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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE3 激突、マインデッド邸守衛隊五人衆!

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浮遊大陸の死闘、新たなる展開へ

チャールズ老、ゴーレムを追加召喚!

空を素早く飛び回り炎球ブレスを吐くバーニング・テラソーに隠された驚きの切り札とは!?

 俺の名前は、北川ナガレ。


「まだやるつもりか、リビングデッドよ……」

『ったりめーだ、ジジイ。こちとら退くなんて選択肢ねーんだよ……!』


 浮遊大陸でロボを駆り、巨大ゾウガメのチャールズ老操る古生物風怪獣ゴーレム相手に大立ち回りを演じるゾンビの化け物だ。



 ~ 〈◎皿◎〉。о〇(結構長引くぞ) ~



『ええい、めんどくせぇ! ケラトプス、一先ずジジイの対処を頼むぜ! 飛んでる奴ぁ俺がるっっ!』

≪クギャアアアアアオオオオオオッ!≫

「させぬわ! テラソー、ケラトプスを引き離せ! 我にもそやつにも近寄らせるでないぞ!」

≪キュエエエエアアアアアッ! ギェェアアアッ!≫


 俺の目論見と安っぽい作戦を秒で見抜き完璧に打ち砕いてきたチャールズ老。

 本音としちゃ、正直あのサイズで魔術師ってなると如何に近接特化の機体ロボだろうと分が悪い。なもんで、できればジジイの相手はヤツの巨体をも突き飛ばすパワーを誇り、恐らく頑丈さでも上回ってそうなケラトプスに任せたかったが……ジジイとテラソーの連携はそりゃもう見事の一言で、巨大戦素人の俺はあっさりケラトプスと引き離され、ジジイとの直接対決にもつれ込まざるを得なくなっちまう。


≪クギャアアアアアオオオオオオッ!≫

≪キュエエエエアアアアアッ!≫


 頑丈で火力はあるが動きの鈍い古代剛体王ケラトプスと、空まで飛べて素早い分パワー面はイマイチ振るわない原始献身主テラソーは相性が悪く、二体の勝負は平行線のまま膠着状態に陥りつつあった。


≪クギャアアアアアオオオオオオッ!≫

≪キュエエエエアアアアアッ!≫


 何せ地上戦・接近戦特化のケラトプスは上空を飛び回るテラソーを満足に攻撃できねぇし、対するテラソーが上空から降らす火炎弾ブレスもケラトプスの頑丈な防御を突き破るには火力不足って有様だ。

 決着がつくにはもう暫くかかりそうだ……ま、ケラトプス自ら如何にも面倒なテラソーを引き付けておいてくれてると考えたら強ち悪いもんでもねーがな。渾身の乗っ取りも無駄じゃねえのは僥倖だ。


『余計な真似ことしてんじゃねぇぞ、ジジイーッ!』

「どの口が抜かすかぁ! その言葉、そっくりそのまま返してくれる!」


 一方の俺はチャールズ老と直にどつき合っていた。

 マインデッド邸守衛隊庭園管理総指揮"壊蹂壮侵睨亀"チャールズ……守衛隊随一の巨体を誇るヤツは必然、凄まじい怪力と桁外れの耐久力と生命力をも持ち合わせ、その上ゴーレムの作成から浮遊大陸の構築・維持までやってのけるレベルの魔術師でもあるっつー、わりかしインチキじみて属性過多なゾウガメだ。


「砕き潰されいッ!」

『ぬおわっ!? 足踏みで地割れ起こしやがったっ!』


 その主戦術はご自慢の怪力と質量を活かした力任せの肉弾戦に恐らく何かしらの魔術を組み込んだもので、上記みたく足踏みで地割れを起こすわ、頭突きで誘導弾ミサイル級の衝撃波を放つわと規格外そのものだ。


『叩っ斬らァッ!』

「甘いわ! その程度、甲羅で防ぐまでもなし!」

『ぬうお!? 岩の壁だと!?』

「更にここから……爆破ッ!」

『づっ!? ぬおおああああっ!?』


 加えて当然、魔術師なだけに"それっぽい"魔術ヤツも使いこなす。地面を操り岩の壁を形成、攻撃を防いだ所で形成した壁そのものに新たな属性を付与してトゲやら生やしたり、敵目掛けて爆破し破片を散布したり、


「ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

『ぐおっ!? だぁ、クソっ! 割れた装甲の隙間から熱気がっっ!』


 火炎・氷弾・電撃なんかの攻撃系魔術も当然使いこなしやがる。ブレス状に口から放ってくるヤツは特に強烈で、ロボの装甲が目に見えて損壊するほどの出力を誇った。


(避ける方向にシフトしなきゃ辛ぇ、か……如何に重装甲高耐久が売りの機体とは言え試作機だからなぁ~)


