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デッドリヴェンジ!-最愛の婚約者諸共殺されて腹立った俺は、最強ゾンビになって美人悪役令嬢とかイケメン人狼なんか連れて復讐序でに無双しようと思います-  作者: 蠱毒成長中
CASE2 死して怪物と化した男は、スラムの守り神となる

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死を越えて、屍を刈る

お待たせ。新作だよ。

なんか書いてたら殆ど回想みたいになっちゃって、

まあ世界観と主人公が具体的に何やってるかの説明回?

とはいえもうちょっとバトル重視にできなかったものかとやっぱり悔いてるよね……

 俺の名前は、北川ナガレ。


「キタちゃん、てーへんだ! てぇーへんだァっ!」

『どうしたんです大山さん、そんなに血相変えちゃって』

「やべぇぜキタちゃん! ゾンビだ! ゾンビが出たんだよっ!

 しかも今までとは比べもんになんねーとんでもねーヤツだっ!」

『何ですって……場所はどこです?』

謝羽来じゃぱらい水津藻(みづも)の『オーバーラブ&バインド』ってセクキャバ!」

「『オーバーラブ&バインド』だぁ!? この前キタちゃんが型に嵌めた変態女の店じゃねーか!」

「まだやってたのかよあそこ! あんな店さっさと営業停止にしちまえばいいのに自治体何やってんだよクソッタレ!」

「キタちゃん、無理しなくていいわよ? あんな奴らゾンビに襲われて当然なんだからね?」

『そうも言ってられませんよ。被害者ガイシャが誰だろうとゾンビが出たら刈るのが俺のポリシーなんでネ』


 仕事を終えて宿に戻ってきた所で新たな仕事を振られた、ドヤ街暮らしの死越者エクシーデッドだ。



◇◇◇◇


 ドヤ街住民――日雇い労働者、浮浪者、裏社会の住民等々――の情報網ってのは"凄い"とか通り越していっそ"エゲツねぇ"レベルで……


「よゥキタちゃん! 早速ゾンビの目撃情報が集まって来てんぜェ!」

『うおぉ……こりゃ凄いですね。ありがとうございます。これで調査も捗りますよ』


 俺が飯の席でゾンビ騒ぎを追ってると明かして以来、毎日何十何百って数のゾンビ絡みの情報が届くようになったのも、そういう"エゲツねぇ情報網"のお陰なんだと思う。

 無論、全部が全部役に立ちそうな情報って訳じゃない。

 寧ろ殆どは曖昧な目撃情報や明らかな作り話に見間違い、果ては(恐らく私怨から)特定の人物を名指しして『こいつはいずれゾンビ化するだろうから今のうちに始末しておけ』『こいつがゾンビ騒動に何かしらの形で関与しているらしいので何とかしろ』なんていう、実質的な殺しの依頼まで来る始末。

 正直あまり好ましい状況じゃないだろう。だが逆に言えばこの現状は『その分真面目に取り合うべき情報がはっきりしており目的地が絞り込みやすい』のと同じだ……そう考えれば幾らか気が楽だったし、何なら『そういう馬鹿が沸くだけの余裕があるならまだ日本は平和なんだろう』と希望を持つことさえできたほどだった。



 とは言えそれでも、屍人コープス刈りは決して楽な仕事なんかじゃなく……



『ヴエエエエエエ!』

『ヴァアアアアアア!』

「ぎゃあああああ! ゾンビだあああ!」

「助けてええええええ!」

「うえええええええ! まンまぁぁぁァァァァ!」


「居たぜキタちゃん! あそこだ!」

「逃げ遅れた人たちはあたし等が助けるから、キタちゃんは奴らの相手をお願いね!」

『了解です。

 ……さァて、クソ劣等ゾンビども、覚悟はいいな? 俺ァもう"できてる"ぜッ!』


 こんな感じでシンプルに自然発生した屍人を刈っていくだけなら比較的簡単だ。


『ヴァアアアア!』

『ヴオオオオオ!』

『散々暴れ散らかしやがって、

 モッペン死んで地虫のエサんなっとけェ!』

『ヴォゴアアア!』

『ヴエエエエエ!』


 数が増えたり地形が面倒だったり、武装しているとか人間以外の死体が変じた奴らが相手だったりすると多少骨は折れるし、現場に逃げ遅れた人たちなんか居たりしたら猶更大変ではあるが、大抵はサイトウ地区のみんなが大体三人か四人くらいサポートに同行してくれるので慣れればそれほど苦でもなかったりする。


