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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE2 死して怪物と化した男は、スラムの守り神となる

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死越者、夜の店へ

お待たせ最新話。今回はナガレ以外の視点で物語が進行するよ。

投稿前に読み返すと結構ガバなとこあるし、ナガレと屍人はじめいろんな敵とのバトルとかそういうの期待してる読者たちには肩透かしな回になってしまったと思う。

けどごめんよー、こっちも色々悩んでンだ。

何せ閲覧数ばっか伸びて感想もポイントもつかねーからさ……何がいけないんだろう、って……

 私めは通称"絹糸"……


『なァ、お前らさ……

 もし良かったらその「満妄児」って店、俺も連れてってくんねーか?』

「「……え?」」


 相方共々、敬愛する兄貴分の口から出た衝撃の一言に困惑する、ドヤ街住まいのしがない仕立て屋に御座います……。



〇〇〇〇


 まず最初に軽く自己紹介をしておきましょう。

 私"絹糸"――事情わけあって名乗っている源氏名でして、本名ではございません――は、ドヤ街"泥得サイトウ地区"を拠点に仕立て屋などやらせて頂いております。

 相方の"シバさん"こと鍛冶師の"豆柴"――彼のそれも源氏名であり、本名は別にございます――とはそこそこ長い付き合いでして、"絹糸"から転じての"カイコ"と"豆柴"の"豆"を取って"蚕豆コンビ"なんて名乗っちゃあ、破れたお洋服の修繕からカーペットの染み抜き、工作機械の修理に包丁研ぎまで、持てる技術を活かしてあちこちでお仕事をさせて頂いております。


 さてそんな私ども"蚕豆コンビ"は、先日信じがたいような……まさに"幻想ゆめのよう"と言って差し支えない素晴らしい体験をしたのでございます。

 その体験と申しますのは、まあ有体に言えば人助けのお礼として、娼館のお美しいご婦人方と素敵なひと時を過ごさせて頂いたわけでございまして……その余りの素晴らしさに、私どもは酔いしれ浮足立っておりました。


 そしてそこから更に何週間か過ぎ、その内何度か白撫子町に向かう用事があったもので、私どもめはその度『満妄児』へ赴いては珠玉のひと時を過ごしました。

 そうして新たな生きがいを見出しつつ仕事にも精を出す日々が始まり、また幾日か過ぎた時のこと。

 今日も今日とて白撫子町での仕事を終え『満妄児』を満喫した私は宿へ戻る道中、相方のシバさんと『是非また伺いましょう』『次はどの方と楽しもうか』などと語らっておりました。

 するとそこへ偶然にも、私どもが敬愛してやまない北川の兄貴がお通りになられたのです。


 北川の兄貴は素晴らしいお方です。サイトウ地区に近頃やってきた新参でありながら、古参の我々が思わず"兄貴"と呼ばざるを得ないのも、ひとえに彼が偉大な男であるが故……。

 と言いますのも、兄貴はサイトウ地区をはじめ各地を悩ませていた謎のゾンビども――やけにしぶとくその上狂暴で、ドヤ街の平民はおろか極道の方々ですら手を焼くほどの厄介者でした――を見事に打倒し軽々討伐してのける、まさに戦闘の達人……我らにとっては救世主のようなお方でございます。


 聞けばその日も兄貴は憎きゾンビどもと一戦交え、人々を窮地から救ってきたとの事でした。

 そして世間話に花が咲くこと暫し、なんと運のいいことに、私どもめは兄貴にお夕飯をご馳走して頂けることになりました。


 行き先はサイトウ地区から少々離れた華やかな街に佇む大人気のファミリーレストラン"WAP"。

 薄給が基本のドヤ街暮らしには殆ど縁のない店ですが……その日兄貴は大金を手にしておられたとのことで、私どももご相伴に預からせて頂いたのでございます。


 さて、店内にて席につきそれぞれ注文の品をつつきながら談笑する内、話題は互いの近況についてのアレコレとなりました。

 ともすれば我々としては『満妄想』について話さずにはいられません。

 私とシバさんは、駅でのドラマチックな出会いと、『満妄児』での素晴らしい体験を嬉々として兄貴に語らせて頂きました。


 そうして私どもめが『満妄児』について一通り語り終えた所で我らが北川の兄貴が口にされた思わぬ一言こそ、冒頭の台詞だったので御座います。


〇〇〇〇



「あ、ああ……」

「ん、ぬぅん……」



 兄貴からの一言に、私どもは開いた口が塞がらず、ただただ混乱するばかりでございました。

 何せ北川の兄貴といえば、嘗て目の前でゾンビどもに最愛の婚約者フィアンセ様を殺され、以後非情な復讐者へと転じたことで知られるお方……婚約者様との死別わかれが余程お辛かったが為でしょう、嘗ては新鮮な夏野菜の如く瑞々しく潤う一途な愛に生きたであろう彼の心は最早荒野の転草タンブルウィードが如く枯れ果ててしまわれたのです。

