なんで一年近く更新が止まってたんだ→ゴメンて。まあ更新再開したんでとりあえず許して……
なんだかんだダラダラしてたら約一年ぶりの更新になってしまった……
ここから巻き返したいが、どうなるやら……
俺の名前は、北川ナガレ。
『いやはや、すまなかったね北川くん。
君とて忙しい時期だったろうに、
突然呼び出してしまって』
『どうぞお気に為さらずルージュ様。
察するに結構切羽詰まった状況なんでしょう?
俺とて半端者ながら死越者の端くれ、
この程度は無茶の内にも入りませんや』
アーネスト君の呼び出しに応じ、
マインデッド邸の応接室で当主ルージュ様と対面する蟹座の死越者だ。
『ふむ、頼もしいな。
……話は既にアーネストから聞いているね?』
『ええ、そりゃもう。
ルーザイマ星人の月面基地襲撃作戦に参加してくれってんでしょう?
それもロボット兵器のパイロットとして、でしたか』
『その通りだ。詳しく話すと長引くので仔細は省くが、
開発中の大気圏外戦用ロボット兵器開発は順調に進んでな』
『ええ、その辺は俺も聞き及んどりますぜ。
以前の三機が霞むぐれーのリソース割いて製造中で、
何ならもうほぼ完成したようなもんだとかで』
部分的にしか聞けてねぇが、
引き続きチームに参加してる早川さん曰く『奇跡の連続』だそうで。
『して、ともかく計画は順調ってんでしょう?
何か問題でも?』
『うむ。確かに開発は順調に進み製造はほぼ完了……
近日中には動作テスト、加えて実践訓練を行う予定なのだが、
パイロット選びが難航してしまっているのだよ。
というのも、機体の構造や想定される戦況などを考慮すると、
操縦士については相当選り好みせねばならんと発覚したのだ』
ルージュ様の発言で俺は概ね彼女の意図を察した。
つまり……
『……「ロボへ乗れ」ってんでしょう?』
『うむ。話が早くて助かるよ。
厳密にはパイロットの適性診断試験を受けて貰いたいのだが……
ほぼパイロットになってくれ、と同義だろうな』
聞けばロボの操縦士には、
幾らか物覚えが良く、ある程度戦闘経験があって、
かつ操縦席に収まる程度の体格と、桁外れの頑丈さ・しぶとさが必要なんだそうだ。
……なるほど確かに俺ならお誂え向きだろうな。
そもそも加えて地球の危機となったら断る理由だってありゃしねェ。
『わかりました。謹んでお受け致します。
ルーザイマ星人は個人的に種族単位で絶滅させてぇと思ってたもんで、
その機会を頂けたってのは何とも有り難い話ですよ』
『ふむ、相変わらず頼もしいな。
本当なら魔界二十三閥族の精鋭を送り込むべきなのだろうが、
最適な人員が軒並み別件で出払ってしまっていてね……。
因みに君以外の死越者十二名にしても実質全滅だ』
『マジですか。先輩方が?』
『ああ。スケジュールを確認した所、
操縦席の椅子に尻が入りそうな者や、
操縦桿に手が届きそうな者、
操縦方法を覚えられそうな者などは
君以外軒並み身動きが取れないと判明した』
『……なんてこった』
それを聞いただけで概ね誰が残ってるかは想像がついた。
まあ『師走外伝』読んでないと伝わらなさそうだから具体的な名前は出さないでおくけどよ。
『ともあれ安心したまえ。
魔界二十三閥族から一人も出せないわけではない。
君以外のパイロット候補は他にあと十人ほど選出済みだ。
……そもそもそれ以前に、出撃するロボット兵器は一機ではないしな』
『ほう……そりゃ安心ですねぇ。
幾ら早川さんたちが作ってくれてるロボット兵器がハイスペでも、
一人でルーザイマ星人の大軍勢とやり合うってのは心細かったもんで』
『そこは心配ない。
作戦会議の初期段階で「単騎での突撃は悪手」として
複数機のロボット兵器開発が決定されたからな』
まあフツーに考えりゃそうだよな。
何せルーザイマ星人の軍隊は数が多いし、
惑星間渡航をかます文明力を誇る奴らだ、
どんな兵器を持ってたっておかしくはねぇ。
そりゃ最低でも十数機ぐらいの体制で挑むのが最適解だろうぜ。
……とまあ、俺自身そんな風に思ってたんだが……
『因みにですがルージュ様、月に出向くロボってのは全部で幾つなんですか?』
『うむ、合計で十四機といった所だな』
『へぇ、十四機ですか……些か少ない気もしますが、
まあとは言え数が少ない分性能が高いって思えば悪くないですね』
『数の少なさ故に高性能なのは間違いないぞ。
何せ実質戦闘に参加するのは十四機の内三機で、
残り十一機は補助が目的だからな』
『……へ?
