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面(おもて)隠して憎悪を隠さず、研ぎし兇気を曝け出す

お待たせ。ちょっと惰性に負けつつ話の展開どう纏めようかとか色々迷ったけどできたよ第七話。

丸二日ぐらいほったらかしだった件は素直に謝らせて頂くけど、

こっちとしても生活環境の都合とか体力とか色々事情があるので勘弁してほしい。

話の内容そのものは……まあ、なんだろう。そんなに重要じゃないと言えば重要じゃないけど、

今後暫くナガレはどういう容姿や服装なのかについて把握して貰えればと思っての回だったよね。

 俺の名前は、北川ナガレ。


『さあ、そうと決まれば準備を整えないとな。

 確か死越者の感覚器をフル稼働させると部屋の内観が……おっ、本当だ。

 視覚聴覚みみで部屋の内観がよくわかるが……意外と殺風景なんだな。モノがほとんどないじゃないか』


 巷を騒がすゾンビ騒動の解決に向けて今まさに動き出した、元サラリーマンの死越者エクシーデッドだ。


『あのドアから地上に出ればいいんだな。さて、古着は……お、結構あるじゃないか。しかもゴミから引っ張り出して来たにしてはやけに状態がいいのばっかりと来てる。

 俺をここに運び入れた件といい、いったい何をどうやってるんだかは結局わからなかったが……随分と気前がいいじゃないか。本当に感謝しかない』


 俺は早速、生前から着続けていた服――最早服としての原型も留めておらず、差し詰め身体に纏わりつくボロ布といった有様だ――を脱ぎ捨て、エックスが拵えてくれていた中から手頃な古着を選び取り身に着けていく。


『よし、こんなもんか』


 トップスは長袖のワイシャツ。嘗ての持ち主のものか、血らしき汚れがあるが元の色合いからしてあまり気にならないだろう。

 両手には作業用の皮手袋。これで手元を見られても人外と悟られることはない……と、信じたい(指にはめた婚約指輪が見えなくなるのは癪だが……)。

 ボトムスは足首までしっかり覆えるゆったりしたジーンズのカーゴパンツ。所々破れているが、肌に密着していないお陰で人間離れした青黒い肌が見えることはまずない。

 タイトで動きやすいスキニーとで迷ったが、あちらも決して小さくない傷が目立つので肌を隠す意味ではカーゴパンツに軍配が上がった。

 両足には濃いグレーの靴下と、その上からスニーカータイプの安全靴を履いている。安全靴なだけありかなり頑丈で、特に爪先は何が詰まっているのか本当に硬い。


『慣れさえすりゃ、蹴り一発で屍人を仕留められるようになったりしてな』


 アウターはフード付きのミリタリージャケット。

 これは(他の服も大体そうだが)なぜゴミ捨て場にあったのか、そもそもゴミ捨て場から拾ってきたって話は本当なのかと疑いたくなるような上物で、あちこち頑丈な上に保存状態も良かったものだから「いざとなったらこれを売って金にしよう」と考えてしまうほどだった。


『そして仕上げにこいつだな。中々不気味だが、まあいいだろう』


 肌の色といい目や口といい、最早人間とは言い難い化け物じみた顔を覆うのは、牙を見せて笑う動物を模した木製の面だ。

 多分イヌ科の……キツネかタヌキか、はたまた犬か何かだろうか(なんとなくだが、俺はタヌキじゃないかと踏んでいる)。

 見る角度次第で表情が微妙に変わる作り込みの細かさからして、能とか狂言とか、所謂"能楽"と呼ばれる伝統芸能で役者(?)が身に着けたりする奴だろう。


『手触りからしてかなりの高級品……。

 一体誰がどんな経緯でゴミ捨て場に捨てたんだか知らないが、ここで巡り合えたのも何かの縁。

 これからは俺の素顔を隠すのに有効活用させて貰うとしよう』


 試しに、動物の面を着けジャケットのフードを被って首から上を隠してみる。

 恐らくこれが、今後俺の基本的なスタイルになるだろう。夏場なら暑さで地獄を見ていた所だが、幸い俺は死越者エクシーデッド……神経の機能が所々衰えて体温を感じにくくなってる関係上、暑さにはそれなりに強い。


