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神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
三話:ブルチックゲーム
31/56

031

仲津西高校の校舎には入れは、あたしは普通の女子生徒だ。

普通で平凡で、当たり前の学園生活。

それが、ザ・普通の女子高生『天瀬 雪乃』の日常。

成績も得意教科と苦手教科がはっきり分れる、平凡な女子生徒。

マスクをして、制服を着て、学生をしていると普通の学生だ。


休み時間になると、トイレに行って戻った。

普通に賑わう学校生活を、あたしは過ごしていた。

教室に戻る間も、無地のカードをじっと見ていた。


(藍色の『恐怖9』)

牛王が言うにはこのカードは、エースという事らしい。

今日は火曜日、金曜日の多田との戦いまでまだ時間がある。

カードをチラリと見ながら、制服の右ポケットにしまう。

そのまま教室には行ったら、声をかけてきた人物がいた。


「雪乃っ!おかえり」

「両子、ただいま」両子の後ろの席に、あたしは歩いて行く。

ミディアムカールの短い茶髪の両子は、制服を着てにこやかな顔を見せた。

『野部 両子』は、とても明るい女子だ。

小学校の頃からの知り合いで、仲のいい友人だ。

彼女の顔を見るだけで、自然と笑顔に変わるあたしがいた。


机のそばで、親友の両子と何気ない会話。

「ねえ、雪乃。

今日の放課後、久しぶりに雪乃の家に行っていい?」

「え?」

「たまには、いいじゃん。今日は、お見舞いもないんでしょ」

あたしの手を、しっかり掴んで離さない両子。


「うーん、どうしよっかな?」

「もしかして、男が出来た?最近多田をよく見ているけど」

「そ、そんなことない。違うから!」あたしは、咄嗟に否定した。

多田を教室で見るのは、遥乃がおかしくなってからだ。

だけど、多田があんな恐ろしいゲームをしているのを誰も知らない。

少なくとも、両子は裏サイト(MNEMOSYNE)も、神々のカードゲーム(カミアラソイ)も知らない。

この平穏な世界を守る為に、知らない事は存在する。

あたしは遥乃と共通の親友で幼なじみの両子には、隠し通していた。


「しばらく、部活も休みじゃなかったっけ?ダンス部は、例の感染症で」

「まあ、そうね。練習できないし」

「自主練している?」

「しているわよ。まあ、たまには」

あたしはダンス部に、入部していた。


その部活の中でも、あたしは特別ではない。

ただ、体を動かすのがなんとなく好きで入っていた部活。

学校のレベルも、決して高いわけではない。


平凡なあたしが入ったダンス部だけど、現在感染症の影響で自主練メインになっていた。

ダンス部だけじゃ無く放課後のいろんな部活動は、かなり制限されていた。

やはり例の感染症が、流行っている影響は大きい。


「来年の大会も、あるかどうかわかんないけど。

それより、中間は追試どうだったの?」

「あっ、その件については。お願いっ!」

いきなり手を合わせて、頭を下げてきた。

それをみて、あたしは確信した。


「それが、本命ね」

「さすが、雪乃様。数学を教えて欲しい」

両子が、あたしに勉強を教えて欲しいようだ。

彼女の気さくな顔と言葉で、あのカードゲームのことが忘れられるのだ。


そう、私達は普通の高校生だ。

普通に勉強もするし、恋もすることだってある。

ごくごく普通の当たり前のことに、私は忘れてしまいそうになった。


そんなとき、私のポケットに光が差し込んだ。

そして一枚のカードが、光っていた。


「何か、光っていない?」指摘した両子。

「え、あ……」

光ったカードを見ると、それは『喜び8』のカードが一枚現れていた。

ポケットの中の黄色の光を隠しながら、あたしは苦笑いを見せた。


「ああ、スマホね」ポケットに手を突っ込む。

カードを握り、光を消そうとしていた。

「そっか、電源が入りっぱなしだと熱を持って熱くなるわ」

「分かった」あたしは両子に嘘をついた。

それでも、あたしが視線を逸らそうとすると教室を見回す。

だけど、あたしの視界に一人の男子生徒が入ってきた。


(多田 勢場)

あたしの対戦相手が、視界に入った。

それと同時に、牛王のあの感情も呼び覚まされた。


牛王をヒドイ目に遭わせて、遥乃を病に追い込んだ元凶。

それを見た瞬間、あたしの顔が怒りに変わった。

そして、ポケットの中が今度は赤く光っていた。


「ねえ、今度は赤い……」

「ああ、大丈夫よ。平気平気」

あたしは、ポケットの中のカードを強く握りしめていた。

(あんまり勝手に、光るんじゃ無いわよ)と心の中で、思いながら。



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