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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE3 激突、マインデッド邸守衛隊五人衆!

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死越者、消滅……?

異次元猫ジッキンゲンの大技"暗黒異次元毛糸玉"を食らったナガレの運命や如何に……?

 俺の名前は、北川ナガレ。

 魔術師"異次元猫"ジッキンゲンの必殺技でもって虚空に消えた、ゾンビ刈りの化け物だ。


「どうニャ、見たかニャ! これが吾輩の、異次元猫ジッキンゲンの底力ニャあっ!」


 渾身の"最終必殺大魔術 暗黒異次元毛糸玉"でもって俺をこの世から消し去ったジッキンゲンは、そりゃあもう誇らしげに自慢し散らかして……


「へっ、ふへっ……ふひゃ、んみゃあ……ゎが、はぃ……やっ、たぁぁぁ~~~」


 心底疲労困憊といった様子で、力なくその場に倒れ伏す。


「ぁぁぁぁ~~~ニャっ……」


 例えるなら夏場の幾らか涼しい日陰でぬてっと寝転がる飼い猫みてーな有り様だ。

 なんつーか、一見すると『いくら何でも緩みすぎじゃねぇ?』と突っ込みたくなるだらしなさ……だがそれも仕方のないことだった。

 というのも……


「なんでぇジッキンゲン」「なっさけねえヤツだなあ」

「ジッキンゲン貴様……先月あれほど息巻いておきながら結局以前と変わっておらんではないか」

「ぐっ、ニャがっふ、ギャぁ……やっ、かましいニャあっ。吾輩とて努力はしたのニャっ……

 然し乍らこれがどうにも……どうあがいても、この消耗と負荷だけは消し去れなかったのニャぁ……」


 ヤツが疲労困憊でヘバってるのは、暗黒異次元毛糸玉っつう魔術がそもそも掲げる致命的な弱点……魔力消耗の激しさと、そこから来る術者への負荷がそもそもの原因だったからだ。


「ともあれ、これであのリビングデッドは再起不能となったニャ……どこへ飛ばされかなぞサッパリ知らんが、どこであれ関係ないのニャ。何せこの世ならざる異次元へ飛ばされたのだからニャぁ~。生きて抜け出し戻ってくることなど決してできんのニャ……まぁ、奴は元よりリビングデッド故、そもそも生きてはおらんがニャあ~」


 ジッキンゲンの言葉は紛れもなく真実だった。

 いや本当、マジで飛ばされちまってたんだよ"異次元"までっ。

 ……信じらんねぇって顔してんな? 『とか言いつつ実際は単に細切れになっただけなんだろ?』『ほら早く復活してあのバカ猫を三味線にしてみせろよ!』とかって声が画面外から聞こえた気がしたぜ。

 まあ俺がこうやって地の文で何言おうがお前ら信じそうにねーもんな。


 しょうがねえ、今から証拠見せてやるよ。


〈◎皿◎〉


 さて、時は遡ること少々……改めて自己紹介をしておこう。


 俺の名前は、北川ナガレ。


『ぅぉぉ……なんだ、これ……?』


 バカ猫のネーミングセンス皆無な必殺技をモロに喰らった挙句見事に気絶しちまってた、ゾンビの化け物だ。


『っづ……う、ああ……そう、だ。思い出した……俺ぁ確か、あの小泉進次郎構文使いの猫に毛糸玉ぶち当てられて気絶して……』


 起き上がり辺りを確認するが……視界に映る光景は、どうにも今一形容し難いっつーか、現実とは思い難い得も言われぬ不自然極まりない代物だった。

 それでもなんとか、自分の知る限りの知識で半ば強引に言い表すなら"電脳サイバー空間"てトコだろう。考えてみりゃ直線だらけで黒い背景に色鮮やかな光の筋が通ってたりっつーのは極めて人工的……電子機器やなんかを思い起こさせるモンがあるわけだが……


『それはそれとして問題は、ここがどこかって話だぜ。あのクソ忌まわしいボケ猫とっととシバき散らかしてやんなきゃいけねーってのに、こんなバーチャルワールドだかメタバースだかわからん空間で歌枠やってる場合じゃねえんだよこっちは』


 一応生者だろうから殺しはしねえが、それにしたってこんな真似されちゃ黙ってもいられねぇ……相応のお礼参りはしてやるべきだ(或いは「そうするほどの価値もねえ奴なら雑に終わらす」って手段もあるが)。

