035
十分後、あたしは賀木生徒会長と一緒に病院を歩く。
大人しく、凜としたあたし達の一年先輩。
だけど、遥乃は賀木を副生徒会長に推薦した。
そんな経緯のある二人が、夕方の病室で久方ぶりの再会を果たしていた。
あたしは、その間に二人の再会を邪魔しないように見守っていた。
その後、賀木生徒会長と遥乃元生徒会長はとりとめない会話をしていた。
そうだ、遥乃にも必要なんだ。
何気ない会話、あたし以外のつながりが。
賀木とあたしは、遥乃と別れて病院の廊下を歩く。
賀木の目が、赤く腫れていた。
久しぶりにできた再会で、賀木は泣いていた。
「でも、賀木先輩はいきなり遥乃とキスをしないですね」
「キス?」
「ああ、いえ。何でも無いです」
言いながら、あたしは少し照れていた。
「顔が赤くないですか?雪乃さん?」
「大丈夫です。それにしても遥乃は、先輩にも思われていたんですね」
「あ、当たり前です」
賀木は、照れた顔を見せていた。
四階の廊下、窓には西日が差し込んできた。
「明日だっけ?」
「そう、今度の相手は多田 勢場」
「通算99勝をあげた、カードゲームの天才……よね」
「あたしの姉……遥乃が負けた相手」
言いながら気持ちが、引き締まっていた。
あたしにとって、多田に勝つ事がこのゲームを続ける一番のモチベーションだ。
「勝てそう?」
「勝つしかない」
あたしはポケットから、5枚のカードを取り出した。
初めは無地だったカードが赤や青、緑のカードが見えた。
感情によって反応するカードは、完成していた。
「この手札で、どうにか勝つしかないし」
「そっか、このカードゲームは……」
「『ブルチックゲーム』ね」
「知っていましたか?賀木生徒会長」
あたしは、カードを見ながら賀木生徒会長に問いただした。
「ええ、牛王君が多田君に負けたゲームだから」
「そっか……」
確かに牛王は、多田に負けた。
その事実は、本人からも聞かされていた。
生徒会もこのゲーム……カミアラソイの危険性を感じてやめさせようと参加していた。
だけど、それは叶わなかった。
「絶対に勝って。私は、ゲームに参加をすることが出来ないけど」
「ええ、あたしは勝つ。彼の野望も阻止するし、彼が奪った全てを取り戻すから」
遥乃から奪ったあの体、幼くなった遥乃を元に戻す。
そのためには、あたしは負けられない。
この5枚のカードで、全てを手に入れた多田に勝つ。決意は固い。
そして、スマホを見ていた。
【11月11日、夕方六時。場所は仲津西高校屋上】
と光山からメールも届いていた。




