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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE4 "毒蛇蟹"の正体と新たなる戦い

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空気を読まない襲撃者→豚肉塩漬け隊・隊長こと害悪的『ぼざろ』ファン

地上波放送された「アニソン総選挙」は元より、有志による企画「勝手に裏アニソン総選挙」シリーズでも私の好きな楽曲や作品の影が薄い、

また私が推しているアーティストが名前すら出て来ない惨状であり、加えてその癖『ぼっち・ざ・ろっく』だかいう青年誌の四コマなんぞの関連楽曲が複数ランクインしていて腹立ったので八つ当たりでこういう内容になりました。

元々はアイスヴァイン・スクワッドの四幹部が結束バンドと同じ色ってことで八つ当たり要素にしてたんですけど、

だったら四人纏めて倒さなきゃ意味ないし(?)分断させた時点でネタとしては崩壊してたのでその辺のリベンジも含んでます。

まあ『ぼざろ』よりは、私の好きな作品・楽曲・アーティストを雑に扱う今のオタク界隈そのものへの逆恨みなんですけど、

私の好きなアーティスト(バンド)の作詞作曲を担当してるギターボーカルの過去が偶々『ぼざろ』の主人公"ギター侍の劇団ひとり"でしたっけ、あいつと似てる所があるらしくって度々引き合いに出されてムカついてたってのもあって、

あと私の好きなバンドが今年久々にアニソン提供したってんで話題になってて、

そのアニソンが滅茶苦茶いい曲で、個人的には正直ここ最近聞いたアニソンとしては私情最高峰の完成度だったんですけど、

何かの陰謀なのかその楽曲のフルバージョンが何時まで経っても制作・公開されず、あまつさえ、当該アーティストは『CDを購入させ歌詞カードを読ませる』ことを信条にサブスク配信を行ってなかったのがそのアニソン(と、それより前に制作され同じくフルバージョンが未公開だった、同じくらい完成度の高い別のアニソン)が急にテレビサイズだけサブスク配信されるって話になって、

しかもそのおかげで「フルバージョンは作られないんじゃないか」なんて噂も飛び交う始末で、

じゃあこの怒りどこにぶつけたらええねんって思ったらまあ、そんなん『ぼざろ』しかないわけでして。あと精々『聖闘士星矢』とかなんですけど、

まあともかく今回こういう話書いてもまだ怒りは収まらない感じなんで、

今後も閲覧数・感想・レビューが伸び悩むような状態だと憂さ晴らしにこういう八つ当たり回書くしかなくなるんかなーって、そんな風に思ってます。


本当はこんなみっともないエピソード書くのも嫌だなって気持ちもあるんですけど(だから本編中でも八つ当たりに対して否定的な見解が示されてます)、でも仕方なくないですか?

相変わらずお前ら読者の大多数は感想もレビュー寄越さないんだから。

そんなん「精神病め。八つ当たりしろ。犯罪でもやらかしてみろ」って言ってるようなもんじゃないですか。


違うってんなら違うって感想書いて証明してみろや!!!!


 俺の名前はアーネスト。

 アーネスト・ルプス="ヘイズィムーン"・コールレイン。


【我が名は虹蛇神こうじゃしんレインボースネークゴッド!

 アイスヴァイン・スクワッドが隊長にして革命派百五十大幹部が一人!

