最強カードを、いきなり多田は出してきた。

私の出した、『悲観8』の数字ではどう足掻いても勝てない。


「ポイント1、多田」

審判光山の声だけが、静かな神の箱の中に響いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