 ともあれどうするにせよこの空間を出なきゃならねえ。ってことで出口を探そうとした、その時……



==《そっちは出口じゃねーぞ》==


 突如背後から声をかけられる。喋りは男だったが声は女のそれ……どうにも怪しいヤツだが、他に頼れそうなアテもねーならこいつに頼る他あるめぇ。


『そうかい。どこの誰だか知らねえがご指摘感謝するぜ。……んで、正しい出口はどこに?』

==《ここに出口はねえよ。あたしが作らねえ限りはな》==

『ほう、なら早速作って頂きたいものだな。俺がここへ来る直前まで居た、あの豪邸の庭先へすぐに戻れる出口をよ』

==《ああ、元々そのつもりだ。何ならあたしはお前さんを助ける為に態々ここへ連れてきたんだからなぁ~》==

『……と言うと?』

==《ジッキンゲンだよ。あいつの"暗黒異次元毛糸玉"は標的をその空間ごとどっか別の場所へ飛ばしちまうとんでもねぇ大魔術だ。あたしが手を加えなきゃお前さんは今頃わけのわからねぇ異世界だか異次元だかへぶっ飛ばされてそれっきり……あたしとしちゃその展開は絶対に避けてえんでな。

 上手いこと隙間に手を突っ込んでヒョイと引っ張り寄せたってぇ~ワケよ。まあ、片手間だったんでちいと手間取っちまいはしたがなあ?》==


 なんてこった。あのバカ猫そんなとんでもねー技使えンのかよ俺勝ち目ねーじゃん。


『……助けてくれてありがとう。それ以外に言葉が見つからねえほど感謝してるよ』

==《いいさ。礼には及ばねえ。当然のことをしたまでだ。もし恩義を感じてて何か具体的に礼をしてえって気持ちがあるなら、次会った時あたしの与太話に付き合ってくれりゃそれでいい》==

『……そんなんでいいのか?』

==《いいさ。それでいい……つーか、それがいいんだ》==

『次会える確証もねーのにか?』

==《ああ、いいさ。構わねえよ……それよりほら、早く行きな。そこの白い光に飛び込みゃ万事解決だからよ》==

『おう、ならお言葉に甘えさせて貰おう……じゃあな。また会う時まで達者で暮らせよ』

==《ああ、お前さんこそ達者でな》==


 とまあ、そんな中身のない(?)やり取りをした後、俺は白い光に飛び込みサイバネ調の異空間を脱出……豪邸の庭園へ無事舞い戻れたってワケだ。




 さて、三度目の自己紹介と行こうか。




〈#◎皿◎〉 Σ(〇ω〇|||)!?



 俺の名前は、北川ナガレ。


「いやはや、ともあれこれにてあのリビングデッドは再起不能。実質的にこの世から消滅したにも等しく、即ち吾輩の一人勝ちというわけn――

『誰が再起不能で実質消滅だってぇ?』

「ニャガアアアッ!?」


 あわや異次元送りにされかけた所を謎の声の主に助けられ、こうして"下手猫げしゅにん"の背後へ颯爽と、如何にもカッコつけた風に降り立つ嫌われ者の活ける屍だ。


「ニャ? ニャッ!? ニャアアアッ!? き、貴様リビングデッド! 吾輩自ら二度目の死を与えてやった貴様が何故ここに!?」

『顔も名も知らねえ親切なお方に助けて貰えてなあ……曰く「お前が消えちまう展開は絶対避けなきゃなんねーから助けた」そうだぜ』

「ニャァァァ~~ニィィィィ~~~!? 吾輩の華麗なる勝利に小便を差し糞を塗るとは許せんニャあ! おいリビングデッド、貴様に手を貸したのは一体どこのどいつニャ!?」

『知るわけねぇだろ、そんなもん。……それよりてめー、いいのかよ? 俺がこうして戻ってきた以上、戦況はリセットされちまってんだぜ?』

「それがどうしたニャ!? そんなもん関係ないのニャ! 暗黒異次元毛糸玉は何も一発しか打てぬわけではなく、そもそも貴様を妥当しうる魔術など吾輩の手元には幾らでもあるのニャ! それらを以てすれば貴様など――……ニャ、ニャぁ?」