…………ええええぇぇぇぇええええ!?』
深夜帯なのに大声出したのは申し訳なかったよ。
けどしょーがねーじゃねぇか、実質あの大軍勢とロボ三機で戦えなんて、
無茶振りにも程があったんだからよ……。
〈=皿=;〉<然しマジで大丈夫なのか……?
「あの……北川さん……適性試験の結果が出たんですが……」
『はい。どうしでした?
ロボット乗れますか? 乗れませんか?』
「えー……その〜……
乗れる乗れないというか、その〜……」
翌々日。
俺は(悪だけど)善は急げってことで、
早速宇宙用ロボ操縦士の適性試験を受けに行った。
正直、ここで言うのもどうかと思うがぶっちゃけ自信なんて無かった。
確かに空中庭園の時なんか
三機ほどロボを乗り回してどうにか勝ったが結局全部ぶっ壊しちまったし、
何よりあん時は正々堂々"試合"をしてくれるチャールズ老一味が相手だったからってのもデカかったんだろうし……
とにかくまあ、適性試験なんてやった所でギリ合格か、
さもなきゃバチバチ不合格も視野に入れてた。
だってのに実際蓋開けてみりゃあ……
「トップです、成績」
『……はぁ?』
思わず耳を疑ったよな。
なんだよ、トップって。ありえねーだろ。
(確かに実技試験は空中庭園での記録映像とジジイの証言データ提出で免除されたから、
そこだきゃ実質満点取れたんかもしれねーが……他だよ問題は……)
まあ、聞き間違い……つーか、どっかしら間違ってた可能性はある。
てワケでもう一度確認してみたんだが……
「間違いなわけないでしょ!
何を馬鹿なこと言ってるんですか!」
なんか担当者の方に半ば理不尽に怒鳴られたんだけど……何これ?
「いいですか北川さん!
あなたの成績は何も間違いなんかじゃありません!
間違いなく本当に、あなたの実力を証明するものです!
そこに不正や間違いなんて一切ありません!」
その後、具体的に適性試験がどんだけ厳正なもんだとか、
不正をすんのはシステム上ほぼ無理だとか、
なんかそんな話を延々とされた……どれも根拠がしっかりしてて、
まぁだったら信じるしかなくてさ……
『なるほど、俺って意外とロボ乗りに向いてるんですね……』
「それはもう! スパロボに出てたら
『強すぎてゲーム性が終わる』って評されるくらいには!」
……スパロボ知らねぇからその例えはイマイチピンと来ねーし、
何なら褒められてるのかどうかもビミョーだな……
さて、それはまあともかくとして……
『そういえば今回の適性試験って、
確か候補ん中から有望な操縦士を三人選出する為のもんですよね』
「はい。戦闘用のロボット兵器三機には、
構造上の都合どうしても生きたパイロットが必要になりますから」
『……てことは、トップの俺以外にも合格者がいるってワケですか』
「はい、勿論です。……気になるようでしたら確認されてはどうです?
試験結果なら一階ロビーのモニターで確認できますので」
聞けばモニターには単なる成績順位だけじゃなく、
各受験者の顔写真と簡単なプロフィールまで掲載されてるらしい。
……実質曝しモンになってると思うと中々精神にクるもんがあるが、
とは言え現場を共にする同僚(てか先輩?)について知っとくのは悪くねえ。
ってワケで早速モニターの前に向かった俺だったんだが……
(……オイオイ、冗談だろ)
モニターを見た俺は思わず絶句した。
時間経過で色々な項目が切り替わるそこにその時表示されてたのは、
何の変哲もないただの『成績順位』。
受験者の名前と総合成績が昇順で表示されてるだけの、
本来なら特に驚くような要素もねぇ項目の筈だったんだが……
(そんなことがあるのかよ……)
俄かには信じ難いことに、
そこには俺自身以外に二名ほど"よく知ってる名前"が記されていたんだ。
しかも、トップの俺に僅差で連なる"同列二位"で……!
次回!
ナガレと共にロボットに乗ることになったまさかの二人とは!?




