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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE2 死して怪物と化した男は、スラムの守り神となる

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対立する淫魔三大派閥、その実態

待たせたな(なんかいつもコレ言ってんなこいつ……)。

サキュバスのフィオーナ店長の、というかこの世界に存在するサキュバスがどういった種族なのかが明かされる。

いや、具体的なサキュバスの生態とかに触れてるわけじゃないけどさ……



宣伝手伝ってくれてる相方のツイッターもよろしくね。

たまに作品の補足説明とかもやって貰ってるよ。

→https://twitter.com/69440_Uwabami

 俺の名前は、北川ナガレ。


「単刀直入に申し上げますと、私めは淫魔サキュバスですの」

『ホウ、淫魔サキュバス……どうりで非の打ちどころのねえ美貌をお持ちなワケだ……』


 美女が集う"夜の店"『満妄児まんもうにぃ』を率いる美人店長の正体を知った、性欲の死んでる死体の化け物だ。



 淫魔サキュバス

 西洋の伝承に伝わる悪魔の一種で、美しい姿でもって男を性的に誘惑するとか、性行為で人間の生命エネルギーを吸って生きてるとか伝わる女人の化け物だったか。

 ファンタジー系の創作物、特に成人指定ポルノ系じゃ引っ張りだこで、最早『言わずと知れたファンタジーのエロいアレ』で伝わるぐれーの知名度はあると思う。

 ……然しそんな淫魔サキュバスが実在していたとは驚いたな。

 ま、ゾンビが実在してる時点で今更だがよ。


(エックスも『人外は色々いる』つってたしなァ。

 それにしたって屍人や死越者てめえ以外の人外で初めて出会ったのが淫魔サキュバスってのも中々ねーことだと思うが……)


 聞けば彼女は淫魔の中でも穏健派……時代や環境に合わせて順応し、他の種族との共存を軸にあくまで生態系の一部として生きるスタイルを推進する"適応派"を黎明期から率いる幹部格の一人だという(もっと言えば『満妄児』も当然適応派傘下の施設で、従業員たちも淫魔を始めとする人外で構成されており、入社時点で人間であってもほぼ全員が最終的には何かしらの人外になるらしい)。


『その口ぶりだと、派閥ってのは他にもあるんで?』

「ええ。私の属する"適応派"の他にもう二つ……どちらも私にとっては度し難い者たちですわ」


 店長が"度し難い"と評する淫魔の二派閥ってのは、要約すると以下の通りだ。


 一つは存命する淫魔じゃ最年長クラスの通称"柘榴石眼ガネットアイズ"とその夫"勝呂すくろ 兼幸かねゆき"夫婦率いる"革命派"。

 平和主義者って意味じゃ店長率いる適応派と同じだが、決定的に異なるのは目指す到達点だ。

 あくまで社会や自然の一部として周囲に合わせようって考えの適応派に対して、野心家の革命派が狙うのは世界の頂点であり、この世を支配し"争いも悲しみもない平和な世界"に作り替えようとしているらしい。

 具体的には、人間含む全ての知的生命体を、健康で美しく繁殖力の強い『淫魔の遺伝子』を持つ"優性新生物"へ進化させつつ、その過程で知的生命体の意識根幹へ、組織が掲げる"愛とエロスを重んじる平和主義・不殺主義思想"をも植え付けることで戦争や競争の火種になる"悪意"を根本から抹消、恒久的な世界平和を実現する……とのこと。

 聊かスケールがデカすぎてついていけねーが"革命派"の奴らはガチでその計画を実行に移そうとしていて、それを裏付けるように三大派閥ん中でもぶっちぎりの技術力を誇るらしい。

