老象亀の発言に隠された、驚くべき真意
なんか感想欄で「読者の傀儡になるな。自分の考えとオリジナリティを大切にしろ」って言われたんだけどさ、
正直読者の意見聞き入れずに好き勝手書いてたらひたすら意味不明かつ無意味で無価値な作品にしかなんないし、
ましてここまでウケてなかったとも思うし、
何ならウケなさすぎて精神病んでどうにかなってたかも知れないのよね。
「体系化された文法を学べ」ったって、学びながら書いたらまたお前ら何かしら文句言うんじゃん? って疑心暗鬼になっちゃってるのよ。
そもそも私を不人気地獄から救ってくれた恩人を悪く言われたのが若干気に食わねえっつーかさ。
まあでも無害かつ有益な感想をMisskeyで実質晒してしまったのは本当に申し訳ないと思ってるし、
そういう批判的な意見(誉め言葉にしても「勢いがある」「キャラや世界観の設定がしっかりしているものと"思われる"」とか実質あってないようなもんだったし)が頂けるってのは大変有難いことなわけであって、
これからも気合いで創作活動続けて行こうと思ってるけどね。
俺のッ、名前はァァァァ! 北川ァ~ナガレェェェェェ!
『残りの奴らは何匹だ? 繰り出してみりゃあいいんじゃねーか?
全部さっきの奴らみてぇに、ただの瓦礫にしてやっからさァ!』
空の上でロボを駆りゴーレムどもをぶっ潰し、眼前のジジイに啖呵を切るゾンビの化け物だァァァァァァ!
……
…………
……なんかテンション変になってたわ、ごめん。
〈◎皿◎〉<……気を取り直して地の文の独白ぐらいは普通のテンションで行かせて貰うぜ……。
「血気盛んだのう、リビングデッド……
攻めの手を緩めぬ様は宇宙甲殻怪獣の如く荒々しく、
敵たる我が配下さえ武器として利用するは深海怪獣の如く貪欲、
勝利への執着に燃え盛る闘志は満腹の甲虫怪獣の如く灼熱、
脅威を逆手に取り己が勝利の糧とする在り様は軟体怪獣の如くに得体が知れず相対する者を恐怖させる……
改めて再認識したぞ。貴様こそ怪獣じみた我が配下らの相手として相応しき相手であるとな……」
なんてこった、そんな風に思われてたとは驚きだ。
つーか比喩表現に現行のウルトラ最新作を乗っけて来るとはやってくれンじゃねーか(?)このジジイ。
……こういう場合の返しは色々あるが、俺も履修数は雀の涙かつ令和世代のクソ新参とは言え辛うじてウルトラネタが通じなくはねえ。よって相応に乗っかってやるのが筋ってもんだろう。
『そいつぁどうもよ、御老体。まァ~、俺はそいつらと違ってロボ頼みだから? 二三式特殊戦術機甲獣か、でなきゃ奴を乗り回す特殊怪獣対応分遣隊五人衆が妥当なトコだろーがよぉ~。
あと山怪獣様をハブってんじゃねぇよ罰当たりだろうが』
「……戯けがァ~。確かに貴様は起動兵器を駆る操縦士故、その意味では特戦獣並びに特殊怪獣対応分遣隊とも考えられよう。
なれど我に言わせればそのようなもの、所詮は安易にして陳腐なる発想……或いは特戦獣並びかの国家公務員らに対する著しい冒涜と言っても過言ではあるまい!」
予想はしてたがなんともひでー言い様だな。近頃ではこういう棘のある言い回しを"ちくちく言葉"って言うんだったか、語気の強さは"ちくちく"通り越して"スパスパ"やら"ザクザク"ってトコだがまあよくもそんな言葉を思いつくもんだぜ。
『言うじゃねえか。なんだ、俺が敵でリビングデッドだからそう言ってんのか?』
「吐かせェ! 我がそのような話をしていると本気で思うてかァ! 種族も立場も関係ない、我がそうまで言うのは貴様の在り方が故! それ以外に理由などありはせぬ!」
『在り方だあ?』
「左様! そもこの話題に乗れる貴様ならば知っていよう。元来、特殊怪獣対応分遣隊とは国内有数の精鋭から成るGGF日本支部、その中枢を担う参謀長が組織内より厳選せし珠玉の精鋭部隊!
そしてまた、それほどの傑物らが総力を以て、眩光巨人に依存せず自力で国土と民衆を守るべしとの高潔な意思によって創造されし鋼鉄の神獣こそ特戦獣に他ならぬ!
