暴れ狂い鏖(みなごろ)せ、一人が特撮怪獣千匹分の暴力で敵勢滅ぼすプリキュアの如く
浮遊庭園でのチャールズ戦、遂に決着!
果たして勝負の行方はどうなるのか。
……活動報告で「週末までには書き上げます」とか言っちゃったから昨日とか無理しまくりでさー。
もう意地と根性で書いてたら寝不足からか翌朝全身痛くてしょうがなかったよね。
なんか「戦闘シーンが描写能力がない癖に長いだけの台詞と勢いで押し切ろうとしてるからどうしようもない」とか言われたの未だに覚えてて軽くトラウマなんだけど、
さりとてあんなちょっとした極限状態? って程ではないにせよそれでも結構過酷な状況で書いてたから……
これで今日のPV数200切ったら流石にキレるし、100切ろうもんならもう何しでかしてもおかしくないよね~(何もしでかすんじゃねえよ)
俺の名前は、北川ナガレ!
【《『ハァジィキィブッコムァァァァァ!』》】
「バオロン! 防壁展開!」
≪ゥルルルルロォン!≫
【『《ヅァラボゲガアアアア! ブチヌッゾゴラァァァァァ!》』】
≪ロォォォォッ……!≫
「愚か者めぇ! バオロンの防壁をそこいらの障壁魔術程度に考えるでないぞ!
その防壁、正式名称"多角柱状魔術式防護壁"は嘗てアーネストが二時間かけて成敗した革命派の売女どもの体表面を覆う万能生体防護魔力膜を主様と屋敷の技術部が専門機関協力のもと解析して得られしデータから開発した代物にして、
二年前の我が誕生日に主様よりお贈り頂いた数ある誕生日プレゼントの中でも特に価値ある一つ!
余程火力の高い武器ならばまだしも、その程度の"胡麻散弾"程度では傷も付かぬわァ!」
【《ヅアアアアアアアアア!》
『だああああああああ――クソッ! マジで堅ェなオイ! 正面向きの機銃がオーバーヒートしちまったよ!』】
浮遊大陸でヤケクソ気味に機銃を乱射するも、敵の展開してきた多角柱型の防壁に阻まれちまった死越者だ。
【『だがジジイ! 言質取らせて貰ったぜェ!』
《ヴォラッガゲェィーン!》】
「……なに?」
【『言ったよなオメー? 「よほど火力高え武器ならまだしも」ってよォ!』
《ヴァラギボッゼグォオッ!》
『つまりそりゃあ"火力アホ高え武器なら防壁破れる"ってこったろーが!』
《ッヴェボッヅァローゥガ!》】
「ふむ、確かに――」
【『だったら用意してやるぜ、バカみてーに火力高え武器ってのをよぉ!』
《ズェロゴヴォオオオオオッ!》】
てなワケで俺らが繰り出したるは"反撃地獄鋸"の左腕が変形した光線砲。
【『《ケェェシズミンナットケエエエエエエエエエ!』》】
大型かつ大口径な砲口だけに、放つ光線も極太かつ高威力……ジジイの発言から察するにこれなら防壁も無意味だろう。或いは防ぐのを諦め瞬間移動で回避しに来るかもしれねぇが、だとしてそっちも対策済みだ。
(俺の読みが当たってりゃ、奴の動きはしっかり読める……!)
つまりこの状況、どう転ぼうと俺の有利に進む……ハズだった。
「ぬぅ、いかんな……バオロン、吸え」
≪バォロォォォン……!≫
【『ぬぁ!?』《グガア!?》】
だが次の瞬間、全く予想外の展開に俺達は思わず混乱する。
なんと驚くべきことに、バオロンの奴は俺達が撃った極太光線に大口で喰らい付き、長く発達した二本の腕で掴んで引き寄せ……事も在ろうにそのまま食い尽くしちまったんだ。
【『《グッダアアアアアアアア!?』》】
俺達は驚きの声を上げる。あんまりにも思ったことが同じだったからだろう、俺と"反撃地獄鋸"のシンクロ率は高まり、結果二つの台詞が重なり合い一人分の大声として空気を振動させる。
そりゃ心が一つになったっておかしくねぇワケなんだが……悪夢はそこで終わらない。
「撃てィ!」
≪バァオ、ロォォーン!≫
【《ギャッヴェェェエエエエイ!?》
『撃ち返して来たたぁぁぁあ!?』】
何とバオロンは、食った光線のエネルギーを体内に取り込んだかと思うと、そいつを白いエネルギー波の形で両腕から撃ち返して来やがったんだ。見るからに洒落になんねー威力、当然俺らは回避するが……
【《『グウワガアアアアア!?』》】
直撃こそ免れたもののあと一歩及ばず、ド派手に吹き飛ばされちまう。
「バオロン! 集中砲火だ! トンサンナンチー・ディーシァン!」
≪バオゥ……≫
直後、バオロンの姿がフッと消える。大方瞬間移動で死角から焼くつもりだろうが、そうはいくか!