 我が子ら、アイスヴァイン・スクワッドの隊士たちを殺めし下手人らよ、神たる我の神罰を喰らうがいい!】


 頭痛が痛いとか王虎ワンフーみたいな名前の自称"豚肉塩漬け隊の長"と対峙する、屋敷勤めの人狼ライカンスロープだ。


 事の次第としちゃ前回ラストシーンから程なくして突然、なんの脈絡もなく現れたって感じで特に説明することもねぇ。

 容姿は……天女ラミアつーのか? 下半身がヘビっぽくて全裸同然の下品な格好で空中に浮いてるわけわからん色白かつ身体のバランスが些か崩壊気味の大女で、

 どういう染め方したんだか規格外に長いロン毛は赤、青、黄色、ピンクで四等分になってやがる。


『なんだいなんだい、これから持て成し好きな当主様の豪邸でパーッと楽しくやろうとしてた時に……』


 フオンさんの口ぶりはマジで気怠げで……

 本当に屋敷行くのが楽しみで仕方なかったんだろうなぁってのが伝わって来た。


『空気読めよクソ阿婆擦れがよぉ。頭悪い二次創作ゴロのバカが適当に生成したAIイラストみてーな面しやがって』


 ロジャースさんはよりキレ気味だ。

 目に見えて声を荒げてはねぇがこういうタイプほど地味におっかねぇ。


大体ディターイ、虹蛇神レインボースネークゴッドて何だヨー!

 もチョと何かシら削れヨ! "音速のソニック"かヨー!

 テか虹言うてオンメの髪四色ダろ三色足りんワ!

 何だ予算不足かヨー!? 絵具やクレヨン紛失しマクた自己管理ド下手なアホガキかヨー!?

 テかオンメ蛇言うてけドよく見たら下半身タウナギじゃネーのヨー!

 何だヨー! 虹蛇神でノーて四色タウナギ痴女じゃネーのヨー!

 最早タウナギに対する冒涜ボトクだヨー!

 テか身体のバランス悪過ぎかヨー! まルデPixivの特殊性癖ニチセヘキー拗らせルバかりで絵の練習シネェ底辺ユーザの駄作だヨー!』


 トドメとばかりに早口で捲し立てまくるタクシャカさん。

 怒涛のツッコミは本場の大阪人も一目置きそうなほどはげしく、しかも俺らが思った以上に濃密で的確だった(身体のバランス悪い件についてPixivユーザー引き合いに出すのはどうかと思ったが)。


 さて、そうなると俺らも同意せざるを得なくなるわけで……


「そうだなぁ。俺もこちらのお三方と同意見だぜ」

「奇遇ですわねコールレイン様……わたくしも右に同じく、ですわ」


 俺と係長は必然、お三方に乗っかる形になる。


【ふん、我が完成されし美貌をも理解できぬとは笑止千万!

 返答次第では救済と再教育の後革命派へ迎え入れてやらんことも無かろうと思うとったが、

 どうやら貴様らにはその価値すらないらしいな!

 であればやはり神罰が妥当! 地獄の底で泣いて歯軋りするがいい!】


 宙に浮いたまま喚き散らすタウナギ。

 正直不快なだけで威圧感なんてねぇけど、景教の理念とかけ離れた存在の癖に新約聖書っぽい言い回ししてんのがなんか無性に腹立つわ。


『ケッ、ンなもんこっちから願い下げだぜ』

『オンメ、自分が誰か他人裁けル立場と思テンか?

 思い上がぁナよタウナギがぁ、

 切り刻ぁデ豆や香辛料と煮込んダラぁ!』


 怒り心頭といった様子のモーガンさんとタクシャカさんは俺たち三人に『こいつは自分たち二人に任せて欲しい』と頼みつつ、死越葬態の詠唱を開始する。


『"我が守護星よ、手を貸してくれ!"

 "死を越えて尚も守り抜くため、蹄で大地を踏み締める!"


 "角は頑強、この身は不動!"

 "剛力宿すオレの身体を、どんな壁でも阻めはしねぇ!"

 "オレは猛牛、荒ぶる巨獣! 姫君を護る、神の遣い!"

 "屠って食うだと? 上等だ!"

 "ミンチになっても暴れてやるぜ!"

 "所詮家畜と見くびる奴は、角で抉って踏み壊す!"


 "そもそもオレは不正直!"

 "騙し誤魔化し欺くなんざ、躊躇も雑作もありゃしねぇ!"

 "お前が食ってるその肉は、本当にオレの肉なのかァ!?"

 "騙されてんじゃと疑わねーなら、何が起こっても文句は言うな!?"

 "嘘を疑い見抜けねぇ奴に、このオレの敵は務まらねぇ!"