 更には、


『よォ、オッサン……いい加減白状して貰おうか?』

「ぐ、ううう……! 白状だとぉ?

 な、なんのことかねぇ!? 小生は貴様のような者に話すことなど何もありは――」

『ッラァ゛!』

「ぐええっ!?」

「……オイォイオイヲイ、ォイヲイオイオイ……」

白化しらばっくれてンじゃね~わよ、ンの糞ジジィ~」

「お前がこの高校生ガキどもに嗾けたゾンビの群れ、あれはどこから手配したんだと聞いてるんださあ答えろよ早くしろよ!」

「ぐ、が……がぁ……!」


 もし仮に屍人のバックに人間が居たなら"目付け物(めっけもん)"、そいつは"アタリ"のパターンだ。

 何せ連中ときたら揃いも揃って手駒の屍人が逃げ出さないよう建物の中に閉じ込めたり鎖に繋いだりしてくれているから楽に刈れるし、屍人やつらを悪用する人間は大抵何かしらの悪事に手を染めていて、その中の七人に二人くらいは懸賞金つきの指名手配犯だったりするからだ。


 例えば上の回想で俺がぶん殴ったオッサンは若者ばかりを狙うってんで一時世間を騒がせた連続殺人鬼で、"女子を雑に惨殺、男子を乱暴の末嬲り殺しにし、その様子を録画しては不特定多数の相手に送り付ける"ってな最低最悪の腐れ外道なんだが、

 俺らが手駒の屍人を刈り尽くした上で、録画映像を肴に"お楽しみ中"で丸腰だった所を取り押さえふん縛って警察に突き出してやった。

 懸賞金は500万。ドヤ街暮らしにとっては宝くじの一等に匹敵する大金だ。




 この時のことについて、当日サポートに同行してくれたカノコ姉さんは後にこう語っている。


「あの時は大変だったわよ。

 ゾンビはキタちゃんがやっつけてくれたし、あの糞ジジイも別に大したことなかったから袋叩きにして終わりだと思ってたら、

 エンジニアの早川くんがそりゃあもう普段じゃ有り得ないくらい怒り狂っちゃってねぇ~」


 "エンジニアの早川"こと早川の兄さんはサイトウ地区でも五指に入るメカの達人で、普段は機械屋として家電や電子機器の修理を請け負う傍ら、屍人刈りに際しては偵察用ドローンや武器を拵えてくれる縁の下の力持ちだ。

 兄さんを語る上で外せない要素は幾つもあるが、中でも特に重要な一つは彼が同性愛者で彼氏もいるってことだろう。

 元は国内有数の名家に生を受けるも、持って生まれた性嗜好とそれを良しとしなかった周辺人物や当時の社会風潮のせいで幼少より地獄を見てきた兄さんは、優れた才能を持つ人格者として大成したにも関わらず逆恨みと偏見から無実の罪を着せられ破滅……図らずも落ちぶれた末、サイトウ地区に辿り着いたって経歴を持つ。

 そんな彼にとって男色家ゲイセクシャルの風上にも置けない件の指名手配犯はまさしく親の仇より憎い"怨敵"で、奴の所業を知った彼は普段の温厚さが嘘のように怒り狂い、いつか自分の作った武器で成敗してやろうと準備を進めていたそうだ。


