"例のあの件"を聞いてみた→ところで今日は作者の誕生日で、だからこそヤツは病んでいる
はい、というわけで誕生日&十五周年なのに普通に投稿してます。
いや~本当はもっと特別なこと色々やりたかったんですけどね、無理でしたわ。
てか、どうせ誕生日と十五周年記念のこと事前に告知してても実質的に祝ってくれる方そんなおらんやろし、
まあそこは半ば諦めてるんですけども
俺の名前は、北川ナガレ。
『つまりボーダーフールズは、俺の屍人どもへの復讐心を見込んで蟹座の死越者に選んだ、ってワケですか』
『厳密に言えば、特に死の間際君の心に沸き上がった感情に、だろうね。或いは何を考える隙もなくただ漠然と命を落としていただけなら、君は選ばれなかったかもしれない』
『なんてこった……』
今まで微塵も把握してなかった自分自身の正体を知り驚愕するリビングデッド改めデミ・アンデッドだ。
『先に述べた通り、死越者はボーダーフールズが意思を持つ兵器としての運用を想定し設計した存在だ。身体能力、戦闘センス、回復力、再生能力といった基礎が他の種と比べずば抜けて高いのは勿論のこと、洗脳や魅了、改竄・改変への耐性も高いらしい。
だがもっとも特筆すべき特徴は、各星座と関連付けられた特殊能力を有し、各星座の要素が反映された戦闘形態への変身さえ可能な点だろうな』
『戦闘形態ってーと、庭園で俺がなっちまったアレですかね……』
名付けて大蛇蟹……馬鹿でかいカニの腕一対と歩脚二対、序でにこれまた規格外のサイズを誇る毒蛇が二匹も生えた文字通りの化け物……
つまるところギリシャ神話の化け蟹カルキノスとその親友の毒蛇ハイドラを想起させるなら、蟹座をモデルにした形態なのも頷ける話だ。
『ああそうだ。といって、君のそれは未だ全く持って不完全極まりない未熟な状態のようだがな』
『確かに、自力での制御さえできずに理性失くして味方にまで襲いかかってますもんね。ヒトの生涯で言うと未就学児かさもなきゃ乳児ってトコですかね?』
『ふむ。そうさな……変身中は自我がなく、能動的な発動も不可能。特殊能力に関しては検証してみなければわからんが、発現していたとして大方初歩段階……。
かつそもそもアストラル体の節足と毒蛇の頭部が生えただけで、肉体の変異らしい変化は無しとすれば……精々胎児だろうな、八週程度の』
『そりゃまた、仕方がないとは言え手厳しいですなァ~』
『誤解してくれるな、褒め言葉だよ。君は死越者として未熟も未熟……成長段階にして胎児程度ではあるが、だからこそ伸びしろがある。ここから成長していけるってことだ』
『はあ、そりゃそうですが……そう上手く行くもんですかねぇ』
『上手く行く行かないじゃない、上手く行かせるんだ、君自身がね。それはもしかしたらとても過酷な道になるかもしれないが、だからこそ乗り越える価値があるだろう……』
『そう、でしょうかね。なら、頑張ってみますよ。
……ところでルージュ様、話題は変わりますがよろしいですかね』
『陽炎一族の件か? フィオーナお嬢から凡そ話は聞いているが……』
『そいつは話が早い。店長から聞いた話じゃ、貴女様はかの一族との接点をお持ちだとか』
『接点というか、まあ連絡を取り合えんこともないな。陽炎一族は魔界二十三閥族の第九位……表にあまり出ないとは言え、こちらから面会の約束を取っておけば対面するのは容易かろう』
『つまり、俺が陽炎一族の方々と面会できるようにサポートして下さる、と?』
『無論そのつもりだ。というか、その件は既に使用人を通じて君に伝えていたハズだがね……まあ、その為に今迄散々な目に遭い乍らも乗り越え突き進んできたのだから、勢い余って何度も聞き返したくなるほど心配せずに居れん気持ちはわかる。
果たして何時になるかはわからんが、なるべく早く陽炎一族にコンタクトを取ってみるとしよう』
『……ありがとうございますッッ!』
かくして俺はルージュ様との約束を取り付け、確かな収穫と共にマインデッド邸を後にしたのだった。