 荒々しく息巻いていたジッキンゲンは、その表情を目に見えて急変させる。

 諺で例えるなら"陸に上がった河童"……いや"青菜に塩"ってトコだろう。ともかく直前までの強気ぶりが嘘みてえな豹変ぶりだ――猫だけど。


『オイどうした異次元猫。お前の大魔術はまだまだ色々あるんだろ? ならそいつで俺を苦戦させてみてくれよ。読者のみんなも期待してるぜ?』


 見たところプライドが高く荒っぽいジッキンゲンだ。落ち込んでようがこの安い挑発に乗らないワケがねえだろうと、そう思っていた俺だったが……


「……リビングデッドよ、期待させてすまんが悲しいお報せニャ……」

『どうした。アラン・リックマンが死んだか?』

「違うニャ。そもそもそれはかなり前のことニャ」

『じゃあジョニー・デップがやらかして干されたか?』

「まるで違うニャ。というかそれもそこそこ前のことニャろうがぁ~」

『となると、ポリコレ配慮したハズの映画でとんだアホ丸出しの地雷配役でもやらかしちまったってか?』

「それは確かに最近の出来事なれど掠りもしとらんニャ……というか洋画ネタから離れろニャ……」

『じゃあお前の言う悲しいお報せってなんなんだよ』


 正直今のヤツはこれまで以上に隙だらけだ。運が良けりゃ素手でもれる……が、中途半端な化け物になった俺の精神は無意識的に生者の殺害を躊躇っちまっていたんだ。

 そしてヤツの口から語られた"悲しいお報せ"とは……


「……魔力切れニャ。吾輩、さっきの暗黒異次元毛糸玉で全魔力を使い果たしてしまったのニャ……」


 呆れたぜ、なんて間抜けなヤツだ。


『なるほど理解した。だが日本特有の無料文化に毒されて無駄にプライド高くなったスタンダードの貧乏オタ豚どもにゃ何のことやらサッパリだ。わかりやすくソシャゲに例えて言わねえと伝わらんぜ?』

「……MPが足りんのニャ」

『そりゃソシャゲじゃなくてRPGだ間抜けぇ……』


 平成時代のフラッシュアニメなんぞ今のオタ豚に通用するわけねーだろ、アホか。

 ……最後の最後までシマんねえ有様にキレる気力も無くした俺は、落胆するジッキンゲンの首根っこを掴んで持ち上げる。……よし、"手頃な水場"が見つかったぞ。


「ニャッ!? 何をするニャ!? 離せニャあっ!」

『安心しろ、殺しはしねえよ……俺は生者には優しいんだ』

「生者に優しいならば今すぐ下ろせニャ! やめるニャ! やめるのニャっ!」

『……みんなは絶対、マネすんじゃぁ~ねーぞッッッ!』

「ぎにゃああああああああああああああああああああああああああああ!?」


 下手投げ……ペットボトル飲料や雑誌なんかを相手に投げ渡す要領で、俺はジッキンゲンの奴を"放り投げる"。


「にゃああああああああああ! ああああんにゃああああああああ!」


 魔力を使い果たしたヤツは、最早どうすることもできず……飛んで行った先にある池に落水。


「にゃっ!? にゃにゃっ!? にゃああっ! み、水っ!? 水は嫌なのニャあああああ! おぼっ、溺れるっ! 溺れるぅううううう!」


 などと喚きながらも、奴は頭と背を水面に出し、尾で舵を取りながら四本の脚をばたつかせ……決死の犬搔きならぬ"猫搔き"でもって池を泳ぎ切り岸へ上陸。


「にゃ、あ、ああ……助かっ、た……の、ニャ……」


 然し馴れない泳ぎでもって遂に気力と体力を使い果たしたのか、池の畔へぐったりと倒れ伏し……そのまま濡れた身体を乾かしもせず爆睡。敢え無く再起不能に陥ったのだった。


「……短毛の猫は元々水中活動をも想定した進化をしてるっつーし、あいつ多分普通の猫じゃねえし、まあ大丈夫だろ」


 くれぐれも言っておくが、読者諸君は如何に猫(つーか動物全般)が嫌いだからとか虐めたら面白そうだからって大した意味や理由もなくこんなことすんじゃねーぞ(大した理由があってもやっちゃいかんがな)。


(ほらあの、松原潤だっけ? 猫殺しのクソ野郎。あいつもなんか火遊びしくじって自爆したとかニュースになってたじゃん。あれぜってー祟りだよ)


 しかもなんか聞いた話じゃ今もツイッターで猫殺して暴れてるらしいじゃん。マジ死なねーかなあいつ。YouTubeによくある、子持ちの盗人が死ぬ怪談みたいなエグい感じでさ……。


(つーかああいうゴミを放置して絵描きだの配信者だのばっか凍結してっからジャック・ドーシーはバカだしイーロン・マスクも無能だっつっー話だよ)


 貧乏くじ引かされたリンダ・ヤッカリーノが不憫でならねえが、その分上手くやってくれると信じよう(言うてどっこいどっこいな可能性もあるが……)。

 ……と、話が逸れちまったな。なんの話だったか……ああそうだ、ジッキンゲンだ。あのバカ猫をどうにか一応倒したんだ。


(異次元猫ジッキンゲン……ただのバカと思わせて案外厄介なヤツだったな。あれでもう少し賢くて、調子こかず真面目に戦ってたら多分俺は手も足も出ず惨敗してただろうぜ。

 ともあれ、これでまずは一匹……)


 さてさて、次はどいつだ?

次回、セレスティア&フィロミーナの"真・人馬一体ツインズ"の猛攻!



ところで松原はまだ生きてる上に何も改心してないようなので頃合い見て小説のネタにします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 正体不明の女性。 片手でヒョイっと捕まえることができる。 次元の狭間に存在できる。 話に付き合ってナガレ氏大丈夫なのでしょうか…… ただより怖いものはなし ((((;゜Д゜))))))) …
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