角一本で手足十二本、首二つにして……
さあ、更新だ!
真・人馬一体ツインズの実態とは!?
俺の名前は、北川ナガレ。
『期待させちまったなら悪いが、こいつは別にライトセーバーを意識したとかじゃねえよ。そもそもこいつの開発者は「スター・ウォーズ」あんま知らねえんだ』
投げかけられた疑問に対し素直に返答する、ゾンビ刈りの化け物だ。
『寧ろ意識したのは「ノーモア・ヒーローズ」のビーム・カタナだ。開発者はあのシリーズの大ファンでなぁ』
「ほう、そうだったのか」「そりゃ悪かったな」
『いいさ。普通こんなもん見たら誰だってライトセーバーを思い浮かべるだろ。時点でリボルケインかレーザーブレードの名前が出るハズだ。少なくともビーム・カタナなんて言う奴ぁそういねえよ。
ま、ビームサーベル呼ばわりされなかったのは不幸中の幸いだったがね……
さぁ~て、このまま与太話に花咲かすのもいいが……そろそろ戦闘開始と行かねえか?
それこそ読者を退屈させちゃいけねぇしよ』
「ああそうだな」「それがいいや」
「なら改めて」「名乗らせて頂こう」
何歩か前に進み出る一角獣と、その背から降り立つ女騎手は、あたかも西洋の騎士然とした名乗りを披露する。
「アタシはセレスティア。マインデッド邸守衛隊の特攻部隊長やってる雑種系の一角獣だ」
「俺はフィロミーナ。マインデッド邸守衛隊の遊撃部隊長やってる後天性のデュラハンだ」
「アタシと」「俺とで」「「一頭一人一組」」
「ひと呼んで"真・人馬一体ツインズ"」「わりかし案外有名なんで」
「「名前だけでも、覚えてけェ!」」
妙に古臭いが全力で、ダサさが何周かしてサマになったような自己紹介……何の攻撃も受けてねえってのに、気迫だけで圧倒されたと錯覚するとはよっぽどだ。
こうなりゃ対抗して――といって、対抗になるんだかわからねえが――俺の方も名乗るしかねえだろう。
「ご丁寧にどうも、真・人馬一体ツインズのお二方。そこまで力一杯名乗って頂いたからにはこっちも応じンのが筋なワケでよ、便乗乍ら名乗らせて頂こう。
お初にお目にかかる……俺の名は北川ナガレ。この度諸事情により図らずもあんたらと戦う羽目になっちまった、リビングデッド刈りの化け物"死越者"で通ってるモンだ」
……相変わらずセンスの欠片もねぇ名乗りだが、本職のコピーライターでもないただの一般人が即興でとなりゃこれが精々だろう。対する真・人馬一体ツインズの両名もそこらへん理解してくれてるからだろう、特に嘲笑ってくるとかそういうことはなかった。
「リビングデッドを刈る」「リビングデッド、だと……?」
「なんだかわけわかんねー奴だな」「そんな奴をマスターに会わすワケにゃいかねーぜ」
『ひでぇ言い様だな。そんなに俺が気に食わねえってんなら正直に言やぁいいし、屋敷に入れる気がねえってんならブチのめしちまえばいいじゃねえか』
「へっ、言われなくてもそうしてやるよ……行くぜセレスティア!」
「おうよ! アタシらの本気、見せたらァ! ――"機馬錬製"ェッ!」
左前脚の蹄でもって力強く地を打つセレスティア……月明かりに照らされ白金色に輝いて見えたその巨体はオパール色の光に包まれる。程なく光が晴れると奴は"八本足の一角獣"から"有翼一角獣型のロボット"に姿を変えていた。全体的なカラーリングこそ変化前と大差ないが、やっぱ脚の数が減って翼が生えたのと、何より生身からメカに変わったもんで別物って印象が強ぇ。
『すげーな、やけにCG代のかかりそうなデザインじゃねえか。一体どういうカラクリだ?』