〈◎皿◎〉<ちな死越者の件はサイトウ地区でも最低限の面々にしか明かしてねぇ……
サイトウ地区へ戻ってからの俺はというと、またいつも通り屍人を刈ったり悪党どもをシバき回したり……まあ要するに自警団としての仕事をこなす日々に戻っていた。
決して短くはない間留守にしちまったもんで、自警団のみんながどうなってんのかは地味に結構心配してたりもしたんだが……
「吹っ飛べぁ!」
「強欲警官特殊弾頭、激昂巡査部長発射あああっ!」
『『『『『『ブッチョオオオオオオオオオ!?』』』』』』
『おおー、流石の破壊力……やっぱ大原部長の存在は偉大ってコトかぁ』
「喰らいなっ! 仙亀頭蓋新必殺技、『分けてもらわなくても大丈夫なタイプの元気玉』ぁっ!」
『『『『『『ゴクウウウウウッ!?』』』』』』
『ほう、例の光線エネルギーを球状に纏めて爆弾ぽく投げつける技が遂に実装か。感慨深いねぇ』
特に何かあったってこともなく、何なら現場での動き方とか武器の扱い方なんかはレベルアップしてるような印象だったんで一安心、俺の懸念は無事杞憂に終わった。
加えて……
『いやぁ〜みんな頑張ってくれてるみたいで嬉しいぜ。
もう俺抜きでも泥得自警団は大丈夫かもしれねーわなァ』
「へへっ、褒めてくれてあんがとよ北川クン!」
「その道のプロが絶賛してくれるなんて悪い気はしないね」
「けどキタちゃん、後半の一言は頂けないわね?」
「そうだな。すず屋の雲爺ィの受け売りだが北の字は泥得の切り札で守り神、戦える戦えねー以前に俺ら自警団にとっちゃ精神の支えなんだからよぉ」
「てか腕上げたとはいってもやっぱ北川クンにゃ及ばねーっつーかさぁ〜、
近頃はゾンビよりヤベェ連中とかも出てきてっから、そういうのは北川クンに任すしかねーのが現状だしよぉ」
「ってわけで北さん、これからも泥得自警団を宜しく頼むよ?」
『……そうだな。みんな有り難うよ、んでこれからも宜しく頼むぜ』
こんな具合に、自警団のみんなはどんだけ強くなっても俺を頼ってくれていて、みんなに必要とされてるってのが何より有り難くもあったんだ。
〈◎皿◎〉<最早泥得サイトウ地区は俺にとって第二の故郷みたいになってたもんな……
さて、そんな泥得自警団での日々だが……マインデッド邸から戻って以来、屍人や悪党どもより厄介な連中を相手取る機会が増えていた。
その厄介な連中ってのは、大体みんな想像ついてるだろうが……
「キタちゃんやべーぞ、緊急通報だっ!」
『緊急通報ですって? てことは、まさか』
「おう、そのまさかよ! 際どいナリして肌をテカらせた女で、角や尻尾が生えてる奴らだ!
コスプレ痴女と勘違いして近寄ってった酔っ払いの頭蓋を指一本で陥没させて殺したつーし、バケモンで間違いねぇ!」
『殺しってことは、掌握派の奴らかっ!』
そう、掌握派と革命派のクソ淫魔どもだ。
それまでは目撃情報すらろくになかった筈の奴らが、何故かここ最近は妙にこの界隈で暴れ回るようになっていたんだ。
『すぐに向かいます! 場所はどこです!?』
「実鋤市中央区盛村上駅前の大通りだ!
近隣じゃ変な勧誘をしてくる痴女の目撃情報も相次いでやがるし、くれぐれも気ィ抜くんじゃねーぞっ!?」
『成る程下手すりゃ革命派もセットでついてくるってワケですか、嫌なオマケだなぁ!?
まあいいや……ともかく急ぎます! 双頭蛇竜を借りても?』
「ああいいぜ! てかありゃ実質キタちゃん専用みてーなトコあるし自由に使っちまいな!」
『有り難う御座います。んじゃ、イッチョ行ってきますわ!』
斯くして俺は現場へ急ぐ。
『待ってろクソ淫魔ども! この俺がキッチリ逝かせて殺っからよぉ〜!』
次回もナガレが大暴れ。
カクヨムもやってます→https://kakuyomu.jp/users/KDK5109
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