(てめえの動きはもう"読めて"んだよ!)
不意打ち狙いからかバオロンは中々姿を見せないが、かえって好都合だ。俺らはジジイの発言から読み取った座標目掛けて、右太腿から追尾式の誘導弾を何発も放つ。すると……
≪ロォォォ――ブボォォォ!?≫
「ぬぐおわあああああ!?」
瞬間移動してきたバオロンはまんまと誘導弾の餌食となり、軽減されているとはいえ連動してダメージを受けたジジイ共々盛大に吹っ飛んだ。
【『よおジジイ! 悪いがその瞬間移動は実質封じさせて貰ったも同然だぜ?』
《ヴォォォォンゲェッザァァァァーレェイ!》】
「ぐんぬぅぅぅぅぅぅう……! リビングデッド、貴様ぁ……! よもや我のさほど上手くもない、果たして本場の華人に通じるかわからん発音の中国語を翻訳したと言うのか!?」
【『おうよ。敢えて意味合いを悟られねーよう発音レベルを下げたつもりか知らんが、所詮辞典やネットの解説サイトに掲載されてる片仮名表記レベルのもんだろ? あんなもん下手の内に入らねえよ』
《ヴァァァァイバァンヴェイヴォオオオオオオオン!》】
もう読者気付いてるだろうが、バオロンの瞬間移動はジジイの魔術によるものだ。そして奴は転移する位置やらを――恐らくは、バオロン自身が混乱しないよう――中国語の羅列で伝えていたんだろう。
トン、シィ、ナン、ペイは四方、イー、アール、サン、スー、ウー、リゥ、チー、バー、ジゥ、シーは一から十までの数字で、多分だが浮遊大陸全体をシミュレーションゲームのフィールドよろしくマス目で区切るように考えて一定間隔で動かしてたんだろう。序でにこっからは完璧俺の考察だが、ファンヅァンチァホゥは"反転前後"から転じて"前後を入れ替える"、ディーシァンは"敵を向け"でそれぞれバオロンの身体の向きを決めておく為のもん、バンウォは"伴我"……つまり"自分も追ってお前の傍らに転移する"とかそんな意味なんじゃねえだろうか。
「度し難きことよ……ともすれば貴様と直に遣り合わねばならんのか」
【『まあそうなるなあ……来いよチャールズ、そしてバオロン……』
《デレヴォオドザンベズゲレェ! グァガアアッヅェグオオオオオオイィン!》】
元軍人の樵よろしく挑発しながら、俺らはありったけの武器を展開する。
右手を貫手の形にすれば、右前腕全体がチェーンソーに変形……仮にそいつが使い物にならなくなろうが極太の鉤爪やアーム付きサーキュラーソウだってあるから武器にはそう困らねえ。
光線砲だった左前腕は巨大なスタンガンに姿を変え、左右上腕と太腿に仕込んだミサイル、胴体の機銃も準備万端。
右脛には小型のグラインダー、左脛にはガス切断トーチがそれぞれ列を成して配され『弁慶の泣き所だ』と蹴りを入れようとしてきた雑兵や小童の爪先を抉る程度の破壊力はある。
序でに頭部全体は頑丈で牙も鋭く強固、その上口腔内には極太のドリルが舌の如く備わり、噛み付きからの"ペロペロ"はゼノモーフさながらの凶悪ぶりだ。
……聊か近接偏重気味だが、足りねえ距離はジェットエンジンとグラップルガンで補うしかねえだろう。
「なんともはや、恐ろしいものだな。まるで全身が凶器ではないか……油断できんぞバオロン、気を抜かず全力で相手をしてやれぃ」
≪ッバァァァオッロォォォォン……!≫
さあ、暴れようか……日本が世界に誇る殺戮集団"プリキュアオールスターズ"宛らの狂った調子でっ!
