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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE4 "毒蛇蟹"の正体と新たなる戦い

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78/87

開戦!仇討ち弔い合戦→極悪毒蛇蟹 VS 外道雪女

何故か深夜帯に閲覧数がアホほど伸びるというよくわからん現象が起きている

(本作、夜勤労働者や配信者、ニートなんかにウケてる説浮上)ので、試しにこの時間帯に投稿してみようと思いました。


 雪の深まる佻尾市の空き地……



『――……』

「……――」



 無言のまま睨み合うのは俺、蟹座の"死越者エクシーデッド"北川ナガレと

 淫魔三大派閥・掌握派の雌淫魔型凍死霊サキュバナイズ・フローズン・ファントム青佐江雪アオサコウセツ



「――……」

『……――』


 互いに言葉はなかった。

 雪の舞う闇夜を支配するのは、吹き続ける風の音だけ……。



(……掌握派の淫魔は、革命派に比べ防御力は劣る)


 奴らは寄せ集めで烏合の衆。

 量産型じゃないし、統一規格もない。

 だから万能生体防護魔力膜なんて厄介な能力もありゃしねぇ……少なくとも、下っ端は。


(但し、個性があるからか中堅過ぎると厄介なヤツも増えてくる……

 具体的に言うと、攻撃力が高ぇんだ)


 よって結局、長丁場は避けておきたいワケで……

 選び取るべき戦術も殆ど限定されてくる。


(温存しとけてラッキーだぜ……今こそこいつを使う時だ)



 余裕をかましてるのか、青佐は何もして来ず……

 どころか俺を視界にも入れちゃいねぇ。

 なんだ、『下等なオス風情目視する価値もないワ』ってか?

 ナメてくれやがるぜ、侍戦隊シンケンジャー外道衆アヤカシかよ。


(……妖怪で外道だし強ち間違ってもねぇな。

 さっきの豚は五星戦隊ダイレンジャーだったからかなりズレてるが……)


 若しくはこのクソが土精ノームとか土石魔人ゴレムノイドなら幾らかしっくり……来ねぇな。

 まあいい。


 ともあれ俺はゾディアス・ヴェポライザーを取り出し口に含み、

 加熱され気化したミューテーション・スターターをむね一杯に吸い上げる……。


(……"奴らを見返し、死と破滅で以て理解させよう"

 "『須藤雅史シザース』、『横にしか歩けない』、『チョキしか出せない』と見下す奴らに"

 "食い殺して、前に進んで、その握拳グーを切り潰して"

 "思い知らせよう、奴ら自身の愚かさを"

 "復讐しよう、下に見ている全ての奴らに"

 "半人半神の英雄に便乗して踏み付けていたあのクズどもに、苦痛に満ちた最悪の末路を"……)


 頭の中に思い浮かんだ言葉を、声に出さず呪文みたいに唱えていく。

 

(……"死越葬態デッドトランス")


 力は漲り、姿は変わり……

 その過程で俺の全身は所々に気泡の混じった白い水蒸気に包まれる。


("呪われし巨蟹の復讐譚カースドリヴェンジ・カルキノス"……!)


 胴体から手足に頭、衣類・装飾品に至る迄取り込み全身余さず変異しきったその姿は、

 嘗て革命派の馬刺相手に変じた時のそれより一回りほど大柄かつ異形じみて怪物的、

 それでいて妙に洗練されたような印象もあって……


 要するに"いい感じにカッコ良くて不気味"に仕上がってたんだ(あくまで俺の主観だがね)。


(……ムサカにしてやらァ)


 俺の変身が完了するや否や、青佐は面倒臭そうに立ち上がり戦闘の構えを取った。

 ナメやがって、今にその余裕かましたツラも原型留めねーレベルでぶっ壊してやるぜ……。



『……――』

「――……」


 お互い、やっぱり言葉は無かった。


「……!」

『――ッッ!?』


 ノーモーションで放たれる氷属性魔術の波状攻撃を、俺はすんでの所で跳躍しかわす。


(あと一歩遅けりゃ確実に食らってたな……)


 どうにも戦闘経験が違いすぎる。

 序でに地の利も向こうにあるし、勝てるかどうかも怪しくなってんな……。


(だが、なればこそ臆さず戦う意味がある!)

――『カアッ!』


 退く選択肢などねぇのなら、戦況を受け入れ楽しむまでだ。

 着地後即座に青佐の背後へ回り込んだ俺は、そのまま身体から生えた毒蛇の一匹を動かし毒液を吐かせる。


「――!」

(チッ、防がれたか!)


 銃弾並みの速度で飛来する毒液弾……並みの相手ならそう対処し得ねえそれを、青佐はこともあろうに振り向きざまの冷気弾で相殺しやがったんだ。


(……掌握派の分際でロバート・デュボア(ブラッドスポート)みてぇな真似しやがって)


 振り続ける雪に埋まってく凍った毒液を見ながら、俺は内心毒づく。

 奴のナメ腐った態度にはどうやら相応の根拠があるようだ……といって、悪い事ばかりじゃねぇ。


(さっき奴は毒液弾を撃ち落とした……つまり『毒そのものは有効』な可能性もあるってこった)


 勿論、毒だけを勝ち筋に据えるのは悪手だが……覚えといて損はねえだろう。



「……すぅぅぅっ――――ふぅーっ……」

(ちっ、魔力呼気噴射エナジーブレスかっ!)


