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狸面鬼魂、屍虐怪道、屍殺主義にして不殺主義

おまたせ。更新だよ。

ナガレは麓の町に降り立ち、復讐に向けて本格的に動き出す……

より前に、生活基盤を整えようと東奔西走する模様。

よって屍人やその他様々な魑魅魍魎(東西色んな妖怪とか魔物とか)とのバトルはまだまだ先になる模様。

……「ナガレの性格変わりすぎじゃね?」って思うかもだけど、

元より死亡+人外化+荒んだ出来事ばっかり=性格変貌 っていうコンセプトで行く予定だったんや……

何なら敵の前以外では結構普通の兄ちゃんだと思う。

尚一応のコンセプトとしては「武闘派冷酷ヤンキー気質な平成の王道ラノベ主人公」のつもり。

『……いい街だな。

 華やかで活気があって、なんか楽しい気分になれる』



 エックスと別れ下山した俺が麓の山道を伝って町へ辿り着いたのは、大体昼前……ネカフェのモーニングメニューがギリギリ注文できるかどうかって時間帯だっただろうか。


(まずなんにしても住居と金を工面しねぇと……幾ら無敵のゾンビ怪人"死越者エクシーデッド"だろうと最低限の衣食住は疎かにしちゃいけないだろうしな)


 エックスから『信念と目標を見失うな』『精神を病まないよう気をつけろ』と言われた手前、どうにか人間らしい暮らしをしていくのが筋だろう。

 だが今の俺は住む家どころか金さえない身。稼ごうにもまともな求人情報誌に載っているような、例えばスーパーやコンビニ、工場なんかで働くのは無理だろう。

 どころか、そういった施設の利用だってもしかしたらできないかもしれない。


(さあ、じゃあどうすんだって話なんだが……)


 考えが纏まらないまま賑わう街を進む。

 ああでもないこうでもないと彷徨うこと二時間弱……どうにも考えるのに飽きてきた俺は、何やら言い争うような声を耳にする。


(南西十から二十キロ……声の主は還暦過ぎた爺さんが一人にバカっぽい十代のガキが三、四人ってとこか)


 死越者特有の鋭い聴覚で聞いたその声に不穏なものを感じた俺は、声のする方へ踵を返し走り出す。

 そして……


(案の定かよ)


 入り組んだ小道を駆けること十五分。

 辿り着いた空き地で繰り広げられていたのは……



「オラァ! んのジジイコラァ!」

「ナメてんじゃねーぞックソがぁ!」

「死にさらせやあああ!」

「ぐ! ぐうううっ!」


 

 みすぼらしい身なりの爺さんを袋叩きにする、たぶんく中学生か高校生程度くらいのバカガキが三人……何があったんだか知らないが、暴行事件の現場には違いない。


『おいガキども! そこで何やってる!?』


 気付けばほぼ無意識の内にガキどもへ掴み掛っていた。

 生前なら面倒臭がって近寄らないか警察に通報していただろうに……死越者の力ってのはどうやら精神にも少なからず影響を及ぼすらしい。


「ッダテメコノ――『ッラァ!』――ぐあっ!?」

「邪魔すンじゃ――『シャア!』――ぶべっ!?」

「ナメやがって――『ズェア!』――ごげっ!?」


 多少喧嘩慣れしていても所詮は弱者相手にイキるしか能のない素人。

 人外の領域にどっぷり全身浸かってる俺にしてみりゃ、引っぺがしてぶん投げるぐらい造作もない。


(ジャンプの主人公になったみてェ……)