 そしてまた、時同じくして膠着状態にあったケラトプス対テラソーの戦いは大きな進展を迎えることとなる。



≪クギャアアアアアオオオオオオッ!≫

≪キュエエエエアアアアアッ!≫


 "禁断指弾マリオネット・バレット"の洗脳効果が弱まって来たからか、次第に暴走していくケラトプス。

 このまま引き付けておいても沈静化の見込みは薄いだろうと、テラソーがそう判断したかは定かじゃねえが……ともあれ奴は敵の手に渡った同胞へ引導を渡すべく、秘めた"切り札"の使用に踏み切った。


≪キュギエガアアアッッ!≫


 奴の口から吐き出されたのは、それまでの火炎弾とは全く違う"液体"だった。

 半透明の、不気味な黄緑色をしたその"液体"は狙い通りケラトプスに直撃……


≪クギャアアッ!? クギッ、ギャガアアアアアアアッ!≫


 火炎弾じゃ傷一つつかなかったケラトプスの巨体は"液体"の作用で白煙を上げながら溶けていき……ものの一分足らずで全身が崩壊、機能停止へ追い込まれる。

 いっそ見事なほど容赦のない溶けっぷりからして濃硫酸や王水みてぇな強酸ってトコか……ともあれテラソーがあんな万能すぎる"即死技"を隠し持ってたとは驚きだ。


(戦力削られちまったし、ジジイに加えてあんなのが相手とかマジ勘弁だろ……)


 チャールズ老の猛攻をいなしながら、俺はテラソーへの恐怖心を募らせていた。

 空飛べて飛び道具主体ってだけでも相当めんどくせぇのに、その上口から強酸を吐くとあっちゃいよいよどうしようもねぇからな。

 だが……


≪ガギュ、ガヒギ、ギュギェエ……ゲガ、グ……≫

(なにっ? テラソー自身もだとっ!?)


 結局、テラソーが俺に向かってくることはなかった。

 何故なら奴は強酸を吐いた途端、苦しみ悶えながら力尽き墜落……そのまま地上でボロボロに砕け散ってしまったからだ。

 さて、その真相はってぇと……


「ぬおりあっっ! 砕け散れぃ!

  ――ん? んぬぅ、やはり無理だったか……」

『チィッ!またそれか、ィよっ!

  ――……なんだジジイ、配下が一気に二匹も死んだってのに随分と余裕そうじゃねえか、なぁっ!?』


 空中で砕け散って飛散する石礫を避けつつ刀での斬撃、序でにジジイの意味深な言葉へ若干喧嘩腰で突っ掛かるのも忘れない。

 さて返答は……


「効かぬ、わアッ!

  ――ん、死んではおらんぞ。

 あくまで中枢部が損壊しゴーレムとしての姿を保てんようになったに過ぎぬ。

 再発まで暫く待つ必要はあれど、再び我が術を使えばあれらは再び現れよう――セイっ!」

『危ねッッ!?

  ――っと……はあ、なるほどね。……で、テラソーはなんでああなったんだ。今一理解が追い付かねえんだが、ンなあーっ!?』

「効かぬと、言うておろうがっっ!

  ――原理そのものはかの溶解液"デッドリー・アシッド"の酸性が強すぎる故になぁ~。一度放つとあのように、中枢まで負荷が及び崩壊してしまうのだ――喰らえいッ!」

『どわっだぁ!?』


 地を這うように広がる冷凍魔術から逃れるべく、俺はジジイから離れざるを得なくなる。


「……改良の余地もなく、復活にも余計に手間がかかるのであまり使わんようにしているのだが……此度は事情が事情故、使わざるを得なくなってしもうたのよ……!」


 ずん、と右前足で地鳴りを起こすチャールズ老からは、隠そうにも隠し切れない苛立ちと怒りがひしひしと伝わってくる。


(……全く以て情けない、恥じても悔いてもきりのない話ではあるが、我はどうやら無意識にも、内心奴めを侮っておったらしい……)


 当時の俺は知る由も無かったが、その怒りの矛先はオレじゃなく自分ヤツ自身に向けられたものだった。

 自責の念に駆られ自己嫌悪に陥った老象亀は、内心『次こそはしくじってなるものか』と誓いを立てながら、密かに魔術を発動させた。


「……地の底より湧き上がり、空から降り注ぐ……

 地を這えば川、溜まれば池……やがて湖を経て、大海とならん……」

『な、なんだぁー!? 水が集まって、海を形成してやがるっっ!?』


 魔術の詠唱は聞こえる限りかなりの短さ……にもかかわらずその規模はゴーレム生成の非じゃねえほどデカく、浮遊大陸各所と恐らくは大気中からも水分って水分を収束させ、ジジイの周囲へ瞬く間に簡易的な池、或いは湖と呼べる規模の水溜まりを形成していく。


(なんだよこりゃあ……浮遊大陸全域が水に覆われてっ……!)


