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神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
三話:ブルチックゲーム
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036

決戦の金曜日が、やってきた。

この日、あたしはメッセージで指示された場所に来ていた。

学校の屋上は、夕方になるととても寒い。

鉄筋のコンクリートの床に、鉄の柵というシンプルな構造。


校舎の屋上から、グラウンドや学校の裏山が見えた。

空気が澄んでいれば、仲津の海も見えるそんな四階校舎の上。

秋から冬に変わる季節で、冷たい秋風が吹いていた。


(やれるだけのことは、あたしはやった)

あたしの手元に、5枚のカードが揃っていた。

ブルチックゲームは、カードの強さでゲームの大半が決まると牛王が言っていた。

あたしはカードを見ながら昼休みに、生徒会室で対策も練ってきた。


今回の相手は、絶対王者の多田 勢場だ。

『カードゲームの天才』と言われる男子生徒、彼が相手だ。

あたしは、そんな彼に勝たないといけない。


(勝って、遥乃を取り戻す)

何度もあたしは、そのことだけを言い聞かせた。

そして、時刻はちょうど午後六時になった。


その瞬間、空気が一変した。

闇の中に光が差し込んで、光山が姿を見せた。

そのまま、歩道橋の上に無表情な女が姿を見せた。


「時間になりました」

冷淡な顔の光山が言うと、屋上の奥には既に多田君が立っていた。。

垂れた短い黒髪、大人しそうな男子生徒。

だけど吹き付ける秋の風が、短い髪を乱していた。


「天瀬 雪乃さん、やっぱり来たんだね」

「多田君と、あたしが戦うのね」

「覚悟はできたか?」

「ええ、あなたを倒して全てを手に入れる」


「では、早速ですが神の箱(ゴッドボックス)を展開します」

光山が黄金の天秤を、地面にドスッと置いた。

あたしと多田は、光山と天秤を挟んで対峙していた。

冷たい秋風が、不意に感じなくなった。


(不思議な感覚ね)

神の箱の中では、寒さを感じない。

外で、三階建ての屋上にいるのにもかかわらずだ。

まるで屋内にいるかのように、秋の冷たい風を感じなかった。


「さて、条件を改めて確認します。

ゲームの勝者の望みが、全て実現されます。

敗者は、勝者に望みのモノを全て与えないと行けない」

「ああ」多田は頷いて、あたしは手を上げた。


「質問です」

「はい、どうぞ」

「あたしが勝ったら、あなたがゲームで得た全てのモノを得ることを望みに出来るの?」

「出来ますよ。神には、不可能はありません。意義はありますか?多田 勢場」

「いいや、ないね。このゲームは僕が必ず勝つし。

僕は、『カミアラソイ』で一度も負けたことがない。

なにより、この前もそういうルールで戦った奴がいたよ」

「多田、君の望みは?」

「僕の望みは、君が僕の下僕になることかな?

僕に忠実に従ってほしい。なーに、大丈夫。

君の姉も一緒だよ、一緒に姉妹丼をだね」

「そう」あたしは、驚くほど冷静だ。

戦歴99勝無敗、絶対王者は余裕だ。

まあ、それだけ強いことは間違いない。


「ブルチックゲームのカード5枚は、用意できましたか?」

「ここに」

「作ってきたわ」

あたしと、多田は、カードを裏面にして光山に見せてきた。


「まずはお互い、カードを1枚ずつ同時に出し合う。

このゲームで大事なのは、感情の強さを現す数値。数値が高い方が強い感情。

数値勝負で、勝った方に1ポイントが加算される。

出したカードが、数字の高い方が勝ちというルール。

ただ、感情には優劣が存在するわ。

赤の『怒り』は、黄色の『喜び』に強く、青の『悲しみ』に弱い。このルールを、さらに適用される。

強い相手には数値に+1.1が加算される。

黄色の『喜び』は、緑の『恐れ』に強く、赤の『怒り』に弱い。

緑の『恐れ』は、青の『悲しみ』に強く、黄色の『喜び』に弱い。

青の『悲しみ』は、赤の『怒り』に強く、緑の『恐れ』に弱い。これが感情の優劣ね」

「それはいいけど、『怒り』と『恐れ』、『喜び』と『悲しみ』が対になっているけど」

「この二つは同感情になり、実は既に使った感情カードを使用が出来る。

複数感情というコンボが存在し、隣の感情……怒りならば『喜び』と『悲しみ』を用いることが出来る。

そこでコンボが発生し、数値に加算される。

対になる感情とコンボは発生しない。また同系統の感情を出しても感情は増幅する」

「手札は5枚しか無いけど……」

「そこだけは、前に使ったことのあるカードを用いてコンボを作る。

コンボが出来なければ、数値は加算されない。

引き分けた場合は、ドローになってポイントは入らない」

テミスの説明が、淡々と続く。


「手札5枚を消費して、ポイントが多い方の勝ち。

同じ勝ち星になったら、そのときは手札を全部戻してサドンデスを行なう。

先にポイントが入れば、勝ちになる」

「つまりは3ポイント取れれば、勝ちなのね」

「そうね。では他に、質問はあるか?」

中央に立っている光山が、あたしと多田を互いに見合う。

あたしも、多田も互いに向き合っていた。

ルールの確認は複雑だけど、予習済みだ。

多田も、ゲームの経験があった。だから、遮るような質問は出なかった。


「いよいよ始まるのね」

「僕は負けない、君に勝って100勝する。そして……」

短く言葉を交わして、あたしと多田はカードを扇のように開いた。

お互いにカードを見せずに、向かい合う。


「では開始(アライシー)

淡々とした光山の言葉と同時に、ゲームがスタートした。



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