表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
二話:バーストイレブン
25/56

025

二戦目の最初のカードは、やはりクラブのキングだ。

いきなりオーバーのカードを引いて、またしても劣勢だ。

それでも今回こそは、あたしは顔に出さずじっと榊原を見ていた。


少し間を開けて、「トレード」をあたしはコールした。

榊原は、様子をうかがった。


少しだけ考えて、榊原は『ストップ』をコール。

カードが戻ってきて、あたしのオーバーが二連続で確定した。

今日はかなり運が悪い。二連続オーバーと、まだ勝負すら出来ない。


「あなた、一ついいかしら?」

カードを引く前に、榊原が顔を見上げた。

険しい顔で、あたしのことをじっと見ていた。


「何よ?」

「あなた、このまま負けてくれない?」

「冗談を、言わないでよ!」

「冗談は、こっちのセリフよ!」榊原が、腕を組んであたしを睨む。


「あなたは、烏嶽を酷い目に遭わせたから」

「烏嶽君の事かしら?」

「そう、彼は演劇部で信頼された偉大な人。

人の上に立つことが許された、特別な人。

気を遣うことが出来る、特別な人なの。

だから、あなたのせいで烏嶽はおかしくなった。梶原君も」

『神々のカードゲーム』の参加者は、どう考えても不幸になってしまう。

あたしの姉……遥乃もそうだ。多田に負けて、不幸になった。


「あなたは、もしかして烏嶽の復讐をしにきたの?」

「そうよ、文句ある?」

「烏嶽は、記憶を失って……演劇部は滅茶苦茶よ」

「そうまでして、あたしから金を取ろうとしたわね」

「私たちの部活が、どんな経済状態だったか。

部活会で、毎回部費を削減されて私たちは酷い扱いを受けた。

生徒会も嫌いだし、その生徒会長がいなくて」

「あたしの遥乃の文句を言うの、最低」

あたしは憤っていた。


「遥乃は、遥乃は……病気になったのよ。

このカミアラソイのゲームで、遥乃が負けて……」

「ざまあみなさい!因果応報よ」

だけど、あたしは怒りを表に出さなかった。


これも、演劇部の揺さぶりの一つだ。

あたしを興奮させて、冷静な判断をさせない作戦なのかもしれない。

大きく深呼吸をして、あたしは前を向いていた。


「あなたには、勝つわ」

「残念だけど、私が勝つから。

あなたの記憶を全て、奪わせてもらう」

喋りながらも、カードを1枚引いていた榊原。

榊原はカードを引いて、少し考えた。


その結果、『トレード』をコールしてきた。

コールされたトレードに、あたしはじっと前を向いていた。

今回は、榊原のカードを見て考えた末に一つの答えを出した。


あたしは『ストップ』をコールして、ここではカードを受け取らなかった。

榊原は、眉をひそめて出したカードを引っ込めた。


あたしの所に、2枚目のカードが置かれた。

カードの中身を確認するよ『ハートの3』。


(さて、これは困ったな)

3は、このゲームの中ではいいカードだ。

だが、このカードをトレードしないと次のカードは強制トレード&強制レシーブになってしまう。

つまり、もっと低いカードが出た場合はそのカードを手放さないといけない。


(これは、これで難しいカードね)

考えながら、あたしの数字を確認した。

現状では13+3で16。どのみちあたしのオーバーは間違いない。

だけど、ここでカードを仕掛けないと次のカードはトレードするしかない。

口に手を当てて、考え抜いた末にあたしは口を開いた。


「トレード」をあたしは、コールした。

『3』という数字はかなり低い数字、そして魅力的な数字だ。

あたしのトレードを聞いて、じっくりと考えた榊原。


それでも、ここは動かない。

『ストップ』をコールして、あたしのカードを受け取らなかった。


これであたしの合計値は16、しかも後1枚は榊原のトレードカードのレシーブだ。

これ以上、カードを選ぶことは出来ない。

相手の榊原は、11に向けて着実に手を進めているのだろうか。

そんな榊原は、カードを見ながら笑っている様子だ。


(なんか、とても嫌な予感しかしないけど)

あたしは、焦った顔で榊原を見ていた。


こちらはゲームの敗戦が決まっていて、引き分け狙いしか出来ない。

だけど、榊原はまだオーバーしていないように思えた。

残り枚数は1枚、しかも絶対にトレードするカード。


「一つだけ、忠告するけど謝るのなら今のうちよ。

負けた瞬間に、あなたが知っている情報を全て頂く」

「勝ち誇っているけど、手は進んでいるのかしら?」

「まあ、そうね」榊原は、怪しく笑っていた。


「大丈夫だ、これ以上あたしも榊原も選べない」

あたしは、最後の1枚を引いた。

引いたカードは『クラブの3』。だけど、ここで謎の強運が発生した。

とことんあたしは、運に見放されていた。


強制トレードが発動し、榊原がカードを受け取った。

受け取った数字は無論あたしの『クラブの3』

マズイ、マズイ、これはマズイ。

手札が良さそうな榊原は、あたしの中から一番言いカードを引き抜いた。


最後に榊原が無言でカードを引いて、トレードをコール。

あたしが、強制レシーブでカードを受け取った。

「ではカードを、オープンしてもらおう」

光山の宣言があって、あたしと榊原がカードを全部オープンにした。


カードをオープンすると、あたしの方は『キング』、『3』,最後のカードは『ダイヤの10』の26でオーバー。

榊原のカードは一枚目が『5』,二枚目が『4』、表になったカードは『3』で12。

榊原は、僅か1オーバーだ。かろうじて、この勝負もドローになった。


「うわっ、ギリギリよね!」

榊原のカードを見て、あたしは思わず驚いてしまっていた。


「もっといいカードを、渡しなさいよ!」

榊原は、強い目つきであたしを睨んでいた。

不満そうな顔で、口を尖らせていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