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チョコレート・サイダー  作者: 大饗ぬる
6/11

第二章 現実はどこにでもいる②

〜加減 How do you feel?〜

君はどうなると思う?

 あの日、僕はいつものようにずっとパソコンに向かってゲームをしていた。

 でもなぜか、珍しく外に出かけたくなって街に出て、音楽を大音量で聴きながら家電量販店でゲームを見たりして……何で外に出たのかわからないけど、そこで目新しいアドベンチャーゲームの体験版を配っているのを見つけて……。久しぶりに生身の人と少し会話したんだった。


 何かを配っているお姉さんは、パッと見た感じではコスプレとは思えない姿でちょっとセクシーだった。

 小悪魔を思わせる雰囲気のワンピースで、フリルが全てコウモリの羽根の形をしていて。ふわっとしたスカートからは黒タイツにブーツで魅せる美脚が伸びていて、胸元は少し開いていてチョーカーと鎖で繋がっている。短めの黒髪には本当に自然な感じで猫耳がついていて、違和感を一切感じなかった。


 配っているものがゲームの体験版だとわかり、パソコンで出来ることを街頭モニターで知った。綺麗なお姉さんが優しい雰囲気だったからか、僕の警戒心が解け、ヘッドフォンを外し近づいた。


【Switch Back〜転換〜】

このゲームは従来のアドベンチャーゲームとは違い、

RPGやサウンドノベル、ファンタジーといったさまざまな要素を持つ仕様となっています。初めてプレイされる方にも安心のサポート機能付き!


 などなど……。ストーリーについての説明や宣伝文句がないことにも惹かれた。画期的なゲームだと思った。お姉さんと一言二言話、すぐにでも帰って()()()()()()()()()()と帰路を急いだ。


 ——家に帰ると、途端に疲労感と嘔吐感に襲われた。疲れた体を引きずるようにそれでもトイレに何とか辿り着き、吐けるだけ吐いた。やっぱり外に出るんじゃなかったと考えて、いやお姉さんにも会えたし、きっと多分まだプレイ人数が少なそうな最新のゲームもゲットできたし、悪くなかったよ、と思い直すことにした。

 電源を入れたままのパソコンに体験版のDVD-ROMを入れる。起動するとお決まりの注意書きがあった。



ご注意

ゲームソフトを被害者の許諾なく改変する行為、同じく、被害者の許諾なくインターネットを通じて配信、配布する行為は道徳的に禁じられております。

また、恩を仇で返す行為とと知りながら家に閉じこもる行為も私的使用目的の措置とはならず、遺憾です。

あなたさまのご理解とご協力をお願いいたします。

※本作は体験版のため、ゲーム進行やプレイヤーに支障をきたす場合がございますが、一切責任はおいかねますのでご了承ください。

このゲームには恐怖を与える表現が含まれています。

小さいお子様や心の弱い方はプレイをお控えください。



 そして名前の登録画面が出てきて、【ユイ】と登録した。ゲーム上でよく使う名前をいつも通り入力しただけだ。そこで意識は飛んで……


 何が起きて、何でユイが僕だとバレて、直井さんがいて——今、どうしてワタシがこんな状況にいるのか……。

 ワタシの知る()()なの……? それとも……ゲームの中なの? ここは——ドコ?


唯人のココロ


繊細で華奢で感度の高い唯人には、この世界は刺々しく、世界に近づこうとするだけで傷ついた。言葉を紡ぐだけで、傷ついた。どんどん傷が増えていく。

ヒビがいくつも入って、唯人の中身が零れていく。

受け止める器には()()()()()()()

仮に出会っていたとしても唯人にはわからなくなっていた。


世界も僕も呪われろ!

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