〈◎皿◎〉<高校時代の同級生が言ってたんだよ。『プリキュアはスーパーヒーロータイムの主役連中なんかとは比べ物にならないくらい強い。プリキュアが本気を出せばライダーの最強フォーム殺すのに二分もかからない』ってさ。いや俺はプリキュア全く知らねーから真偽は知らんけど、とりまそいつがそう言うってことはそうなんだろうなっていうか。
【《『ヅウウウオッラァァァアアアアア! ヴァギリンヅァッドゲァァァァ!》』】
≪ボゴガァッ!? バァァオッ、ロォォォォン!≫
「ぐっづううう!? ば、バオロン止せ! 無理に防ごうとするでない!」
瞬間移動と序でに実質光線食うヤツまでも封じられたバオロンと俺らの殴り合いは、そりゃあもう壮絶を極めた。
何せ奴の暴れぶりときたら見た目通りっつーか見た目以上っつーか、流石ティラノサウルス・レックスの中華名"暴龍"の名を冠すに相応しい有様だったんだ。
≪バオッロォォォオン!≫
【《ヴァァァァイバァンヴェイヴォオオオオオオオン!》
『ええいめんどくせぇ! 押し切ってやらァ!』】
一方の俺らとて当然、ただ圧倒されてるだけじゃ終わらねえ。全身に備わる武器って武器をフル活用、武器じゃねえ部位もフル稼働させ暴れる白黒のゴーレムに立ち向かう。
【『断ち切れィ!』《ヴァアン!》
《バヴォン!》『ぶち貫けェ!』
『灼け焦げろォ!』《ヴィヴァヴァヴィヴォオン!》
『《ギイ加減ゾノ外骨格ンヅァガ見ヴィゼテミボグァァッ!》』】
≪バオッ!? グボッ! ブボロォッ!?≫
「バオロン! なんとか距離を取り防壁で暫く凌げ!」
結果、戦いが長引き激化するにつれ俺らの身に変化が現れ始めた。それまで別々だった俺と"反撃地獄鋸"の意識が徐々に一体化し始めたんだ。一体化といっても意識を侵食されたり気が狂ったりみてーな感覚はなく、むしろ気分よくスムーズに戦えていて……"反撃地獄鋸"の方が意識の主導権を明け渡し、その結果動きが軽やかになるような、そんな気分だった。
例えるならそれまでマンションのほぼ一人用の狭い部屋を二人一組で共有してたのが、一人で使えるようになり楽になった感じだろう。
【『《ヴオガアアアアアッ! 未ダマヅァ行クズェェェエエエアアアッ!》』】
その影響か、俺らのセリフもこの通り"反撃地獄鋸"のそれと比率4対1で混ざり合ったような単独の台詞として吐き出されるのがデフォになっていて、今までのように『反撃地獄鋸の咆哮に続く形で俺が便乗する』とか『俺の台詞に相槌を打つように反撃地獄鋸が吠える』『二者の異なる台詞が同時に口から飛び出す』なんてことは無くなっていった。
そして……
「ぜぁーっ……はあーっ……ふはあーっ……!」
≪バオ、ロ……ン……!≫
【『《ッ糞ガァァッ……! 未ダ決着ツカネェッテカァッ!》』】
時間も分からない暗闇の中、瞬きをするのも忘れ深く息を吸う俺たちは、それぞれお互い既に限界に差し掛かっていた。
≪バァ、ッ……! ブバ、ォオッ……ロォオン……!≫
まず一番被害が深刻なのは……甲乙つけがたいがバオロンだろう。外骨格はあちこち罅割れまくりで両前足と尻尾までも欠いちまった上、火球射出や防壁展開、瞬間移動に光線吸収といった特殊技をも発動できなくなっていたからだ。おかげでジジイはより近接戦に特化させるべく特例措置として後足と頭周りをアップグレードせざるを得ず、バオロンは専ら突進と噛み付き一本での戦闘をこなさなきゃならねぇ事態に陥っていた。
「づぁーっ、ふはーっ、ふへあああっ……!」
続いて被害が深刻なのはジジイことチャールズ老で間違いあるめえ。単なる傷の数や深さでいえば俺らのが上だとしても、ヤツはほぼ実質生身同然の状態でバオロンが受けたダメージを(ある程度カットされているとはいえ)フィードバックで受け続けたんだ。いつぶっ倒れようが不思議じゃなかった。
【『《一体ェドースンダッコレェ……!》』】
逆に実質比較して最も被害が軽いのは恐らく俺らだろう。然しそれは所詮相対的評価……事実上"反撃地獄鋸"の損傷はひでぇの一言で、酷使の過負荷に足られずオーバーヒートやら破損やらで殆どの武装が使用不能、つかそもそも両腕が使い物になりゃしねえ。
残ってる武装といったら精々口腔内の牙にドリルぐらいのもん……両足しっかり動くのがせめてもの救いだが、逆にそれすら使えなくなっちまったらいよいよ地獄だろう。