『さて、と。中々時間がかかっちまったが、準備もできたことだし外に出るとするか』


 着替えを終えた俺は、エックスから聞いた道順通りに進み、廃墟の地下室を後にした。



▽▼▽▼



『ほんとに夜が明けてやがるな』


 地上へ出た俺が目の当たりにしたのは、建物としての形を保っているのが奇跡的なほどの廃墟と、まばらに生えた木々の隙間から覗く紫色の夜明け空だった。


『……なんだろうな。何気ない夜明け空のはずなのに、見てると不思議と気分がいいぞ』


 "心が洗われる"ってのはこういうことなんだろうか。

 いっそこのまま眺めているのもいいかもしれない……そう思ってしまうほど、廃墟からの風景は美しかった。


『……と、いかんいかん。早く山を下りて街に出ないと』


 屍人どもが何時どこから現れるのかは全く予想がつかないが、奴らを狩りつつ裏に潜む黒幕とやらの情報を掴むならひたすら行動あるのみだろう。


(屍人どもを根絶やしに……そしてこの手で、必ず復讐を果たすっっ!)


 とは言え当然、策もなく我武者羅ガムシャラに突き進んでいても上手く行くわけがないのは百も承知だ。

 信用できる組織に身を置き、作戦実行に向けての準備を進めなくてはならない。


『そうと決まればまずは……陽炎一族探しからだな』


 "陽炎一族"……古くから日本に根付いているその一族は、エックス曰く死越者オレの先祖というか先輩格のような存在で、かつ屍人にも詳しいのだという。

 彼らを味方につけるのは、俺の屍人狩りと復讐を成し遂げる上で大きなプラスになる筈だ。


『さあ、一丁やってやろうじゃねぇか!』


 山間から顔を出し木々を照らす太陽目掛けて啖呵を切った俺は、一先ず麓を目指して歩き出す。



『待ってな屍人コープスども……

 今にこの俺がてめーら纏めて"刈り尽くして"やっからよォ~』

これでも一応特撮好きなので当初はわかりやすくアンデッド感を出すべく『平成二期以後の仮面ライダーシリーズに登場したアンデッド系のサブライダーのどれかを意識した格好にしよう』って想定で話進めてたけど、

不意に他ジャンルからの強い影響でアンデッドより日本妖怪感出したくなっちゃって、

狐とか鬼とかはベタだし……ってことで狸の能面になった経緯がある。

別にスタジオジブリ高畑系不朽の名作も、役に立ってんだか立ってないんだか今一よくわからないきな臭東京都知事も、

敵兵を蚊でも叩き潰すが如く平然と笑顔で惨殺できる富野由悠季の隠し子も、

幸運設定はどこへやら罠踏みまくりクズどもに振り回されまくりな不憫お人よしのヒーロー見習いも、

何故か途中から字幕の色が緑から赤に変わったアライグマシッポタヌキモドキも関係ないよ。



……関係あったらカッコよかったのかもしれないけどさ。



え? 2100年代秋に製造された核融合炉搭載の子守ロボ?

まるで関係ねーしそもそもありゃ耳のねぇ猫だバカタレが、

なに? 二次創作だと大抵関西弁で喋りがち&ブラック企業潰しがちな美少女商人あきんど

尚無関係だしそもそもあの手の連中こういう作品に向いてないだろ。


次回第八話では、町に出たナガレが陽炎一族の情報を探し回ったり屍人を刈りまくったり現代に潜む人外の奴らとどつきあったりする予定だよ。


……さて、そうなるとどんな人外を出そうかなァ~……


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感想書いてくれたキミは会社での待遇と給料が上がるよ(キミ自身の努力次第で)。

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