 なんて言うと読者おめーらは『別に平和主義だし争いも暴力もない世界になるならいいんじゃねーか』と思うだろうし、俺も実際そんな風に聞いてみたわけだが、

 果たして店長が言うには……


「あの方々はね、決して悪党ではないのですよ。

 寧ろ聖者と呼ぶに相応しい方々ですわ。淫乱ですけど不貞や性犯罪には手を染めませんし。

 けれど私が思うに、聊か無意識に傲慢になるというか、プライドが高いと言いましょうか……

 『自分たちは絶対に正しい』『自分たちは常に完璧で間違うわけがない』と信じて疑わない所があるのですよね……。

 他にも枚挙に暇がないほど欠点を多く抱えていますし、何より古くから続くこの世界の在り方を、

 高々一万年前後しか生きていない淫魔の小娘と、その淫魔に惚れた庄屋上がりの赤子風情が根底から書き換えるなんて、思い上がりも甚だしい蛮行……この世界への冒涜と言っても過言ではありませんわ。

 派手な野心なんて抱かず、もっと謙虚に生きればいいのに何故そうしないんでしょ」


 中々ひでえ言われようだが、俺は完全な外野なんで黙っておくことにした。



 さてもう一つの派閥は"掌握派"……ここ最近台頭してきた"トロギマイン議会連合"だかいう少人数の淫魔集団を祖とする連中だ。

 奴らの実態は言っちまえば危険思想を拗らせた凶悪な半グレ集団……淫魔こそが全生物の頂点と信じて疑わず、他の生物なんぞ生きた道具か動く資源ぐれーにしか思っちゃいねえ。

 ある意味じゃ"成人指定ポルノ作品に出てくる夢魔サキュバス"の王道かつ典型とも言えるようなスタンスだが……それだけに実在してていい連中じゃねえのも確実だ。

 "宇宙恐竜ゼットン"や"支配されざる王インドミナス・レックス"みてぇなもんだよ。

 画面の中(フィクション)の存在だからこそ愛されるのであって、画面の外リアルに出てきちまったらひたすらおっかねえしめんどくせぇだけ、っていう。

 実力や規模としても適応派・革新派に比べりゃちっぽけでさほど強くはねえらしい。ただ奴らは非力さと規模のなさを策で補う術には無駄に長けているようで、暴走族を誘惑して使い捨ての傀儡に使ったり、犯罪組織なんかと手を組んで資金や人員を補充したりもするんで、決して侮れねえ独自のヤバさがあるそうだ。


『要するに用心すべきは"掌握派"の奴らってトコですかね』

「ええ、概ねそうでしょうね。ただ"革命派"も油断なりませんけれど……」

『と、言いますのは』

「先程も申し上げましたが、彼らは非の打ち所がないほどに善良で正しき存在……けれどもそれ故に自分たちをこそ絶対の善にして唯一無二の義と信じて疑わず、トップ夫妻の意にそぐわぬ者に対しては手段を択ばない独善的な一面も持ち合わせていますの」

『弓引く奴にゃ容赦なし、ってワケですかい』

「ええ。"掌握派"のように暴力的・非人道的な行為に及びこそしないものの『情愛と善意故であれば何をしても許される』『最終的に誰もが幸福な結末を辿れば全て良し』と本気で考えていて、殺人や暴力を好む、恋愛や性に積極的でないなど主観で悪と判断した相手はどんな事情があろうと構わず"指導"してしまいますので……」

『……"指導"された相手はどうなるんで?』

「漏れなく"優性新生物"への進化する道を辿りますわね。噂に聞く所では、一口に優性新生物といっても色々あるようですけれど……どのみち"革命派"の同類として生き続けるのは間違いないでしょうね」

『なるほど。となると、俺にとっちゃある意味"掌握派"よりも質悪い連中かもしれませんなァ』


 永遠の美と健康が保証され、潜在的な悪意もなく完璧に善良な"優性新生物"への進化は確かに魅力的っちゃ魅力的だろう。まさに非の打ちようなんてねえ、よくできた救済措置だ。だが"よくでき"こそすれ"完全無欠"とは世辞にも言い難い。


(何不自由なく全て上手く行く完璧な世界"? 大いに結構、是非どうぞ。だが俺に言わしゃあクソ食らえだぜ)