 そんな早川の兄さん、当日は新しく開発した武器の試験運用も兼ねていた為同行して貰っていた。

 最初の内こそ持ち前の穏やかさと冷静さで紳士的に皆を取りまとめてくれていた兄さんだったが……取り押さえた"黒幕"が件の奴と知った途端別人のように怒り狂い、隠し持っていた武器――猛獣型の大型屍人を想定して作られた、当日持参予定になかった大口径のガトリングガン――を取り出しては奴に向け……


「みんなどいてくれ! そのままじゃそいつを殺せないっ!」


 なんて狂ったように喚き散らしてきたんだ。

 これにはその場の全員が度肝を抜かれたし、何なら一瞬この場を兄さんに任せようかなんて思いもしたが……"シンクロニシティ"ってのか、俺たちは図らずも寸分違わず一斉に『止せ、殺すな!』って旨の言葉を叫んでた。

 だってそうだろう、どんな相手だって――例え吐き気を催す程のドス黒い絶対悪だとしても――そいつが人間ってんなら殺した時点で俺たちは殺人犯。そこにどんな理由があろうと、直に手を下した奴から手を貸した奴、容認した奴に至るまで全員が殺しの大罪を背負うことになる。


 といってやむを得ない状況ってのもあるだろう。

 例えばここで悪党一人殺さなきゃ無実の百人が死ぬなんて状況があったなら、殺しの大罪がどうのと倫理的な話をしてる場合じゃないかもしれない。

 だがそういうのはごく一部の例外であって、大抵の場合どんな悪党だろうとまずは法律や神様、運命なんてのに任せるのが一般的だ。もし外野が動くべきだとしても、裁判や刑期が終わってからでいい。


 ましてその時の状況はと言えば、件の指名手配犯は丸腰の上大人数から取り押さえられていて一切抵抗できない上、俺たちの方は武器まで持っていた。

 そこまで来るともう、何が正解かなんて言うまでもないだろう。俺たちは指名手配犯を押さえつけ、怒りに我を忘れた兄さんの説得に取り掛かる。


「……わかった。君にまで言われてしまっては、僕も引き下がる他ないな……」


 結果、四時間半かけてどうにか兄さんの説得に成功……俺ら三人じゃどうしようもなく、通報を受けて駆け付けてくれたお巡りさん二人に加えて泥得からも雲井さんたちを呼ぶ羽目になったが、あの優しくて頼りになる早川の兄さんが殺人犯にならずに済んだんなら安いもんだ。



 ……とまあ、諸事情あってわりと厄介になることもあるにはあるが、それでも屍人刈りで遭遇するのが単なる悪人悪党ならまだ対処は楽なもんだ。


(奴らは"まだ"人間だからな……)


 そう。所詮は、なんて言うのもおかしいが、あいつらはあくまで単なる"人間"。

 どれだけ鍛えたり武装してようと、"ただの人間"なら案外何とかなっちまうんだ。

 何ならその辺の屍人より非力な分、単純にしばいて黙らせる程度のことは俺じゃなくたってできるからな。


 だがそんな人間の悪党どもより更に"厄介な奴ら"ってのはいるもんで……


(思えば死越者エクシーデッドになりたての頃、()()()()()()()()()()んだったよなァ。

 どうしてギリギリまで忘れちまってたんだか……)


 当時を振り返り、俺は内心自嘲する。

 滑稽に自嘲でもしなければ、やっていられない。


 俺を"そう"させたのは、屍人や人間の犯罪者をも超える"脅威"……




 広義に"超人"や"魔物"と呼ばれるような"人外の化け物ども"……つまるところ"俺の同類たち"に他ならなかった。

とりあえず次回も北川くんの回想形式で進む話になる予定。バトルとかアクションのほうが需要ありそうなんだけど何故かこうなっちゃう……。

果たして屍人や犯罪者をも凌駕する人外の存在とは如何な連中なのか……近日中に更新予定なので程々に期待しつつ待っててね。


感想・ブックマークがあると励みになるから宜しくね。

ブックマーク一件につきベーシックインカム導入が早くなるよ(不確か)。

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