 程なくして収束された水は広大な浮遊大陸全域を覆い、大陸の端々から滝となって流れ落ちるまでになった。こうなるともう、池とか湖なんてレベルじゃねぇな。


(やれやれ、なんて魔術だよ……咄嗟に"MRF"で空へ逃げといた甲斐があったってもんだぜ)


 "MRF"こと正式名称"第五十八代角力王陛下ミラキュロス・リバース・ファイター"は"謎数多武闘派総理大臣ブルートフォース・プレジデント"をはじめとする巨大ロボ用の強化パーツとして開発された特製のジェットパックだ。


『然し驚いたな……これじゃまるで海じゃねえか』

「如何にも、海であるぞ。次の彫刻らは水圏でこそ真価を発揮するのでな……」


 声がした方を見れば、チャールズ老は宙に浮く広大で分厚い足場――察するに水没前の浮遊大陸から予め切り抜いて浮かせた陸地の一部だろう――の上に佇んでいた。


『だからってやりすぎだろ。それに俺が出遅れてロボごと水没してたらどうするつもりだったんだよ』

「ふむ、そうさな……貴様ほどの傑物がそこまで呆気なく終わるわけもあるまいし、変わらず配下どもをぶつけておったろうなぁ」

『容赦ねーなジジイ……いいぜ、それで正解だ。なんならもっと容赦なくていいぜ?』

「ほう、抜かしおる。ならばこれでどうだ?」


 ジジイは指も爪もないに等しい右前足でどこからか透明な丸い粒状の物体――といっても、ヤツ自身バカでかいから粒に見えてるだけで実際はそこそこのサイズなんだろう――を取り出しては水中に投げ入れる。

 その物体は卵だったようで、中から孵化した小魚は瞬く間に全長五メートル前後もある魚の化け物に姿を変えた。


《グィギゴワガガガ……》

《ギギガギャギギギ……》

《シュヲゴグゴゥグ……》


 その姿は……なんて言えばいいだろうな。ちょっと待て、今考える。


(……読者のみんなはさ、シファクティヌスって知ってるかな。恐竜時代の海にいたバカでかい肉食魚の。大まかにはアレみたいな感じで、けど胸鰭と、多分尾鰭もトビウオ。んでカラーリングは錦鯉って感じかな)


 そんなのが水中にウヨウヨいるってんだからどうしようもなく絶望的なワケだが……


「詠唱が終わるまではそ奴らに貴様の相手を任せるとしよう。我が家の愛くるしい金魚きんととどもは元気いっぱいで遊び盛り故、少々疲れるかもしれんが……まあ、よい運動になるのではないかのう」

《ギギガギャギギギ……》

《シュヲゴグゴゥグ……》

《グィギゴワガガガ……》


 冗談じゃねえぜ。何が"我が家の愛くるしい金魚きんととども"だ、認知症ボケてんじゃねーぞこの亀が。

 ……まあ愚痴ってたってしょうがねぇ。どのみち俺に、今更逃げるなんて選択肢ありゃしねーんだしな。


『犬猫やウサギ、鳥ならともかく魚が客と遊ぶとは珍しいな。いいぜ、気に入った……』

「ほう、あくまで向かってくるか……こ奴らの顔を見て、この数を前にして尚も向かってくると……

 懲りん奴だのう。折れん奴だのう。未だ絶望せず冷静に"遊びにくる"とは……

 そろそろ諦めてもよいであろうに、退いたとて罰など当たらんであろうに、

 まだやるつもりか、リビングデッドよ……」

『ったりめーだ、ジジイ。こちとら退くなんて選択肢ねーんだよ……!』

「……よい啖呵だ。それでこそ貴様は、我らと戦うに値する……

 さあ金魚きんととどもよ、往くがいい。あの者が遊び相手になってくれるぞ」

《《《《《シュギギャアアアアアアッ!》》》》》


 牙を剥き胸鰭を広げながら襲い来る"化け金魚"ども……気配から察するに、どうやらゴーレムじゃなく生身の生物らしい。だが何が敵であろうと関係ねぇ、俺は一切怯まず刃物を抜く。といって謎数多武闘派総理大臣このロボが元々持ってた刀なんぞとっくに折れちまってるから、代用品としてロボ用の武器……刺身包丁型の大剣"夢追大衆料理人アニサキスアレルギー"を使うことになったが問題はねえだろう。丁度相手も魚だしな。


『いいぜ金魚ども、遊んでやる……何して遊ぶかって? そうだなあ……"リアル板前ごっこ"なんてどうだぁ?』


 配役は決まってる。俺が板前で金魚おまえら食材サカナ……


『楽しみにしてなァ~? 今から生きたまま"冷製アラ汁"にしてやっからよォ~!』



次回、水圏でこそ進化を発揮するゴーレム三体が登場!

厄介な特性を持つ三体に対抗すべく、ナガレも新ロボで立ち向かうぞ!


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