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神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
三話:ブルチックゲーム
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032

放課後になった。

仲津西高校の、大きな玄関にあたしは両子と一緒に来ていた。

玄関の下駄箱に、帰りを急ぐ生徒や話し込む生徒もいた。

ここには、それでもいつも通りの学校の生活が見えた。


「それで……あそこのドーナツ屋だけど甘くておいしいの」

「へえ、今度時間があったら行ってみたいわね」

「でしょ、今度の日曜行かない?」

「あんまり食べてばっかりだと、太らない」

マスクをしながら何気ない会話をしながら、あたしは両子とこの玄関にやってきた。

両子は、青ざめた顔に変わった。


「……うん。正直部活もやらなくなって、お腹周りがねぇ……」

「だよね。いろんな試合も、無くなったでしょ」

「本当に、体がなまっちゃうわよ」

「まだまだ、部活は自主練の日々だって」

「それは困るよね。やっぱり最近は、感染者が増えたから」

「そうみたい」

何気ない今の時代の会話。

マスクをして、友達と会話をしていた。

神だの、記憶喪失だの、カードゲームだの……あの日からあたしを取り巻く環境が変わっていた。

遥乃がおかしくなった、あの日から。


あたしは普通の女子高生で……姉の遥乃と一緒に登校していた。

それだけが、今のあたしにとって最大の夢になっていた。

あたしは、自分の下駄箱を開けていた。

当たり前だけど今までの生活では、カードは入っていない。

自分のローファーを手にして、そのまま靴を取り出していた。


「あっ、忘れ物」

両が何かを思い出して、小さく頭を下げた。


「わかったわ、ここで待っているから」

「ありがと、雪乃」

そのまま、両は小走りで奥の廊下へと消えていった。

あたしはローファーに履き替えて、何気なく周囲を見ると少し離れた場所に一人の男子生徒がいた。

下駄箱から靴を取り出そうとする、ロッカーを背に一人の少女が立っていた。


「あっ」

「おひさー、ユッキー」

うさ耳カチューシャの女子生徒、冴木 女天栖(メーティス)だ。

かわいい系でギャル系の女子生徒は、いつも笑っていた。


「ねえねえ、今度女天栖の彼氏と戦うの?」

「そうよ」

女天栖、明るく学生生活をブチ壊す会話を堂々としてきた。

だけど、それ以上にあたしは不機嫌な顔に変わった。


「あなた、よくあたしにその顔を見せられるわね」

「何のこと?」

「この前の病室のこと」

「ああ、あれね。そっか、ユッキーは見ちゃったのね。

女天栖の禁断の恋」

「ふざけたことを、言わないで!」

あたしは叫んでいた。

怒りに震えて、女天栖を睨んでいた。

怖い顔で睨むあたしに、女天栖はそれでも笑っていた。


「まあまあ、あなたのカードが光っているわよ」

「そうね、あなたを見ているだけで怒りがわき上がるわ」

あたしのポケットには、赤く光るカード。

強く光ったカードを無視して、あたしは女天栖を睨んでいた。


「なるほど、なるほど。そうか、人間ってあんなことで怒れるのね」

「当たり前よ、アンタがやったことは許されることじゃない」

あたしは悔しさを押し殺しながら、ポケットの中のカードを取り出した。


「今すぐ、あなたと神々のカードゲームで戦いたいぐらいに」

あたしが持っていた赤いカードが『激怒9』の文字が見えていた。



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