「へッ、スゲーだろぉ? 俺らに勝てたら教えてやってもいいぜぇ!」
「もっともアタシらの変身はまだまだこっからが本番だけどなぁ! オウ、やっちまえフィロミーナ!」
「おーよ、やってやるよセレスティア! 行くぜぇぇぇぇ!」
『な、なにぃ~~~っ!?』
次の瞬間、フィロミーナが取った行動に俺は驚愕する。
度肝を抜かれるなんてよく言うが、そいつはまさに内臓を一瞬でブチ抜かれたが如き衝撃だった。
何せ……
「でりゃあああああっ!」「っだああああああ!」
『おいおい、冗談キツいぜ……何でお前、平然と相方の頭部モいでんだよ……?』
フィロミーナは"ロボ・アリコーン"化したセレスティアの首を、豪快にもぎ取っちまったんだからな。
「あぁん? 何ビビってんだオメー。アタシゃ今ロボなんだぜ、この程度どうってことねーよ」
「機馬錬製で機甲馬モードになったセレスティアは元々あちこち外せる構造になってんだ。最近はちっと不具合で外れにくくなっちまってるんでこうやって俺が介助してやらねーとどうにもならんがな」
『ああ、そういうコトね……』
といってまあ、実際は上で述べたような感じなもんで、もぎ取ったって表現は不適切だったワケだが……それにしたってついさっきまで生身だった相方に素手で首狩りかますなんざ、死人の俺でもドン引きだ。
「よぉ~北川ァ、この程度でビビってちゃあこの先やってけねーぜ?」
「アタシらは勿論だが、チャールズのジイさんはもっととんでもねーことやっちまうからよぉ~」
「てワケで」「行くぜ」「「モード・シフト!!」」
如何にも特撮か、さもなきゃロボアニメじみた掛け声と呼応するように、取り外されたセレスティアの頭部が変形していく。その様は実写版の『トランスフォーマー』か、さもなきゃウルトラ映画『光の戦士たち』の電脳魔人辺りだろうか。
変形はものの十秒足らずで完了し、結構デカかった筈の頭部は一角獣の意匠があるメカニカルな短刀――特撮ヒーローの初期装備みたいな感じ――に姿を変えた。
「さあリビングデッド! とくと見やがれ!」
「俺ら真・人馬一体ツインズの華麗なる変身をよぉっ!」
「「行くぜ、ポニーチェンジ!」」
≪PONY CHANGE!!≫
啖呵を切るが早いか、抱えた頭を首の上に乗せたフィロミーナは短刀に備わる引金を引き、セレスティア共々"変身"を宣言……短刀は紫、橙、ピンク、空色、白、黄色と六色の光でもってヤツを包み込み、『機甲馬モード』のセレスティアは部品ごとにバラバラに分解されちゃ光に吸い込まれていく。
ガギン、ゴギンといった重厚でやかましい金属音が響いた直後光は霧散しフィロミーナの変身は完了する。
≪MANE MAGE!!≫
「「奇跡起こすは神秘の尖角! 才に溢れし魔術師の鬣、メーン・メイジ!」」
『なるほど、まさに"人馬一体"か……』
セレスティアを取り込んでの変身を終えたフィロミーナ……その姿は変身に使った小道具同様実に特撮チックな代物だった。言語化するなら『ローカル特撮で主役やってるメカっぽいウマと魔術師がモチーフのヒーロー』っつーか『悪魔博士とゼンカイマジーヌを3:7で混ぜて所々にウマの意匠を無理のないように加えた』ようなデザインだな。
「おうともよ!」「アタシと」「俺とで」「「融合変身!」」
「これぞまさしく」「人馬一体!」
「「六鬣馬人ヘキサ・カバルス! トップスピードで駆け抜けらァ!」」
『感動的だねェ……ワクワクが止まらねぇやぁ!』
楽しませてくれよ、ヘキサ・カバルスッッ!
次回、ナガレVS真・人馬一体ツインズ戦は苦戦必至!?




