職人"蚕豆コンビ"、劇的な初体験について語る
はい、待たせたな最新話。
本来はナガレが自分と屍人以外の人外と初めて遭遇する話になる予定だったけど、
なんやかんやあってそうはならなかった話。
前回更新分がアニメ版『チェーンソーマン』どころか『ストレンジワールド』さえマシに見えるレベルの大爆死かましたもんだからなんとかしなきゃと奔走した結果できた、所謂"テコ入れ"回でもある。
果たしてこんなんでテコ入れ効果があるのかどうか、そもそも前回更新分の爆死の原因は前々回更新分にあるんじゃないのか、
というかもっと冷静に何をすべきか研究してから執筆・投稿すべきだったんじゃないかとか思ってるけど、
結局私って個人で活動してるアマの物書きで、担当編集とか居ないから実際"書く"ことしかできなくってさ……。
マストドンに居たAIbotに相談しても、「アクセス数の低下」を「ウイルスや不正アクセスによるウェブサイトのトラブル」と誤認されちゃう始末だし……
ま、湿っぽいこと言っててもしゃーないわな。
とりあえず今回も読んでって頂ければ幸い。序でに感想で今後の方向性とか指摘して頂けると尚有り難い。
俺の名前は、北川ナガレ。
『このド畜生のクソ鬼どもが。
てめェら如き腐れ外道に格闘家を名乗る資格はねェ……
とりま……十回死んどけェ!』
「おぶげがぁっ!?」
『ッラァ!』
「ぶぼらぁっ!?」
『シャアッ!』
「がばあっ!?」
スポーツマンシップに反する蛮行に及んだ腐れ外道どもを粛正する、ドヤ街暮らしのゾンビ怪人"死越者"だ。
『オラ、来いよゴミども……。
二度とリングに立とうなんて思えねェようにしてやっからよォ~』
無抵抗な相手を一方的に痛めつけるのがてめぇらの格闘技ってんなら、俺もそれに倣っててめぇらを痛めつけてやるまでだ。
◇◇◇◇
さて、今回は前回から続く形で俺らの屍人刈り活動について過去の回想を交えつつ語って行こうと思う。
そもそも死越者になった俺がエックスから頼まれていた案件は、嘗てスーパーの駐車場を地獄に変え俺とマナミを殺しやがった忌々しいクソ劣等ゾンビども……通称"屍人"を片付けつつ、可能なら奴らを操ってる黒幕を探り当てて始末することだが、
と言ってじゃあ屍人だけ刈りまくってりゃ他は放置でいいかっつーとそうもいかねェ。
というのも、俺の願いを聞いてくれたドヤ街の顔役である雲井さん主導で始まった"屍人刈り"は、必然的にと言うべきか、日を追うごとに各地での人命救助や治安維持の側面も兼ねるようになっていったからだ。
要するに地域密着型の自警団みてーなモンだろう。
そんな自警団である俺らが戦う相手は、当然として屍人どもの他、奴らの陰に隠れて(或いは、奴らと関わらずにでも)悪事を働く悪党ども、そして社会の陰に潜みしばしば私欲や野心のため市井の民へ狼藉を働く外道の"人外"連中だ。
"人外"ってえとどんなのか今一イメージし辛いかもだが、要するに"魔物"とか"怪物"の他、ヒトの身でそれらに匹敵する力を手にした"超能力者"やら"超人"なんて連中も含むと思ってくれりゃいい。
……もっと分かりやすく説明した方がいいってんなら『現代や近未来が舞台のバトル漫画』、取り分けマーベルやDCが手掛ける『ファンタジーからSFまで何でもありのアメコミ作品』の世界観みてーなもんだわな。
なんか学術的な分類があるのかは知らんがともかく、その内訳はまさに多種多様……
"悪魔"や"オオカミ人間"、"天狗"や"河童"なんてメジャー所から、"幽霊"や"吸血鬼"、あと俺自身なんかに代表される"屍人じゃないアンデッド"に、
"生身の人間同然に振る舞う生きた人形"やら"自我を持つロボット生命体"、"異界生まれの魔術師"に"古代中国殷時代から続く妖術師一族"、果ては"別の惑星からやってきた宇宙人"と、マジに挙げればキリねえってヤツだ。
さて、柄にもなく説明ばっか長引いちまったが、そろそろ俺自身の回想に移らせて貰いたい。
屍人刈りを始めた俺らが……というより俺自身が最初に"自分以外の人外"の類と出くわす切っ掛けとなったのは、例年よりかなり早めに梅雨が明けた初夏の夜。
その日も屍人狩りを終えた俺が、簡易宿泊所"すず屋"へ戻る道中でのことだ。
「あっ、北川の兄貴! 今日もゾンビ狩りっすか?」
「いつもありがとうございます!」
『オウ、蚕豆コンビじゃねーか。
礼を言いてえのはこっちだぜ。今日も今日とてお前らに作ってもらった装備が大活躍よ』
元気よく声をかけてきたのは、俺と同じくすず屋で暮らす"蚕豆コンビ"の二人だった。