まさに万事休す、ほぼ万策尽きたと言っても過言じゃねえ苦境だが……それでも尚、俺らの誰も戦闘を放棄したり諦めようなんて気は毛頭ありゃしなかった。
「ぐぬぅ……!」
≪バォロォン……!≫
【《『グァァ……!』》】
まさに極限状態……次で決めなきゃ良くて共倒れ、最悪泥仕合だ。いや、逆かもしれねーがともかく明確な決着をつけねぇコトには全員納得できねーワケで、幸いそこはジジイとバオロンも理解してくれていて……
「リビングデッドよ……決着を付けんか。我らはもう存分に戦った。これ以上長引かせたとて何者も得すまい?」
【『《ソりゃアソウダナあ。此処最近ハ読者も飽きテ来ヤガっテンノカ更新日ノページヴューアクセス数急落気味ダし、互イニ限界ナらもウ長引カス意味モネえ……ドコろカ早メニ終ワラサな損失被リカネん。短期決戦ノ申し出、断る理由もアりゃしねエヤ》』】
「快諾感謝する……バオロン! 正真正銘これが最後だ、残れる全力を全て注ぎ込みあの機動兵器めに喰らい付けィ!」
≪バァオッ、ロォォォォン!≫
【《『イいねエ、真っ向勝負カ! わリカし好物だぜェ!』》】
本家Tレックスも怯みそうなほど顎を開き突進するバオロン。対する俺らは奴の口ん中の奥……大体喉辺りに狙いを定め、低めの姿勢で突進する。
≪ガアアアアアアアッ!≫
【《『ウおあラアアアアア!』》】
道中俺らはジェットエンジンで加速しつつグラップルガンを射出、バオロンに打ち込み奴へ接近する。
【『《オッらァァっ!》』】
≪ゴガッ!?≫
即興の策は上手く功を奏し、俺らはバオロンの口腔内へ飛び込み奴の喉へドリルを食い込ませることに成功する。
苦悶の声を上げるバオロン……だがそこを見逃すジジイじゃねぇ。
「バオロン怯むな! 口に入ってきたなら丁度よい、そのまま噛み砕いてやれ!」
≪グウオ、ゴァァッ!≫
【『《ぐガっ!?》』】
バオロンの顎が閉じ、無数の牙は装甲をも貫通し俺らに突き刺さる……が、元より噛付攻撃想定内だし覚悟の上だ。俺らは怯まず喉奥へ突き立てたドリルを起動しジェットエンジンをフル稼働、自ら一本の投槍と化すが如く尚も突き進む。
だが悲しいかな、“反撃地獄鋸”はドリルこそついてるが全身で掘り進むようにはできてなく、まさに目鼻の先にあるバオロンの中枢へ到達するには至らねえ。
(クソっ! やっぱ横着はできねーか……しょうがねぇ)
こんな事もあろうかと、最後の最後の最後まで温存しといた切り札を、俺らは遂に起動する。
【『《行クぜオイ、こレデも喰らエやぁぁっ!》』】
渾身の叫びと共に、回転し続けるドリルが口腔内から発射される
≪グゴッ!?≫
まさに弾丸の如きスピードを得たそれは、持ち前の勢いと鋭さでもってバオロンの体内を突き進み……
≪ゴブァバアアツッ!?≫
遂にヤツの中枢を貫通、完膚なきまでに破壊し尽くしたのだった。
「ぐうご、ぼげばあっっ!?」
崩れ行くバオロンと時を同じくして、臓物にフィードバックダメージを受けたらしいジジイも大量の血反吐を吐きながら倒れ伏す……
「ぅ……ぐっぁぁ……」
どうやら死んではないようだが、それでも再起不能には違えねえだろう。
然しまあ、壊蹂壮侵睨亀チャールズ……何ともはや、全てが規格外過ぎる強敵だったな。正直今回こそギリギリ勝てたが、あと一歩間違ってたり、運がなけりゃ惨敗してたろうなんて場面は枚挙に暇がねえ。ヤツは明らかに格上だ、対等に戦えたのだって奇跡に等しいかもしれねぇ……。
【《『結局、”反撃地獄鋸“もボロボロになっちまったし……
ホントとんでもねージジイだぜ……』
一切の操作を受け付けない機動兵器からどうにか抜け出してみれば、その有り様は見るも無惨の一言で……原型を幾らか留めちゃいるが、修理の余地さえないほどに大破してやがる。
(俺がもっとパイロットとしての腕を上げてりゃこうはならんかったかもしれねーのになぁ)
なんて、過ぎたことを悔いても仕方ねぇわな。
今はこの浮遊大陸からどうやって地上に降りるか考えねーと……
『……高ぇなぁ。そら雲の上にあるんだから当然だけどよ』
次回……とりあえず地上に降り立つ以外の具体的な内容が決まってないので今から急ピッチで考えようと思います。
あ、暫定的にですが人狼のアーネストを活躍させる予定もあるので奴が気になってる方は期待せずお待ちください(せめて期待はさせとけっつーの)




