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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE4 "毒蛇蟹"の正体と新たなる戦い

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死越者の正体→彼が選ばれた理由

死越者と黄道十二星座に秘められた関係とは一体……?

 俺の名前は、北川ナガレ。


『そもそも死越者エクシーデッドとは、黄道十二宮に名を連ねる各星座に対応する一人ずつしか存在し得ない。

 或いは逆に言えば、死越者とは()()()()()()()()()()よう設計された存在なのだよ』

(……なんてこった)


 自分自身の正体に関わる重大な事実に驚愕し絶句せざるを得ない、蟹座を司る死越者エクシーデッド(?)だ。


『私自身、全てを完全に把握できたわけではないが……少なくとも「ボーダーフールズ」は何かしらの脅威に立ち向かう為の戦力として死越者エクシーデッドのシステムを構築したのはほぼ間違いあるまい。

 本音を言えば組織関係者を直接ここに呼び出して根掘り葉掘り聞き出してやりたいところだが、あそこは組織単位で謎が多く、構成員はたとえ末端であろうと公の場に姿を現すことは極めて稀故そうもいかん』

『そんな稀なんですか……』

『ああ稀だとも。橘朔也ギャレンが一般怪人に何不自由なく圧勝するほどにもな……

 或いは、白石謙作バトルコサックの死因が正しく理解されるほどとか、

 特戦獣アースガロンが単独で怪獣を討伐するほど、とも例えられよう』

『はぁぁ~そりゃ稀ですわなあ。構成員捕まえて来るなんざ無理な話だ』

『判明した情報も決して少なくはないがね……。

 まず死越者とは、単に死人を蘇生して強化改造を施した不死者アンデッド或いは準不死者デミ・アンデッドではない』


 デミ・アンデッドってのはその名の通り、厳密にはリビングデッド乍ら、知能指数や振る舞いなんかから考えて実質アンデッドみてーなヤツのことらしい。要するに俺も厳密にはリビングデッドじゃなくデミ・アンデッドなんだそうだ。


『その選定条件は中々に複雑でね』

『単に死人なら誰でも己の誕生星座を司る死越者になれるってワケじゃねえ、と』

『そうだ。北川くん、聞くところによると君は博識なようだから、黄道十二宮の各星座にはそれぞれ四大元素や五行説に基づく所謂"属性"や、太陽系に連なる星々、或いはタロットの大アルカナから十二支の獣、人体の部位に至る迄様々な概念が割り振られているのは知っているね?』

『ええ、一応嗜む程度には……サッと言えんのはてめえの星座だけですがね。

 蟹座は四大元素・五行ともに水属性、但し季節に準拠する十二五行変換だと夏なんで火属性、

 太陽系としちゃ月の支配下にあり、人体部位でいえば胸部、十二支の獣は確かウマでしたかね。

 タロットの大アルカナは諸説あるが最有力説は七番の"戦車"だとか』

『お見事、素晴らしいな。付け加えるならば性質として基本宮の活動を持ち、性質は排他、性別は女性、ヘブライ文字は三番目のギメル、江戸以前の二十七宿では井宿、鬼宿、柳宿に分類されていた。

 大アルカナは戦車説が有名だがこれは『黄金の夜明け団』による定義であり、他に双子座説、天秤座説、射手座説がある。

 君が挙げてくれたものも含め、これらの要素は「ボーダーフールズ」が死越者の素体を選定する際の基準として用いられ、特に該当する十二支の年に生まれた者や、支配星に関わりの深い土地に生まれた者は生きながらにしてアンデッド型の死越者となるようだが……何れも誕生星座と並びうる程の基準とはなり得ないのだよ』

『では何なんです、その"誕生星座と同列に扱われる、死越者の選定基準"ってのは……』

『まあ、あまりいいものではないんだがね……簡単に言ってしまうと、その者が抱える"悪徳"だよ』

『悪徳ってえと、タロット大アルカナの逆位置のヤツですか? 確かに戦車の逆位置は暴力的だとか身勝手だとかですが』

『いやあ、そんなものではないな……そもそも大アルカナと十二宮の関連性は諸説あり不確かなものだろう?

 ボーダーフールズが基準として定めた悪徳はもっと明確に定められたものでね……。

 ……黄道十二宮の天使、なんてものがある』

『十二宮の天使……確か、ルネサンスごろに西洋のなんとかって奴が提唱した区分でしたっけ?』

『ドイツのオカルティスト、"ネテスハイムのハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ"だな。

  1486年9月14日生、1535年2月18日没……オカルティストの他、魔術師、人文主義者、神学者、法律家、軍人、医師としても活動した人物だ。

 彼の定義するところによれば、黄道十二宮にはそれぞれ守護する天使と、関連性の深い月、そして亡者の階級が割り当てられている。

 蟹座こと巨蟹宮は"主天使ドミニオンズムリエル"に守護され、六月と関連し、亡者の階級は"ウルトレス・スケロルム"。

 和訳するならば"罪の復讐者"……』

『……!』


 その言葉を聞いた瞬間、俺は全てに合点が行った。


『つまりボーダーフールズは、俺の屍人コープスどもへの復讐心を見込んで蟹座の死越者に選んだ、ってワケですか』

『厳密に言えば、特に死の間際君の心に沸き上がった感情に、だろうね。或いは何を考える隙もなくただ漠然と命を落としていただけなら、君は選ばれなかったかもしれない』

『なんてこった……』


 死に方一つ違っただけでこの『デッドリヴェンジ!』って作品さえ成り立たなくなってた(つーか別の奴が主人公になってた)かもしれねぇってことか……。



次回、遂にナガレが「あの件」についてルージュに相談すると……?

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― 新着の感想 ―
[良い点] いろいろ興味深いところが盛り沢山。 [一言] いろいろ興味深い回です。 ナガレ氏がなぜ選ばれたのか。 偶然 必然 運命  姿を見せない組織。 謎めいていていいですね〜 こういう…
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