 当然、一回ぶん投げられた程度で奴らが諦めるわけもなく……


「てめェ、ナメやがって!」

範高ハンコー無敗三銃士に逆らうたァいい度胸じゃねーか!」

「ぶっ殺してやらァ!」


 血の気の多い"範高無敗三銃士"とやらは俺に向かってくる。


『……血の気が多いなァ、何時の時代のヤンキーだよ。

 俺の高校時代だってお前らみたいなのは居なかったぜ?』

「うっせーコスプレ野郎!」

「ヨユーかましてられんのも今のうちだぞオラァ!」

「陰キャのキモオタ犯罪者予備軍がイキってんじゃねー!」


 狸の能面被ってるだけで犯罪者予備軍呼ばわりかよ。

 まあいい……あたかも平成の漫画に出てくるような連中なら、平成の漫画に出てくるようなやり方で対処すりゃいいだけの話だ。


『かかってこいよ、ハンコ三兄弟』

「んがあああああああ!」

「誰がハンコ三兄弟だああああ!?」

「団子三兄弟みてーな呼び方してんじゃねーぞゴラァァァ!」


 いいじゃねぇか、いっそ三人でCDデビューすりゃいいんだ。



◇◇◇◇


 それから、大体十分が過ぎただろうか。


『……』

「クッソ、野郎ッッ……!」

「なんでこんな、つえーんだっ……!」

「もうダメだ、お終いだぁ……!」

『……オウ、こっからどうするよ、"範高無敗三銃士"さんよぉ?』

「どーするか、だとっ」

「そんなもん、答えるまでもなく」

「決まりきったこったろーが……」


「「「にっ、逃げるんだよォォォォォォ!」」」


 古臭いんだか新しいんだかわからねえ捨て台詞を吐き捨て、バカガキトリオは一目散に逃げて行った。


『カスっただけで食い殺されそうな雑魚の癖して主役ぶった捨て台詞吐きやがって……

 二度と来んなゴミども。次は容赦しねェぞ』


 まあ、俺の目的はあくまで屍人コープスと奴らを操ってる黒幕のカスだけだから、

 それ以外はどれほど痛めつけても能動的に殺しはしねーがな。


『……で、これからどうすっかだな。

 あのバカどもの身包み剝ぎゃ小銭なりスマホなり手に入ったんだろうが、生憎と逃げられちまったし……』


 仮に何も出せなかったとて適当に脅せば丁稚パシリにもなっただろうが……逃げる隙を与えた時点で非はこっちにある。

 今から探すにしても住所はおろか名前すら知らねえ(そもそも俺はこの辺の土地勘がまるでねぇ)以上手間ったらねえ。


("範高無敗三銃士"って名前で聞き込みでもすりゃ幾らかは割り出せるだろうが……)


 改造制服ぽい服装だった辺り"範高"ってのは恐らく学校名の略称だろう。

 学校名さえわかりゃ生徒の二、三人特定するぐれーこの令和の情報化社会なら造作もあるめえ

 ……などという考え方もできるだろうが、時代遅れなヤンキーのアホガキ三人程度パシって使い潰すにしちゃ手間掛かるばっかで割に合わねーって結論に至る。


『しょうがねえ、素直にどっか働き口探すか――

「よう、待ちな兄ちゃんっ」


 空き地を去ろうとして、背後からふと呼び止められる。

 なんだろうと振り向けば、さっきバカどもに痛めつけられてた爺さんだった。どうやらあの後ずっと空き地に積まれたガラクタの陰に隠れてたらしい。


『……ご無事でしたか』

「あァ、おかげ様でな。助かったよ兄ちゃん、あんたが間に入ってくんなきゃ俺ぁ今頃どうなってたかわかりゃしねェ」

『……お気になさらず。生前まえまえからああいう連中は反吐が出るほど嫌いなタチな上、

 どうにも暴れ足りねーっつーか、一丁派手に身体動かしとかねーと気が済まねえなって気分だったもんで……まあその、衝動的にやっちまったよーな所もありますから』

「ヒッヘヘヘ、面白ェなァ~兄ちゃん。俺も無駄に長生きしてる分スゲーもん妙なもんは色々と見てきたつもりだが、兄ちゃんみてーなのはもしかしたら初めてかもしれねェやなァ……

 ところで兄ちゃん、今暇かい?」

『ええ。予定がないっつーか、これからどうしようかと迷っていた所ですね』

「どうしようか、ってェと」

『衣・食・住、全般スわ。色々あってなんやかんやワケありなもんで、その辺で普通に住み込みバイト探すわけにもいかねーもんで……』

「はァ~、そりゃてェーへんだなァ。

 ……そうだ兄ちゃん、もし何だったらウチへ来ねえか?

 大したこたァできねーが、あのガキどもから助けてくれた礼をさせてくれや」

『……! ありがとうございます! お世話ンなりますッ!』


 "提案に乗らねえ"なんて選択肢、俺の内にあろうハズもなく……俺は爺さんに案内されるまま、寂れた空き地を後にした。


(こういうのを"渡りに船"ってんだろうなァ。

 マナミといい、エックスといい、この爺さんといい……

 俺って奴ぁどうも、大したことねー半端もんの癖して人脈にだけはやたらと恵まれてるらしい)


次回、爺さんに案内されるままナガレが辿り着いたのは……?

そしてあそこでハンコ三兄弟の逃亡を許したせいでまたナガレに厄介ごとが……!


ところで深田エイミーだか不快だエイムズショットライザーだかいうポルノ女優が「男は女の財布たるべき」とか言い出してまたネットが荒れてるらしいけど、

やっべーな、こういう騒動見てるとまた"何かしたく"なっちゃうじゃん……!

(仲間の一人が「自分は他人に寄生しなきゃ生きられない屑だって言ってるようなもん」って言ってて全く同感だったわ)


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