即ち特殊怪獣対応分遣隊とは、納税者への恩に報い国家に身を捧がんとする公僕・公的機関としての純然たる"利他と忠義の精神"によって死地に身を投ずる誇り高く気高き献身者であり、
特戦獣とはそのような献身者らの象徴にして、彼らが国家のため、民衆の為に振るう力そのもの!
よって貴様如き、私利私欲に塗れし邪悪な破落戸の化け物風情と同列に扱うなど、侮辱にして冒涜……到底許されよう筈もないであろうがァ!」
成る程しっかり筋が通ってやがる。まあ一方的に"私利私欲に塗れた邪悪な破落戸の化け物"呼ばわりされたのが不服じゃないと言われりゃ嘘になるがまあ概ね図星だし、察するに数百年、下手すりゃ千年以上生きてる可能性さえ否定できねー百戦錬磨の化け象亀なら戦ってる間に敵の本性を凡そ気取るぐらい余裕なんだろうぜ。
『大体理解したよ。あんたの言い分は正しい。反論の余地もねえや。で、山怪獣様は?』
「言うに及ばず……かの御方こそは分類上こそ怪獣なれどその在り様は市野字の守護神にして民を支える豊穣神……貴様はおろか、本来であれば他の何者とも並び称してはならぬ存在であろう。
眩光巨人もかの御方に対しては最低限の攻撃しかしておらんしな」
やけに持ち上げるじゃん。確かに山怪獣様つったらあの作品、どころか歴代シリーズでも数少ない上トップクラスの"実在すべき怪獣"なのは間違いねーけどさ。
『まァ~そりゃそうだわなァ。で、そんな怪獣みてーな俺をこっからどうするつもりだい爺さん。
新手のゴーレムを出すんだろうなってのは予想つくが……まさか全身銀色で目がデカくてトサカの生えたゴーレムでも出して光線かなんか撃たすのか?』
「惜しいな。新たな配下を繰り出すのは勿論なれど……我が配下にそのような者は居らぬでな。
……言うたであろう、『読者が飽きぬよう短期決戦を心掛ける』とな……」
言うが早いか、粘液の罠で動けないチャールズ老を囲むように七つの光球が現れた。
「光り輝く巨人の猛者らは天より地上に降り立ちて、災厄振り撒く数多の怪異を退けり。
怪異らの魂は天の神の救いを拒み、また獄の魔の裁きをも退け、怨念を抱きその亡骸に宿らん。
群れ成す怪異の魂が宿るは七つの亡骸。即ち七つの災厄である」
罠から抜け出すでもなくつらつらと詠唱し続けるジジイ。
その進行に伴い、宙に浮く光球の中にゴーレムどもが――まるで胎児か何かみてーな姿勢で――"宿り"始める。
「第一の災厄は義憤からの自然災害である。
妻を愛する夫の怒りは津波、落雷、竜巻となり、伴侶を傷付けし悪鬼らを跡形もなく消し去ろう。
愛妻家よ、妻を虐げる偽善者を鏖にせよ。
その名は怒れる頭蓋。一角愛妻雷夫 ディザスター・ケラトサウリア」
一つ目の光球に"宿った"のは、鼻先の角がやけに長いケラトサウルス型のゴーレムだ。
「第二の災厄は未知なるものの侵略である。
虚空より現れし異形の軍勢が潜むは、この世ならざる異界である。
侵略者よ、異界に城を築き耐え忍び聞き耳を立て、時至らば敵地に矢の雨を降らせ敵を射抜け。
その名は隠れ潜む外耳。異界地獄耳弓士 アロー・ノタルクトゥス」
二つ目の光球に宿ったゴーレムは、原始的なサルの一種ダーウィニウスの頭にコウモリみてぇなデカい耳を生やしたような姿をしてる。
「第三の災厄は無差別的な食害である。
七人姉妹に育てられし猛禽は、意地汚いほど大食いにして、その上大層悪食で、遂には殺意をも食らう程。
大食漢よ、内に秘めたる欲望を曝け出し、何もかもを食らうがよい。
その名は無限の胃袋。森羅万象吸引禽 アブソープション・スペニシディ」
三つ目のゴーレムはバカでかい古代ペンギンのアンスロポルニスを思わせたが、その腹には毒蜘蛛を象ったような、ヒトデの口みてーな器官(?)があるらしい。
「第四の災厄は暗殺者の出現である。
分別なき赤子は悪しき者らに攫われ、ただ壊し奪う傀儡に育てられた。