『どうだ、これから飯でも行かねぇか? 奢ってやるよ』
「いいんですかい?」
「ご馳走になります!」
『オウ、いいってことよ。ちょうどこの前捕まえた指名手配犯の懸賞金が入ったからな。
ちっと高めの店でも行こうや』
"蚕豆コンビ"……色白に長い白髪で瘦せ細った"絹糸"と、色黒スキンヘッドでずんぐりむっくりなマッチョの"豆柴"から成るこの二人組は、その実サイトウ地区でもトップクラスに腕の立つ職人として名を馳せている。
絹糸は衣類の修繕やアクセサリー作りに設計図の作成といった細かな作業、豆柴は鍛冶、鋳造、溶接といった力仕事の類や金属加工がそれぞれ専門で、老若男女問わずドヤ街に住まうあらゆる人々の生活を支えている(たまに他所から依頼されて出張したりもする)。
かく言う俺もそんな蚕豆コンビの世話になってる常連客の一人で、嘗てエックスから貰った衣服や狸面を立派な"防具"に改造して貰ったりと、こいつらの技術力に助けられた事例はまさしく枚挙に暇がねえ。
そんなワケで普段の恩返しも兼ねて、俺は二人を飯に誘うことにした。
◆◆◆◆
『……で? 結局お前ら二人、その女に言われるままホイホイついて行っちまったと』
「へい、そりゃあもう! 迷いなんてありませんでしたよぉ~」
「そりゃね、北川の兄貴みたいな方なら話は別でしょうけど、あんな美人に誘われて断れる男なんてそう居やしませんってなもんです」
飯屋のテーブル席。
互いの近況について語り合う流れの最中………蚕豆コンビの口から語られたのは、つい先日二人が出会った不思議な女の子と、その子に案内される形で辿り着いたとある店の話だった。
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二人に曰く、
その日、二駅隣にある"白撫子町"の老人ホームへの出張を終わらせて、さあ帰るぞってタイミングでのことだった。
電車に乗ろうと駅の券売機に向かった所で、蚕豆コンビは偶然にも酔っ払いのオヤジに絡まれてる女の子を発見……周囲が見て見ぬふりをする中、勇敢な二人は女の子を見捨てず見事に助け出す。
「ありがとうございました! 何てお礼を言えばいいか」
「いえいえ、当然のことをしたまでですので」
「そうそう、気にするこたーねェよ。人間助け合いだからなァ!」
歳はだいたい十代後半から二十代頃、若干童顔だが間違いなく美人の域にある顔立ちに、アニメのキャラクターかと思うほどのピンク色の髪、
そして抜群のスタイルを程よく曝け出すような服装をしたその子は"エヴァンジェリン"って名前――通称は"エヴァ"――で、つい先月仕事の都合でこの近辺に引っ越してきたばかりだという。
助けられたエヴァは、二人に提案する。
「是非ともお二人に恩返しをさせて下さい!」
やってきたばかりの町で悪漢に絡まれ、しかも周りの誰にも助けて貰えなかったエヴァが、筆舌に尽くしがたい恐怖を味わったであろうことは想像に難くない。
実際彼女は冗談や誇張抜きに命の危機を実感したようで、だからこそ助けてくれた蚕豆コンビの二人に、何か特別な恩返しをしなければと考えていたのだ。
「お願いします! お二人に恩返しがしたいんです!」
「オイオイ、何も頭下げなくたってイイじゃねーかよォ~」
「ふーむ、そこまで言われてしまったのでは仕方ありませんね……」
エヴァの必死さに心打たれた蚕豆コンビは彼女の申し出を承諾し、案内されるまま繁華街の裏通りを進んでいく。
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『……お前らなぁ、幾らなんでも危機意識低すぎやしねェか?』
「しょーがないじゃないスか、可愛かったんですし!」
「態度からして見るからに誠意が伝わって来ましたし、悪い人には見えませんでしたよ彼女はっ」
『……見た目が良くても中身がヤベエって可能性もあるだろーが、ったく』
スリ、詐欺師、美人局、殺人鬼……悪党は得てして芝居の達人なんだ、疑ってかからねえでどうする。
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案内されるまま裏通りを進んだ蚕豆コンビは、小さめのショッピングモールか病院を思わせる建物の中に通される。
地味な外観の割に内装はやたらと派手で……それぞれ絹糸は『童心に帰ってはっちゃけたくなるような雰囲気』、豆柴は『ワクワクしつつムラムラさせてくるような感じ』と述べた。
「「「「いらっしゃいませー♥」」」」