 "何せこのオレは嘘の霊、卑劣な騙しの常習犯!"

 "騙した相手を砕いて壊し、ウシシと嘲笑わらうド畜生!"

 "布切れ程度で操れるほど、素直な家畜じゃねぇんだぜ!?"


 死越葬態デッドトランス血で紅く染まる暴れ牛ジェノティディオ・ムッカ・ロッサ!』



『"我が守護星よ、知恵を貸してよ"

 "死を越えた日々を形にすべく、吹き抜ける風を注ぎたいから"


 "恐縮乍ら、我が身は高貴"

 "瓶を担いで酒を酌む、神に仕える尊き給仕"

 "或いは僕は、高貴なる王子。または河川の女神の孫"

 "それ故僕もまた神であり、地に恵みの雨を齎そう"

 "そしてまた僕は清廉、その美貌は比類なく絶世"

 "見ろよ、あの神の王を。哀れな奴は僕に魅入られ、遂には攫ってしまうのさ"


 "ああけれど、勘違いしてはいけないよ"

 "僕は神に仕える身だけど、神の傀儡になる気はない"

 "ましてあんな下劣な奴の、言いなりになんてなるわけない"

 "奴は確かに偉大な神だ。崇め奉るべき相手だろうが、同時に下劣で強欲だ"

 "そんな男に忠誠誓い、まして奴隷になるなんて、真っ平御免だ願い下げ"

 "信徒は神を崇める義務と、信仰の自由を併せ持つ"

 "だから僕は信ずる神を、守る教えを自ら選ぶ"

 "或いは教えが誤りで、神が邪神であったなら、僕は嬉々として奴らに背き、徹底的に抗うさ"


 死越葬態デッドトランス神に仕えし者に(アンチェインド・)信仰の自由を(ガニュメデス)!』



 ほぼ同時の詠唱、二人揃っての変身……

 ロジャースさんは光り輝く緑色の岩石を弾き飛ばしながら、

 タクシャカさんはネオンを思わせる様々な蛍光色の入り混じる風を纏い、

 それぞれの"星座に準じた戦闘形態"に姿を変えたんだ。



『タウナギぃぃ~! てめェ、歯ァ食い縛れぇ? すぐに死んだりすんじゃねーぞぉ?』


 牡牛座を司るロジャースさんの戦闘形態は、言っちまえば神と化したミノタウロスつーか……

 あちこちが稲妻っぽいデザインで所々放電してる辺り、牡牛座とゼウス神ってデザインコンセプトなのかもしれねぇ。



『ワレシの能力ノロク発お披露目、派手に決メたるヨー!』


 水瓶座のタクシャカさんが変身したのは、古代ギリシャ風の衣装を纏った猛禽類型の鳥人バードフォークって感じの姿だった。

 背負ってんのはそれこそ細長い水瓶……と思わせて、よく見りゃ水瓶型のバズーカらしかった。



【なぁにがデッドトランスかぁ!?

 そのようなもの、革命派大幹部たる我が力の前には何れも無意味!

 その現実を思い知るがよいわぁぁぁぁ!】


 瞬間、タウナギの纏う装飾が豪華になりヒレか翼みてーに変形した。

 何か新手の深海生物みてーだなって思った。


『ロジャースサン、取り敢えず(トラェツゥ)はワレシがアレ撃墜ゲッツィしテみッカーらトドメ任せて大丈夫タショープネー?』

『オウ、そうしてくれや。オレは小回り利かねえから逃げ回られっと面倒だしよ』

【ぬぅぅぅっ! きっさまらぁ〜〜!

 我を無視して勝手に話を進めるでないわぁぁぁ〜っ!】

ヤッカマシーねオンメ、

 所詮噛ませのクェにガタガタ吐かすなーヨ!

 コレでも、喰らーエ!』


 そう言ってタクシャカさんはタウナギ目掛けて例の水瓶型バズーカを放つ。

 発射された圧縮空気弾(?)はタウナギに直撃……したものの、奴に直接のダメージはないらしい。


【ふっはははははははぁ! なぁんだその砲弾はぁ!?