愛を知らぬ者よ、最早汝に退路はなし。汝血染めの鉄となり、唯一の終点へ向かうのみ。
その名は死を運ぶ双腕。嗜虐双兇刃 キリング・テタヌラ」
四つ目はどうやらテリジノサウルス型……なんだが、本来鋭い爪が生えてる筈の両手にはそれぞれ大鎌と棘付鉄球が備わってやがる。
「第五の厄災は偽善者の暴挙である。
老人の憎悪、その矛先は欲が為に自然を荒らす民らへ向けられた。
なれど老人もまた自然を脅かす偽善者也。やがて彼の怨念は拗れ、遂に最悪の事態を引き起こさん。
その名は死せざる背甲。叛逆変異体 アンフィビア・ステゴソー」
五つ目は名前からして両生類の特徴を持つステゴサウルスってコトなんだろうが、両生類はともかく"一般的なステゴサウルス"とは思い難い衝撃のビジュアルだった。
というのもヤツの姿は、骨の背ビレが装甲版みたく背に張り付いてその隙間からトゲが生えたような……所謂"トゲ付きセンザンコウ"風? な感じの"元祖復元図"に基づいた姿をしていたんだ。
「第六の災厄は攻撃的本能の衝動的暴走である。
嘗て重厚なる猛者あり。その猛者は剛健にして暴虐の限りを尽くす者也。
時を経て、猛者の名を真に継ぎし者が現れん。琥珀色の良妻を娶りしその身は、敵の返り血に赤く染まる。
その名は破壊の剛脚。赤熱無頼漢 ブラッディ・サウロポッド」
六つ目には若干驚かされた。なんたってついさっき潰したスカル・サウロポッドとほぼ同型のブラキオサウルス型で、違いと言ったら精々身体がくすんだ白から鮮やかな赤になったぐらいソックリだったんだ。
「第七の災厄は大義名分による環境破壊である。
古来、浅瀬に鎧の一族あり。神より死を退ける力を授かりし一族は、然しその力から神の驕れる子らに狩られ、また神の欲深き子らは一族の聖地を滅ぼさん。
故に一族は神の子らを憎悪し、悪しき者らより授かりし力を以て復讐を誓わん。
その名は呪われし尾剣。怨念鋏角獣 カースドヘイト・スティロヌリダ」
ラストの七つ目はウミサソリの一種スティロヌルス風のゴーレム。ただその風貌はどこか爬虫類っぽくもあり、口元にはブルドッグアントみてーな凶悪な大顎が備わってやがる。
七体のゴーレムを光球に宿し終えたチャールズ老。何れも見るからに厄介そうな連中だ。こんなのが一斉に襲い掛かって来たんじゃ一溜りもねぇし、何なら一体ずつ連戦としても先鋒戦を引き分けに持ち込むのだって奇跡ってレベルだ。
……だが実際ゴーレムどもが光球を突き破って襲ってくる気配はなく――
「これら災厄、亡骸七つ、折り重なりて一個体とならん」
宙に浮く光球は重なり合って一つになり、更には術者であるチャールズ老までもが光線の塊になって球の中へ吸い込まれていく。
やがて光球は赤く染まり、心臓のように脈打ちながら膨れ上がっていく。
『オイオイ、冗談だろ。確かに"そういう"のもあるっちゃあるけどよぉ……』
俄かには信じがたい光景だが、最早"それ"と断定する他ねえだろう。
≪一つとなった災厄は、その武力と邪気が故世の頂に立ち、民草虐げ敵を滅ぼさん。
即ち暴君、独裁者也。恐ろしきものを象りしその名は、災厄を取り纏め平伏させる極悪王……
今こそ君臨せん、混成暴虐邪畜帝 デスポティズム・ディノサウリア!≫
『合体してんじゃねーか……』
膨れ上がった光球を突き破って現れたのは、先の七体が合体したような異形すぎる姿の大型肉食恐竜風ゴーレム……その名も"ディスポディズム・ディノサウリア"だったんだ。
ナガレ、またしても絶体絶命!
次回、混成暴虐邪畜帝 デスポティズム・ディノサウリアが惨劇を引き起こす!
……っていう後書きも昭和臭くてダサい、それも読者の傀儡になってる証拠だとか言われたんだけどさ、
じゃあ逆に平成・令和っぽいイカした自己紹介ってどんなやねんっつー話よね。




