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学校終わりの放課後、あたしは学校のそばにバス停に立っていた。
バス停は、学校のそばに三つ立っていた。
一つは駅方面に向かうバス停
一つは田園地帯……山方面に向かうバス停
そしてもう一つが市街地に向かうバス停。
あたしは、市街地行きのバス停に並んでいた。
目の前には、交通量がある坂道の二車線道路。
放課後でも、少し時間が過ぎているのか並んでいる生徒は少なくなっていた。
お見舞いに行くときは、いつも市街地行きのバス停に並ぶ。
通学鞄を持って、あたしは立ちながらスマホを確認していた。
そんな中、一人の女が声をかけてきた。
「あなた、天瀬 雪乃さんでしょ?」
スマホから、声の方に振り返った。
少し甲高い声の主を見ると、黒くて長い清楚な髪の女子生徒が立っていた。
通学鞄を両手で持っていて、垂れた目の女子生徒。
この生徒の写真を、あたしは最近見た事がある。
どこだろうと、記憶を辿ろうとしたが「はい」と素直に返事をした。
「申し遅れました。わたくし、榊原 鶴望と申します」
「榊原、ああ……烏嶽の写真」
思い出した。烏嶽とのカードゲームで見た、女子生徒の写真の人物だ。
髪が長くて、おっとりした女子生徒。
「烏嶽……芳吉と会ったでしょ」
「え、あ、うん」
「三日前のあの日、あなたは会った。
芳吉と放課後に、あなたは会ったわよね?」
「え、えと……」
そうだ、思い出した。
あたしが烏嶽と会ったのは、『神々のカードゲーム』のゲームの対戦相手として会った。
三日前の放課後で、あたしは初めて彼と戦った。
勝利したあたしは、なんだか記憶が少し曖昧だ。
だけど、これは話していいのだろうか。
裏サイトで行なわれた、普通ではないカードゲームの話を。
口を紡いで、考え込むあたし。
「あなたは芳吉と、何をしていたの?」
「たいしたことは、していないよ」
ここは、嘘をつこう。流石に『カミアラソイ』の話は、信憑性に欠けてしまう。
なにより、彼女がどこまで知っているのか分からない。様子見をしながら、彼女の出方を待つ。
あたしも、姉の一件が無ければ知ることのない知識なのだから。
「そう?梶原君も一緒だったと思うけど?」
「梶原……」あっ、その人も烏嶽の写真で見た人物だ。
「知らないとは言わせないわよ、あなたは絶対に会っている。
芳吉とも、梶原とも」
榊原は、険しい顔であたしに詰め寄ってきた。
詰め寄られたあたしは、意を決してあることを口に出した。