「『満妄児』へようこそおいで下さいましたっ♥」
二人を出迎えたのは、エヴァに勝るとも劣らぬ美女軍団……。
揃いも揃ってスタイル抜群な上、そのまま表へ出れば警察にパクられる、どころか飛ぶスタンガンの餌食になりそうなほど過激な身なりをしていた。
エヴァ曰く、その女たちは件の『満妄児』なる店の従業員で『過酷な現代社会に疲れ果て、大人でいられなくなりそうな人々に極上の癒しを提供するサービス』のスペシャリストなんだそうだ。
そしてエヴァ自身もまた『満妄児』の従業員……より厳密には"従業員見習い"で、一人前になるための現場研修のため、この近辺に引っ越してきたのだという。
「よォ~絹の字ィ~♥ どーすんだよ俺らッ♥ エレェとこに案内されちまったぞオィ~♥」
「いやはや、これはこれは、またなんともはや♥ どうやらそのようですねー、シバさんっ♥」
眼前に並ぶ際どい身なりの美女軍団に興奮しまくりの二人は、なんともみっともねえ面構えのまま期待に上も下も膨らませまくったという(……だから危機感無さすぎだっつーの)。
そんな二人の有様を知ってか知らずか――当然、知ってたんだろうが――店の奥から『満妄児』の店長を名乗るフィオーナって女――これまたスタイル抜群かつとんでもねえ別嬪の上、どういうワケだか他の従業員より一回りほど図体がデカい――が姿を現し、二人にこう言ってきた。
「お話はエヴァから聞かせて頂きましたわ♥
この度は当店の大切な大切な従業員を窮地より救って下さり、誠にありがとうございます♥
つきましては感謝の印ということで、お二方には当店のあらゆるサービスを例外なく無料かつ無期限でご利用頂ける『プラチナプレミアムフリーパス』を贈呈致します♥
『満妄児』は年中無休の夢の園……どうぞ遠慮なくご利用下さいませ♥」
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「で、渡されたのがコレなんスけど」
「どうですこの輝きっ。思わず目が眩みそうになりませんかぁ?」
『スゲーな、マジで白金色じゃねーか』
実際二人が見せてきた"プラチナプレミアムフリーパス"は、そのものズバリ白金色をした豪華な磁気カードって感じの見た目をしていた。
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それから二人は、謝礼で貰ったフリーパスを用いて『満妄児』を満喫したという。
話を聞くにどうやらこの『満妄児』、所謂"夜の店"の類だそうで……本作のレイティングの都合上詳細は伏せざるを得ないが、当人たちに曰く、蚕豆コンビの二人はそれぞれ見繕ったお気に入りの従業員と、日付が変わり夜が明けるまで"お楽しみ"だったそうだ。
また"夜の店特有のサービス"以外もやたら充実しているそうで、ドリンクフリーかつフードメニューはファミレス並みの充実っぷり、宿泊スペースまで兼ね備えながら驚くほど格安なのだという。
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『へえ、そりゃあ良かったじゃねぇの』
「いやぁ~最ッ高ォ~のひと時でしたねェ~♥」
「天国というものがこの世に実在するならば、ああいう場所を言うのでしょうねぇ♥」
二人の話に耳を傾けつつ、俺は思案する。
美人従業員ばかりの店『満妄児』……単なる"サービス精神旺盛な夜の店"と言っちまえばそれまでだが、それにしちゃどうにも怪しく思えちまう。
得てして"夜の店"ってのは大体後ろ暗い事情を抱えていたりするもんだ。
経営の為に仕方なくヤバい連中の力を借りざるを得ないなんてこともあるだろう。
(なればこそ、本来ぼったくりみてーな価格で客から搾り取ったりなんかしがちなワケで、本来そこまで気前のいい店なんて実在しようがねえハズなんだ……)
結論として『満妄児』にも何かしら裏があると考えんのが自然だろう。
(まあ、絹糸と豆柴を丁寧に持て成してくれた恩がある以上頭ごなしに批判もできねーし、憶測だけでヤバい奴らと決めつけたかねーが……万一って事もあるなら、調査しといた方がいいわなァ)
密かに決意した俺は、意を決し蚕豆コンビの二人に切り出す。
『なァ、お前らさ……
もし良かったらその「満妄児」って店、俺も連れてってくんねーか?』
「「……え?」」
唐突な俺の言葉に、絹糸と豆柴は困惑……バグでフリーズしたゲーム画面よろしく、奴らは動作を停止した。
Q.『満妄児』って結局どういう店なの?