 そんなもので我を仕留めるつもりか!?

 見くびるなよ糞で汚れた鳥風情が! こんなもの痛くも痒くもないわ――


『レッツ、シッバァーれッ!』


【うぐおがぁぁぁぁああああっ!?

 なんだぁぁぁっ!? 羽衣が身体にからみつくぅぅぅ!?】


 タクシャカさんが仕上げにそう唱えると同時、タウナギの身に着けていた衣類が奴の身体へ絡み付き、そのまま力強く締め上げ始めた。

 特にヒラヒラした装飾部分に総掛かりで首を締められたからだろう、それまで空中に浮いてたタウナギは哀れ路面へ墜落する。


【ぐがあああっ!? がああああっ!

 ほど、けっ! ほどけぬううう!】

『ナイスだタクシャカ。これで確実に仕留められる……』


 惨めにのた打ち回る回るタウナギにご満悦な様子のロジャースさんは、

 取り出した大瓶入りウイスキーをグイ、とラッパで飲み干す……筋骨隆々《ゴリマッチョ》な合衆国民アメリカンの手本みてーな所作でな。


『クッ、ふあっはァァ……ん?

 おっといけねぇ、喉乾いたんで烏龍茶でもと思ったら間違えてウイスキー呑んじまったよ……』


 生者なら急性アル中でぶっ倒れて当然な量のイッキ飲みに平然と耐え、

 殆ど酔った様子すら見せねぇとはまさに"死を越えた者"ならではの芸当だろう


 と、思ってたんだが……


『キッヒヒヒヒ……フヘヘヘハハハハァ……!

 よぉ〜このクソタウナギがぁ

 ……結束バンドみてーなムカつくカラーリングの頭しやがってこん畜生ゥ……

 気分良くちアガってたトコに不快なモン見せ付けて萎えさせてんじゃねェーぞっゴラアアアア!?』


 どうやら俺の勘違いだったようで……

 平気に見えたロジャースさんはその実、いい感じに出来上がっちまっていたんだ。


【ぐうっっ! なんだ、貴様ぁ!?

 よもやこの洗練された美しき四色ヘアのみならず大いなる結束バンドの皆様方さえも侮辱する気かっ!?】

ーりェだボケがぁ!

 そも所詮結束バンドなんぞ売れ筋若手声優がバックについただけの女学生アマバンドっ……

 言っちまえば「放課後ティータイム」の二匹目泥鰌セカンドローチ狙った劣化コピー、

 潔癖症と男嫌い拗らせた腐れヲタ豚(ナード)どもに媚びて売れただけの烏合の衆!

 企業で言やあ身内の七光りでコネ入社してきたクソ新人みてぇなもんだろーがぁ!』


 ロジャースさんの発言は正直聞くに堪えねぇ暴言に他ならなかった。

 確かに俺も結束バンドは好きか嫌いかで言えば出典の『ぼざろ』って作品も含めて些か気に食わねぇと思わねぇわけじゃねぇし、

 ロジャースさんの言いたいこともなんとなくわかる。



【ふざけるな貴様っ!

 結束バンド様こそは邦楽界に現れた超新星にして音楽界の何者をも凌駕する至高の存在であるぞ!?

 貴様がどこのなんという音楽家のファンか知らんが、

 如何なる音楽家も結束バンド様を前にしてはセミかコオロギ程度の価値さえも――


うるせェーッ!』

【ぐぼがぁぁぉぁっ!?】


『それだよ……!

 結束バンド信者、ぼざろ信者、

 ひいては女学生ミュージシャン教信徒のそういう所が先ずオレは嫌いなんだよ!


 「放課後ティータイム」の時も!

 「μ's」の時も!

 お前らはそうやって社会の主流派、多数派マジョリティのフリをしちゃ外野を蹂躙し暴れ回る!

 てめえら自身が打ち立てたワケでもねぇ実績でっ!