 何せドヤ街で暮らすご婦人がたは勿論のこと、その道のプロである水商売や娼婦を生業とするお美しいご婦人方の誘惑も意に介さず、ならば小児性愛ペドフィリア男色ゲイの趣味でもお持ちかと思いきやそんなこともまるでない……

 最早無性愛アセクシャルと呼ぶに相応しい有様なのでございます。

 そんな彼ですから、グラビア写真集など見せても『健康的な美人だな。趣味はなんだろうな』『いい衣装だ。コンセプトが気に入った』『写真の芸術点が高いし、世界観に引き込まれる』だとか『撮影場所の景色が綺麗だ』『食ってる料理が旨そうだ』『一緒にいる動物はなんだこれ、あとで調べてみよう』なんてコメントをするばかり……


 そんな彼ともあろう男ですから、よもや美女が男たちを癒す夜の店なんてものに興味を持つとは到底信じられず……例えるなら、ドイツ政府の要人が鉤十字の描かれた服を着ているようなものです。

 そりゃあ驚くな、なんて無理な話でしょう。寧ろ彼の人となりを知る者であれば驚くのが普通まであります。


 然し、これしきの出来事で取り乱していたのでは蚕豆コンビの名が廃るというもの……私どもはすぐさま気を取り直し、あくまで冷静に……そう、不躾に詮索したり茶化したりなんてせず、普通の対応を心がけます。


「……ええ、まあ、そりゃあ構いませんや。いつでもご案内致しますぜ」

「そうですね。『満妄児』はこの世の楽園……是非、北川の兄貴にも体験して頂きたく存じます故」

『悪いな、助かるぜ。まあそう急ぎもしねェからよ、お前らの都合いい日を指定してくれや……』



 そうしてその日は店を後にし、我々はサイトウ地区のすず屋へ戻ったので御座います。




 北川の兄貴を『満妄児』にお連れしたのは、それから四日後のよく晴れた日であったと記憶しております。


「「「いらっしゃいませ♥」」」

「満妄児へようこそおいで下さいましたっ♥」

「誠心誠意ご奉仕致しますので、楽しんでいって下さいねっ♥」


『ほう、ここが満妄児か……話に聞いた通りだな』

「そうでございましょう? さあさ兄貴、何方でも好きな子をご指名下さいませ♪」

「もし迷っちまうようでしたら俺らにご相談をっ! 女の子ごとの性格とか特技とか粗方把握してますんでねっ!」


 はっきり申し上げますと、当時の私どもは揃いも揃って浮かれ切っておりました。

 故に、てっきり北川の兄貴が我々と同じく『普通に従業員の方と楽しまれるのだろう』と思い込んでいたのですが……


『すみません、そちらの方。少々よろしいですかねェ』

「はぁい♥ 早速どの子をご指名かお決まりでしょうかっ♥」

『ああいえ、指名ってェと微妙なんですが……

 フィオーナ店長って本日出勤されております? 幾らかお伺いしたいことがあるんですけども……』


 兄貴の口から出たのは、まさかの一言に御座いました。

 当然対応された従業員――受付の蒼井あおいのどかさんも困惑している様子でした。

 そして……


「すみませんお客様、店長をご指名頂けるのは『ブラックアンチェインパスポート』をお持ちの会員の方に限定させて頂いておりまして……」

「んなっ!?」

「ぬうっ!?」


 のどかさんの発言に、その場へ居合わせた私どもは度肝を抜かれました。

 確かに『満妄児』の会員証である"入店用パスポート"には数多のグレードがあり、それらに応じて料金の割引等様々なサービスが受けられるようになっております。

 例えば私どもが店長より頂いた入店用パスポートは『プラチナプレミアムフリーパス』ですが、こちらのグレードはその名の通り白金、という具合です。

 然しそこまで『満妄児』のシステムを知っている私どもでさえ『ブラックアンチェインパスポート』なんて名前は聞いたこともありません。


『ああいえ、指名とかそういうんじゃないんです。

 ただそちらの店長さんがね? この界隈でも指折りの事情通だとお聞きしましたもので、お話だけでもお聞かせ願えればと思ったんですが……』

「事情通、ですか? 店長が?」


 のどかさんはどうにも腑に落ちない様子でしたが、兄貴の真摯な態度に心打たれ、店長に連絡を入れて下さいました。


「――はい。わかりました。ええ、では……」

『……』

「店長に許可を頂けました。

 北川様、地下一階の店長室までご案内致します」

『ありがとうございます』


 そうして兄貴は、のどかさんに連れられ『満妄児』の地下へと消えて行ったのです。

次回、ナガレが『満妄児』店長フィオーナと対面!

そして彼女の口から語られる『満妄児』の秘密とは!?


……なるべく早めに片付けつつ、バトル回なり何なりに突入できるよう頑張るから、

だからどうか、見捨てないで……!


感想・ブックマークがあると励みになるから宜しくね。

感想をくれたキミが幸福であるように祈るし、

ブックマーク一件につき日本国内の農業が回復していくよ(恐らく)。

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