 死人の俺が言うのもなんだが、プラスマイナスにゼロまであるから、人生ってのは素晴らしいんだ。

 プラスは勿論いいもんだが、ゼロであればこそプラスを得てえと策を弄し、マイナスがあったらそれを無くしてプラスに行こうと頑張れる。


 学校給食とか、親御さんが毎日作ってくれてた晩飯とかを思い出して欲しい。大体そこに並ぶ献立は、てめえの好物と、嫌いな物と、好きでも嫌いでもねえ物の三つに分けられたハズだ。

 んで、好物は食うと美味えが、嫌いな物を頑張って食った後の好物はもっと美味えし、好きでも嫌いでもねえ物は食ってると次第にその良さに気付いていつしか好物になったりしてるもんだろう?

 大体の奴はそうやって栄養分を蓄えて育ち、並行して食事の重要性だとか楽しさってのを学んでいくもんだ。

 だがこれが好物だけだったらどうだ、栄養が偏り体調を崩し、食から何を学ぶわけでもなく、挙句あれだけ好きだった好物に飽きちまうって最悪のオチに至るリスクもある。

 食事に限ってもそうだってのに、まして今てめえが生きてるこの世界の全てが"そう"なっちまったら……


(目も当てらんねえ惨劇オチしかねえわなあ、そんなもん……)


 そもそもそれ以前に、革命派やつらは暴力を否定し、殺しを忌み嫌う。

 たとえ背後にどんな事情があろうとお構いなし、とにかく"暴力は悪"で、"殺人は罪"。

 相手を傷つける行為に正義はなく、命を奪う行為に大儀はなく、自分達てめえらの愛や道徳ってもんを前にしちゃそんなもんに価値はねえ……ってのが、革命派やつらにとっちゃ揺るがざる"真実"だと……


『――つまり"革命派"の奴らにしてみりゃ、俺みてーな"暴力に生きてるヤツ"ぁとんだ仁義外れのド外道で、だからこそ裁かずにはいられねえ、と』

「ええ、その通りですわ。付け加えるなら革命派かれらは"|暴力や殺生に生きざるを得ないあなたがた"を、道を違えし哀れな迷い子と見做し、力の限り……不純物まじりけのない善意で"救おうと"するでしょうね。

 『下らぬ憎悪は捨てなさい』『辛い過去など忘れなさい』といった具合に、頭の中身を上書きするのですわ。まるで、水彩画の描かれたカンバスの上に油絵具で全く別の絵を描くように、ネ」

『そりゃあ益々悪質じゃありませんか。……「地獄への道は善意で舗装されている」ってヤツ?』


 そこでそのフレーズ――1150年頃、第2回十字軍を推進したクレルヴォーのベルナルドゥスが残した『地獄は善意や欲望で満ちている』を原型とする英語圏の諺だ――を引用するのも何だか違う気がしたが……善意って大義名分でもって俺の在り方を全否定され、奴らの色に染められたまま終わるなんざ真っ平御免だ。

 とは言え聞くところによると"革命派"は現状の淫魔の過半数近くを束ねる大所帯で、持ってる資源や技術力から構成員の平均的な戦闘能力に至るまで何もかも桁が違うらしい。


(無理に戦おうとせず、なるべく見つからねえように振る舞うしかねぇな)


 新方の結論を出した上で、俺は話題の舵を切り替える。

 次の話題は俺が泥得サイトウ地区に来る前から気になっていた"あの件について"だ。



ちなフィオーナ店長には一応モデルがいるけど、本家本元はぶっちゃけ掌握派の重鎮っぽい感じだなあと思っちゃうよね。


感想・ブックマークがあると励みになるから宜しくね。

質のいい感想を書いてくれた方は私の加護で遅刻癖が治るよ。

ブックマーク数に応じて痴漢冤罪かまそうとする阿婆擦れどもが死んでいくよ。

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