 そのせいで外野がどんだけ苦しんだかなんて知りもしねぇでなぁぁぁっ!』

【ぐがぁぁっ!?】


 だがだとしても、コンテンツやキャラクターそのものに罪はねぇ……

 悪いのはその人気に乗じて狼藉を働く外道どもなんだからな。

 その点、ロジャースさんの結束バンドやぼざろ、

 或いは放課後ティータイム(けいおん)μ's(ラブライブ)に対する数々の(この場では書ききれねぇ程の)憎悪ヘイト発言は正直お門違いで的外れ、

 不当な逆恨み以外の何物でもねぇだろう。


 ま、それはそれとしてあのタウナギはそういう外道の端くれだし、そもそも革命派な時点で同情してやるつもりは毛頭なく、

 ロジャースさんの(恐らくは酔った勢いでの)暴走を止めようって気にもなりゃしねぇがな。



【ぐぁ……ごが……】

『……と、大体こんなもんか。

 正直まだ殴り足りねぇが、酒が抜けてきたお陰でなんか興醒めちまったしよ……』


 さて、そんなこんなで暴走したロジャースさんの手でボコられ続けたタウナギは、

 見るも無惨な姿になりながら尚も意識を保ち続けていた。


【き、さま……こんな真似っっ……

 革命派百五十大幹部が一人にして、

 結束バンド様をこの世の誰より敬愛し理解する我にこのような狼藉を働いておいてっ……

 タダで済むと思うでないぞぉっ……!】


 しかも恐ろしいことには、

 奴め初期の橘朔也ギャレンよろしくボドボド(ボロボロ)だってのにまだそこまでの啖呵切る余力があるってこった。


『なんだあテメエ、九割殺しぐれーまでボコってやったのに、

 まだオレを脅す余裕があるたぁ生意気じゃねぇか。

 つかテメエ……

 たかが一介のファン程度の癖に「ぼざろ」の原作者や出演者を差し置いて

 「自分こそが結束バンドをこの世の誰より敬愛し理解してる」だぁ?


 思い上がりも大概にしとけよクソボケがぁ、

 テメエみてーな害悪ナードのせいで流行りもん界隈の腐敗が止まらねぇんだろ。

 進撃も、松も、鬼滅も、テメエみてーなのが腐らせたんだ……』

【な、にを、吐かすかっっ……!

 界隈の腐敗など我は、知らぬ、存ぜぬ、認知せぬっ……!

 そも界隈が腐ろうと、結束バンド様が至高の存在たるは周知の事実……!