A.この後うちの相方に補足説明さすからそっち見て。
これが相方のツイッター:https://twitter.com/69440_Uwabami
Q.結局絹糸と豆柴はどんな体験をしたの?
A.レイティングの都合上詳細に表記するわけにもいかんってナガレが言ってたじゃねえか。
察しろ。
Q.いっそノクターンで絹糸と豆柴主役のパチ禁スピンオフ書かんか?
A.誰が書くかめんどくせぇ。
Q.っていうかナガレとか屍人とかどうでもいいから『満妄児』が舞台のドスケベスピンオフ書いてくんね?
A.そういう意見が聞き入れられると思ってんならお前は所詮二流だよ。
Q.なんかナガレくん、『満妄児を調査しないと』的なこと言ってたけどぶっちゃけ下心とかあるの? なんかお前の作品の主人公の傾向からすると死んだマナミちゃん一筋っていうか、なんなら死んで蘇った影響で性欲も死んでんじゃないかなって思ってるんだけど。
A.そこはまァ……次回をお楽しみに、って感じだな。
Q.っていうか陽炎一族の件どうなった?
A.そこも次回から掘り下げてく予定だから心配すんなって。
Q.もう北川くん復讐やめさせて『満妄児』で幸せにならせてあげればよくない?
そういう方向に路線変更するんなら俺、お前のこと全力で応援するよ?
絵描きに金出してキャラ絵描かせたりとか、音楽作ってる奴に頼んで作品の主題歌作らせたりとかさー。
A.……本当に、ナガレにエロエロなハッピーエンドを歩ませる方向に路線変更したら、各種クリエイターに金を出してキャラ絵や主題歌の依頼をしてくれるのかね?
Q.ああ、もちろんだ。そしてお前が今後、グロだのバトルだのクリーチャーだのなんて趣味を捨て去って、生来の純愛至上主義と巨乳好き、そして悪戯好き誘い受けヒロイン・ヘタレ攻め男前好きといったエロ絡みの性癖のみを反映させまくった、エロ特化の萌えラノベを書くっていうんなら、俺はお前のプロデビューにだって支援を惜しまんぜ?
A.ほう、それは魅力的だな。……繰り返してすまないが、本当に私がエロ特化の萌えラノベ書きになったなら、私をプロデビューさせてくれるんだな?
Q.ああそうともよ。俺は嘘はつかねえ! なあバーチャル害獣、お前ももう三十路だろう?
ここまで十四年間……ハンドルネームを変える前から換算すれば凡そ二十年近くもの間ネットで創作活動に勤しんできて、お前は自分の無力さを思い知ってんだろう?
そしてお前は同時に気付いたハズだ、「このままじゃダメだ。エロ特化の萌えラノベ書きになるしか自分にはもう道がないんだ」ってなァ。
だからお前はここ三年余りなろうを離れ某エロ小説コミュニティで頑張っていたんじゃねーか?
俺はお前の才能と実力をこの世の誰より正しく理解してる。
お前は純愛至上主義と巨乳好き、そして悪戯好き誘い受けヒロイン・ヘタレ攻め男前好きの性癖に特化したエロ小説を書いてこそ真に輝けるんだ。
現実を見て、真実を理解しろ。誰よりお前のファンである俺を信じるんだ!
さあ、言うんだバーチャル害獣!
「自分は過去の全てを捨て去り、今後はエロ小説に特化した作家になる」とッ――
A.だが、断る……
Q.ぬっ!? なにィ!?
A.このバーチャル害獣が作家として最も憧れることの一つは、
自分で自分のことを強者だと勘違いしている、
股座でものを考えているような性欲至上主義の主流派オタ豚野郎に、
心の底から「NO」と言ってやることだッ……
Q.ぐぬぅっ……!
A.私はバーチャル害獣……私利私欲のため資源を食い潰し社会に仇なす害獣だ。
そんな害獣がお前如き家畜風情の誘いに乗るなんて、あると思っていたのかぁ?
……馬ァア鹿めェ~
あるわけねえだろ、そんなことっっ!
感想・ブックマークがあると励みになるから宜しくね。
ブックマークが増えるたびに最寄りのセブンイレブンが値下げするよ(たぶん)。




