上辺
きっと上辺なのだろう。
そう思ったのは、会話から読み取れる断片的な薄っぺらさなどではなく、この子の見た目だった。
しなやかに流れる黒髪、何事も見透しているかのような澄み渡った瞳、そして極め付けには人生を普通に過ごしていれば会う事もないような圧倒的な整った容姿であった。
見た目は性格に比例するというが、まさにこの子の事だと思う。何一つ非の打ち所がない見た目には、きっと中身も完璧なのだろう。完璧であればそれはあらゆる事でさえも鉄壁のようにこの子に文句を言える人はいないであろう。
素で完璧な人間など居ない。だから上辺だと思ったのだ。
外の暑さなど知った事ないと言わんばかりな涼しげな顔をしている。
「いらっしゃい、、ませ」
どうやら俺はこの子を分析するのに夢中で、聴覚が一時的にお休みしていたようだ。
「こんにちは。このコンビニで見るのは初めてだけど」
普段コンビニの店員の挨拶に対して返す言葉は無いが、今日はとにかく異質だった。他に客が居ない。その所為で、この空間に二人しか居ないという窮屈さに気まずさを紛らわせようとして言葉が出てしまった。
「そうなんです。今日が初めてなんですよ」
「なるほど……ね」
女の子は照れた様子もなく、やはり涼しげに答えた。
「今日は他のアルバイトの方達は?」
「皆んな辞めました」
何故?とも聞くまでもなく、なんとなく理解してしまった。
「きっとキミが一番なんだろうね。だから皆んな脇役を降りてしまう。コンビニでも同じ事が言えると思うけど、なぜ急にこんな状況に?」
女の子は悪びれた様子もなく、顎に左手を添えて思考体勢に入った。
「きっと私が悪いんです。指名手配犯だから」
「は?」
状況が理解出来るはずもなく、俺は身の安全を確保するかのようにポテトチップスを胸の前にかざした。