 少なくともあの令和最悪の駄作「チェンソーマン」が主題歌十三曲を手掛けた有象無象ども……


 取り分け、散々大物ぶって息巻いた癖に、

 音源を出さぬどころか楽曲そのものを未完成のまま放置し惰眠を貪る、

 あの川北とかいう無能のクズ風情とは、

 格も次元も違うの、だがぶっ!?】

『……!』



 刹那、唐突に黙り込んだロジャースさんはタウナギの顔面を踏み付け黙らせる。



【ぅご、おぁ、ばっ――ぐがぁっ!?】

『……』


 沈黙したロジャースさんは両腕で、タウナギの首と尾を掴んで水平に持ち上げる。

 それと同時、彼の頭から生えた角は稲光を纏いながら変形していき、並んで真っ直ぐ垂直に伸びる二本の杭みてぇになる。


【ぁが、ぐが、ごぁがぎぃぇぇっ!?】

『……ッらァ!』

【ぐがぎゃぇっ!?】


 杭みてぇになった角に串刺しにされるタウナギ……

 幾ら淫魔だって死んでそうなもんだが、

 ところがどっこい奴は生きていた。


【ぐっひ、ぎがっ、ぎひーっ!】

『……便所のクソより汚ぇテメエは、ドブのヘドロより汚く死ね!』

【ぐぎゃわらびばべぼじぎぎぎががががづあだばべげげげっ!?】


 シンプルな捨て台詞を吐いたロジャースさんは、そのまま角から放電。

 タウナギは内臓から凄まじいまでの電流をモロに喰らい……


【ぼっ、っづぁぁあああごおおおおおっ!?】


 そのまま木炭同然の黒焦げになりながら木っ端微塵に爆発四散、そのまま動かなくなり絶命した。


『……さて、と。

 みんなすまねぇな、待たせちまってよ』


 戦闘を終え、変身を解いたロジャースさん。

 酔いが醒め、怒りも収まったらしい彼の表情は――コートのフードとマスクのせいで殆ど見えなかったが、多分――憑き物が落ちたような、穏やかで爽やかに感じられたのさ。


『構わないさ、あんたが気にするこっちゃないよロジャース』

『そダヨー。ジュイサンの言うりネー。

 もしし訳ネッて思うなラ、

 今度コント飯デも奢てクレだヨー』

「ヤツの言い分はわたくしも腹立たしくて仕方ありませんでしたし、

 寧ろロジャース様には称賛のお言葉を贈りたいくらいですわ」

「右に同じくですわ。死越者の戦い方ってのは本当に勉強になりますんでね」


 係長に便乗して述べた言葉は、世辞でもなんでも無い俺個人の本心だった。

 で、それはそれとして……


「……つーか、もう結構屋敷からの鬼電がヤベェんで、

 屋敷へ向かいたいんですが構いませんかね?」


 そう、問題はそこなんだ。

 あれからずっと、屋敷側からは早く来いだの主君様が癇癪起こしてるだのと、そんな着信ばかり来てやがる。

 そろそろ行かねぇとマズいだろう、って具合だ。


『おっと、そうだったなァ。

 んじゃ急ぐとするか。主君様にはオレが頭を下げるとしよう』


 なんて言いながら走り出そうとするロジャースさん。

 ……別にこの方が頭下げる必要はねぇと思うんだがなぁ。


「あらロジャース様、よもや走って向かわれるおつもりですの?

 それは宜しくありませんわ。ここはエレガントにタクシーを呼びましょう」


 『料金はわたくし持ちで』などとさり気なく身銭を切ろうとする係長。

 屋敷へ公共交通機関で向かうには通常魔界二十三閥族傘下の会社じゃなきゃダメだし、

 そもそもそうなるとメーターが馬鹿みてぇに上がっちまうんでそこは屋敷で負担させろ頼むから……


係長カカリチョサン、コの場合バイタクシは悪手ネー。

 料金リョキン高くナチャうヨー』

『そうだよ。それにロジャースをご覧、今のこの図体でタクシーになんて乗れるわけないだろう?

 そうでなくても元々色々とデカいんだからこいつは……』


 すかさず止めに入るのはタクシャカさんとフオンさん。

 いや全くナイスアシストだぜ。


「皆々方ご安心を。今同僚に送迎を頼みましたんでー」


 同僚ってのは皆お察しだろう、我らがチャールズ老だ。

 電話したら運良く出てくれて、飛行ゴーレムを貸してくれると言っていた。

 これで一先ずは大丈夫だろうを


『おっ、すまねぇなコールレインくん』

「いえいえ、持て成させて頂く以上こんくらいは当たり前ですから……。

 ただ、何分場所を取る奴が来るもんでこっから暫くは徒歩ですがね」

「そのくらい構いませんわよコールレイン様」

『そだネー、持て成しテ貰う前ノ準備運動だヨー』

『なんだい、持て成してもらう前の準備運動って……。

 まあ、歩くのはあたしも賛成だね。

 見てご覧よ、朝日が綺麗だ……

 あたしの故郷じゃもう見れなくなっちまった風景さね……』

『なんでぇフオン、めでてえ時に湿っぽいこと言うんじゃねーよ……。

 けど確かにあの夜明け空は綺麗だな。

 流石、てめえで日出る国なんて名乗るだきゃあるってかァ』



 かくして革命派との戦いを乗り越えた俺たちは、

 チャールズ老の寄越したゴーレムとの待ち合わせ場所へ向かうべく朝日の中を歩き出す。


(然しうちの作者、山場とかオチに明け方のシーン持ってくるの好きだよなぁ……)


 ま、いいけどな。

次回、ナガレ目覚める!

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