021
「ねえ、神々のカードゲームを知っている?」
あたしは、真顔で口に出した。
梶原と烏嶽、この二人に目の前の榊原。
三人が共通しているのは、この前戦ったあのカードゲームだ。
関係者かどうかを、ここで一度はっきりさせる必要があった。
あたしが榊原に、答えを求めていた。
「やっぱり、あなたもプレイヤーなのね。烏嶽と戦った」
「ええ、烏嶽に聞いたのね」
「聞いていないわよ!」素直に冷たく返す榊原。
「どういうこと?」
「芳吉は、ゲームであなたと戦った後の記憶が無いの」
「記憶が無い?」
確かに、あたしもそれは思い当たる節があった。
カミアラソイの後、あたしは記憶が朧気だ。
何がどうなって、あの場所にいたのか分からない。
次に記憶があったのは、あたしが視聴覚室で床に倒れて眠っていた記憶だけ。
光山と冴木の二人の風紀委員も、烏嶽の姿も無かった。
あたし一人だけが、その場に寝かされていた。
「あたしと戦った後、烏嶽はどこにいたの?」
「あなたと一緒にいたんでしょ、あなたが教えなさいよ」
「でも……あたしの記憶だと、烏嶽が視聴覚室にはいなかった。
烏嶽はどこに行ったのか、探そうとしたけど既に夜8時になっていたので帰ったけど……」
「そう、あなたはシラを切り続けるのね」
「そうじゃなくて、本当に記憶が無いの」
「でも、烏嶽は記憶を失っている。梶原君も記憶を失っている」
「待って待って、その梶原君はどうして」
「知らないわよ!あんたが、あの日に会ったんでしょ」
腕を組んで、勝手に睨む榊原。
だけど、そんなとき助けのようにバス停に一台のバスがやってきた。
あたしはそのバスの行き先を見て、バスに乗り込もうとした。
それでも榊原は、あたしの手を引っ張っていく。意外と力が強い。
「まだ話は、終わっていない」
「あたしは、バスに乗るの!行く場所があるから」
榊原の手を、あたしは振り払った。
榊原は、憮然とした顔で……それでもあたしを追いかけてこなかった。
「天瀬 雪乃。あなたに決着を申し込むわ!」あたしの背中越しに、叫ぶ榊原。
それと言われつつも、あたしはバスの中の反対側の椅子に座ろうとした。
榊原は、バスに乗り込むことはせずスマホをいじっていた。
バスで着席したあたしは、ようやく落ち着いたと思って安心していた。
安心していたが、すぐにあたしのスマホが一通のメールを受信した。
スマホを何気なく見て、あたしは驚いた。
(そう、そういうことね)あたしは、全てを理解した。
送られてきたメールは、これだった。
【新しい神々のカードゲームの試合の案内】と書かれた題名のメール。
すぐさま、あたしは内容を確認した。
内容を確認しながらあたしは、バスの中で深いため息をついていた。