 青佐が口元に手を添えそっと息を吹きかける動作をしたのと同時、

 俺はカニ節足アシフル稼働で咄嗟に後方へ飛び退く……

 続けざまに俺が先程迄居た全域を、白いガスとも濃霧ともつかないもんが覆った。


(危ねぇーっ!)


 その正体は竜種の十八番でお馴染み呼気噴射ブレス攻撃の亜種、魔力呼気噴射エナジーブレス……

 内包する魔力を吐息に乗せ撒き散らし広範囲を攻撃する技で、

 魔力を伴う癖に魔術扱いじゃねーとかいうわけのわからん特性を持つ。


(少しでも触れてりゃ間違いなく氷漬けにされてたな……)

「……」


 魅了・洗脳・改変等に完全な耐性を持ち、平均してウェイド・ウィルソン(デッドプール)ばりの不死性を誇る死越者エクシーデッドだが、

 それでも傷は当然負うし、昨今流行りの量産型ハイスペラノベ主人公ほど無敵でもねぇ。


(まして俺はそん中でも新入りのヒヨッ子……

 一瞬の油断、少しの慢心が致命傷になりかねん)


 認めたくねぇが青佐は今の俺より明らかに強い。

 経験か才能か、何れにせよまともにやり合って勝てる相手じゃねぇだろう。


(……全く、厄介なヤツに出会しちまったもんだぜ)


 かの伝説の作品『禁書目録とある』の主人公"不幸体質そげぶの上条"になった気分だ。

 彼はじめライトノベルの主人公ってのは見た目と実力以外に取り柄のねぇクソ女どもに囲まれるって致命の呪いを背負ってるが、俺も丁度奴らと同じく解剖学的には雌である物体を相手にしてるしな。


『――――ゼァッ!』

「!?」


 ……なんてしょーもねぇ独白もそこそこに、俺は青佐目掛けて突撃する。


(受け身にばっかなってられっか!

 落ち着いて引き下がるのも当然大切だが、てめえで行動しねーことには状況なんて好転しねぇだろっ!)


 確か国民栄誉賞を受賞され人間国宝にもなった偉大なライトノベル作家の初枝れんげ先生が言ってたハズだが、

 話の通じねぇクソ阿婆擦れは、再起不能にするか殺さなきゃいけねぇらしい。曰く『それ以外の対処は問題を余計ややこしくするだけだから』とか。


(ならば俺も、奴は確実に殺すっっ!)

「――っっ! クッ!」

(当たるかっ!)

「ハッ!?」


 すかさず飛来する冷気弾。だが俺はそいつをギリギリの所で真上に跳躍――


「……?」

『――ッラぁ!』

「ぐぅっ!?」


 ――したように見せかけて、

 奴の意識が真上に集中した隙に横合いから節足で薙ぎ払う。


『シィエッ!』

「ぅっく!」


 直後上から落ちてきた塊――やたら器用な毒蛇八匹総動員で作った毒入り巨大雪玉――を奴目掛けて蹴り飛ばす。

 八種の猛毒が染み込んだ雪玉は皮膚に触れただけでも命を蝕む強烈な代物、直撃しちまえば奴とて無事じゃ済まねえが……流石に隙があったか、氷の壁で防がれちまう。


(だがそれもまた好都合よ!)

――『カアッ!』

――『クアッ!』『ブベァ!』

――『ゲェア!』『フショアッ!』『シュイッ!』

「………っっ!」


 ならばとすかさず氷壁とその周辺目掛けて毒液弾を連射してやれば……狙い通り青佐は壁の向こうに隠れざるを得なくなる。


――『クアッ!』『ゲェア!』『カアッ!』

――『シュイッ!』『ブベァ!』

――『フショアッ!』

(そのままそこにいろ……叩き潰してやる!)


 俺はそのまま毒液弾での集中砲火をやめず、毒液弾を追う形で氷壁に接近。


『断《ダァァァッ!》』


 隠れた青佐を氷壁ごと叩き潰すべく蟹爪ハサミを振り下ろした。

 だが……


(手応えがねぇ、逃げたかっ!)


 ハンマーパンチの餌食になったのは分厚い氷壁だけ、青佐は忽然と姿を消していた。


「――――すぅぅぅ―――」

(……そこかっ!)

――『プショッ!』『ポワォッ!』

『ぐうっ!?

