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神々のカードゲーム  作者: 葉月 優奈
プロローグ
1/56

001

(YUKINO’S EYES)

この日は、強い雨が降っていた。

ここは、仲津市内にある公立の学校『仲津西高校』だ。

校舎と体育館を繋いでいた移動通路を、あたしは緊張の顔で歩いていた。

移動通路の屋根に、雨がポツポツと当たっていた。


この学校の生徒であるあたしは、いつも通りの制服着ていた。

茶色のブレザーに、選べる胸元のアクセサリーはリボン。

赤と黒のチェックスカートを着て、赤いショートヘアのあたしは強ばった顔を見せていた。

少し肌寒い七月のある日、あたしはもう一人の女子と移動通路を歩く。


「遥乃、本当に大丈夫なの?」

「平気よ」

声をかけられた遥乃は、にこやかだ。

伸長も同じで、顔もあたしと瓜二つで、あたしと同じ髪の色をしているけど、少し長い髪の少女。

茶色のブレザーの胸元はリボン、スカートも少し長い。


だけど、あたしに顔がとてもよく似ていた。

天瀬(あまがせ) 遥乃は、あたし『天瀬 雪乃』の双子の姉だから当然だ。

髪の色も、顔もほとんど同じの一卵性双子。


だから、あえて少し服を変えて僅かな変化をつけていた。

それは小さな、あたしなりの主張。

だけど、遥乃とあたしには決定的な違いがあった。


「このゲームに、参加しなくてもいいんじゃない?」

「そうは、どうしてもいかないわよ。

神々のカードゲーム(カミアラソイ)は、ここで終わらせないといけない。

このゲームは、とても危険なゲームだから」

「遥乃は、どうしてそこまで行動できるの?生徒の模範たる、生徒会長だから?」

天瀬 遥乃は、生徒会長だ。

学年は二年生だけど、仲津西で一番の有名人。


同じ双子でも、あたしとは成績も全然違うし人望も厚い。

なぜ同じような顔で、これほど違うのか不思議なくらい天と地の差があった。

そんな遥乃は、正義感も責任感もあるあたしの双子の姉だ。


「一部の生徒が、登校拒否している。

裏サイトの神々のカードゲームに参加した生徒が、おかしくなっている。

これを見過ごすことは、生徒会としてては看過できない」

「でも、噂だと……あの風紀委員が絡んでいるのでしょ」

「風紀委員長、光山 照美栖(てみす)さんね。彼女は不思議な存在よ。

まるで神のような……そんな存在」

「神って……そんなことあるわけ?」

「それを調べるために、私はこのゲームに参加したの」

姉の遥乃は、スマホをあたしに見せていた。

スマホの画面には、裏サイト『MNEMOSYUNE(ムネモシュネ)』のサイトだ。

このサイトの運営者は、不明だ。


「本当にあったのね、MNEMOSYUNE」

「生徒会の方で、見つけて調べておいたけど分からなかった。

賀木副会長が、このサイトで別の生徒になりすまして……ゲームの開催を調べた」

「学校内で噂になっているけど、本当にあったのね」

「そして部活の無いこの時間に、体育館裏で秘密裏に開催されることが分かった」

「行くのね?」

「うん、だから」

「分かっているって、スマホで撮影をするんでしょ。

用具室に潜んで、ゲームを撮影するから」

「お願いね、雪乃」

「任せてよ。でも……あたしなんかでいいの?」

あたしは、遥乃に不思議な顔で聞いていた。

そんなあたしと遥乃の目の前には、体育館の扉があった。


「うん、雪乃は私の妹だから」

遥乃は、眩しい笑顔であたしに言ってきた。

そして重そうな体育館の扉を開けると、そこには誰もいない広い体育館が広がっていた。

奥には、用具室の扉も見えていた。



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