 ぎいぃぃえあがあぁぁぁあっ!?』


 だが生憎と今の俺は目玉が多い。

 背後に回り込んだのを毒蛇越しに視認した俺は、奴目掛けて毒液を放つ。

 苦しみ悶えながら溶けていく青佐……

 どうやら命中こそしたようだが、戦略的には向こうの方が一枚上手なようだ。


 というのも、さっき撃ったのは神経毒と魔力封じの毒、

 被害者の細胞を直に破壊して溶かすような、

 『出血毒』としての作用なんてありゃしねぇんだ。

 つまり……


(阿婆擦れが、氷像で分身を作りやがったな!?)

「ハァッ!」

『ぬうっ!?』


 俺の独白を肯定するが如く、両腕に氷の刃を生やした別の青佐が斬り掛かってくる。

 咄嗟に節足アシで止めて鍔迫り合いに持ち込む。

 このまま吹き飛ばすぐらい余裕だろうが、恐らくこいつもそこは考慮済み……

 恐らくは俺が鍔迫り合いに勝って慢心してる所へ分身を嗾けてやろうって算段だろう。


(そうはいくかぁ!)


 俺はあくまで『鍔迫り合いしか頭にない』演技フリで奴を鍔迫り合いに集中させつつ、

 毒蛇で周囲を探る。


(よっしゃ発見!

 外気温とほぼ同じでピット器官じゃ探れやしねーが、

 さりとてこれしき雑作もねえわ!)

――『シエアッ!』『ヴアッ!』『ガアッ!』

――『シュイッ!』

――『ブベァ!』『クアッ!』


「「「アバァァァアア!?」」」

「「グワァァァァ!?」」

「サヨナラァァァ!」



 結果、闇に潜んで機を伺っていたであろう氷像どもは毒液弾を喰らい漏れ無く全滅……



「!?」


 すると鍔迫り合い中の青佐も目に見えて動揺し始めて……その隙を逃す俺じゃねぇ。


(驕ったなァ、青佐江雪アオサコウセツ

 この瞬間てめえは道化と化すんだッ!)

「がはあっ!?」


 死角からの攻撃……毒蛇一匹の噛み付きと、節足一本による刺突。

 寸分たがわず同時に突き刺さった二撃は、奴の体組織を確実に破壊していく。


「ぁ、が……」


 宛ら得意げに"壁ドン"かましてイキってた所を

 股座に一発喰らって惨めに悶えるクソ野郎が如き滑稽さ……

 宮廷道化師ジェスターは名誉ある職らしいが、

 王族どころか庶民ですらないクズに殺されてちゃどうしようもねぇ。


「ぅ、すぅぅっ――」

『ヴェアッ!』

「ぐご!? ご、おごぼおっ!?」


 この期に及んでまだブレスなんぞ吐こうとしやがったんで、念のために"同じ技"でもって口を塞いでおく。

 ……ま、同じ技といったってヤツが吐くのが冷気属性の魔力なら、

 俺のは体内の専用臓器で生成した"メレンゲばりに泡立てた毒入りの血液"と、まるで別物だがなぁ。


「ご、おご、ぐごごおおっ!?」

(へへへ! 口ん中に溜め込んだ魔力が暴発して泡が凍り付いてやがる!

 雪女が呼吸器系凍らされて窒息とは全くお笑いだぜ!)


 凍り付く範囲が咽頭まで及べば端呼吸すらできなくなり遠からずこいつは死ぬだろう。

 だがそんな地味な殺し方じゃ俺の気が収まらねえ。


(4649号様は口ぶりからして白雪カンリュウ様を大層慕っておられた……

 その彼女をくだらねー侵略作戦なんぞの為に殺したてめえには、

 彼女以上の凄惨な生き地獄を見せてやらねぇとなぁ!)

「うぐうううっ!?」


 ぐりっっ、と背に突き刺した節足を捻じ込む。

 さあ、ここからどう殺してやろうか……俺は最早気が狂いそうな程"ハイ"になっていた。

 或いは半ば狂っていたのかもしれねぇが……



「ぐ、ぅぐ、ぐうううっ……!」

『……あ?』



 途端、突如として俺は正気へ引き戻された。

 奴の身体が、唐突に溶け始めたんだ。

 ついさっき打ち込んだ毒は神経毒だし、泡立てた血液に含まれてる毒ってのも同じ……

 要するに奴が"溶けてる"ってことは……


『なぁぁぁんだよぉぉぉぉ! また氷像パチモンかよぉぉぉ!』


 怒りを爆発させた俺は、勢い任せに溶けゆく氷像を叩き壊した。



『……青佐江雪ゥゥゥゥ!

 絶対ェ許さねえぞ……!』


 この俺をここまでコケにしやがった罪はそりゃあ思いぜ……


『四肢の先から内臓の隅々まで、

 徹底的に破壊こわしてやらァ……!

 死にてえ死にてえ殺してくれと、懇願しても死なせてやらねぇ!

 腐り朽ちるまで苦しみやがれェェ!』



 この陰惨で血腥く最悪な世界に

 『美少女無罪』なんて悪法はねぇからよ、

 安心して地獄へ突き落されろよ、なぁ!?


次回、北川ナガレ VS 青佐江雪の戦いは予想外の結末を迎えることに……!

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